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冬の銀河に輝く星
◇◇ショートショートストーリー
あきらのおばあちゃんは小さい頃から手作りの絵本を読み聞かせしてくれていました。そのストーリーもイラストもおばあちゃんの創作です。
あきらはおばあちゃんの家にお泊りするのがとても好きでした。お風呂から上がっておばあちゃんの寝室に行くといつもおばあちゃんがにこにこしながらやって来ます。
「あきら、おばあちゃん新しい絵本を作ったよ、今日はあきらが好きなお星さまのお話をしてあげよう」そう言って、かわいいイラストにきれいな色を塗った絵本のページをめくりながら、優しい声で読んでくれるのです。
いつもは遅くまで起きているあきらもおばあちゃんの絵本の読み聞かせが始まると、まるで子守唄を聞いているように、眠くなってきて、ぐっすり眠れるのです。
おばあちゃんの絵本はいつもこんな言葉から始まります。
「それは本当にあったお話なのか、それとも作られた物語なのかは分かりません、ばあばが書いたお話です」あきらはワクワクしながらおばあちゃんの絵本を覗き込んでいました。
あきらにとって忘れられない物語があります。
星がきれいな愛媛県の久万高原町を舞台にした絵本です。
絵本の表紙には、夜空に輝く冬銀河に美しいお姫様が描かれていました。
星が美しい夜、冬銀河を見ていた男の子がひときわ輝く美しい星に心惹かれて、眺めていると、そこから光の虹がかかって、虹のエスカレーターに乗ったように星の国に運ばれて、美しいお姫様に出会うと言う夢いぱいのお話です。
お姫様は男の子を冬銀河の色々な星に案内してくれました。それぞれの星で素敵な星のお土産を貰って、男の子はお土産をリュックいっぱいに入れて大喜びです。
でも夜が明ける前には光の虹のエスカレーターに乗って、元の場所に戻らなければいけません。男の子は星のお姫様との別れが辛くて、涙を流しています。
「僕はまだまだ冬銀河にいたいんだけど、もう帰らなくてはいけないの、そんなの寂しすぎるよ」そう言って泣きじゃくっていました。
するとお姫様がこう言います。
「あなたが帰ってしまうのは寂しいけれど、私はいつも空の上からあなたに微笑むから、冬の美しい夜空を眺めて一番輝いている星を見つけてね、それが私だから」
そう言ってにっこり笑ったのです。
絵本の最後は、男の子が成長して、天文学者になって、毎日夜空を眺めながら美しいお姫様の事を思い続けるというお話でした。
あきらはそのお話が忘れられなくて、毎年冬銀河を眺めるようになりました。必ず行くのは絵本の舞台になっていた久万高原町の天文台です。そこから美しく澄んだ冬銀河の中のひときわ輝く星を眺めていました。
高校生になったあきらに、おばあちゃんが言いました。
「あきら、きっとおばあちゃん5年後には冬銀河にいるからね、その時はおばあちゃんは2番目に輝いている星だから、見つけてよ」
するとあきらは、おばあちゃんにこう言います。
「おばあちゃん、輝く星になるのはずーっと先にしようよ、星のお姫様にもおばあちゃんからそう伝えておいてね、僕からのお願いだよ」
そう言って、あきらはおばあちゃんにやさしく微笑みました。
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【毎日がバトル:山田家の女たち】
《今は一般人も宇宙に行くもんね》
「ほうよ、久万高原町の夜空はきれいよ、空気が澄んどるけん星が手に取るように見えるんよ、私も居ったけんようわからい」
「手作りの絵本で読み聞かせするん素敵よね」
「私もヘッダー画面、絵本のつもりで描いたんよ、今は宇宙に行く一般人も居るけんね、夜空が一層近くなったわい、私は一番星が好きよ」
母の今日のヘッダー画面かわいいイラストになりました。ばあばが絵本を描いたら素敵だと思います。
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狭庭よりふっと仰ぐや冬銀河
今日のショートショートに合わせて母が冬銀河を詠んでくれました。我が家の庭から見る冬銀河もとても美しいです。冴えわたった空に天の川の星屑がキラキラと輝いています。
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美しい星の瞬きを眺める時間は冬の寒さもどこかに飛んで行ったような気がします。星空には本当に癒されますね。
最後までお読みいただいてありがとうございました。たくさんある記事の中から、私たち親子の「やまだのよもだブログ」にたどり着いてご覧いただき心よりお礼申し上げます。この記事が気に入っていただけたらスキを押していただけると励みになります。
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また明日お会いしましょう。💗