後輩からもらったやさしい言葉
私の父は小学校の教員でした。娘から見ても子ども達にとても慕われていたと思います。父が教え子に接している姿をみていて、その背中から学んだことがあります。それは優しい声かけです。
元気がない人や悩んでいそうな人にさりげなく声をかけるのです。
後輩や仲間たちがいつもと違う負のオーラを出していたら、ほんの少し元気が出る言葉をかけることが私の役割のように思って、人に接してきました。
もしかしたらそれは私の独りよがりで相手にとっては、関わって欲しくないタイミングだったのかも知れませんが、私なりの心遣いのつもりで声を掛けていました。人の心に寄り添いながら、言葉を掛けるのは本当に難しいと思います。
父は二人の娘に、それぞれがやりたい事を軽く後押しして、心地よく一歩を踏み出すためのアドバイスをしてくれていたように思います。
「お前のやりたいようにやったらええぞ、お前の人生じゃけんな、やってみたらええんよ」そんな、一言が心に響いたのです。父の言葉には遠くから見守るような暖かさがありました。優しく包み込みながら進むべき道を教えてくれるような人でした。そんな父の子どもに生まれて本当に良かったと思っています。
私は定年を迎えた時期に、言葉に表せない寂しさと闘っていました。生きがいだった仕事から離れることで人生が終わってしまうような虚しさを感じていたのです。そんな時、後輩からやさしい手紙が届きました。
新入社員の頃からとてもかわいがっていた、15歳年下のアナウンサーの後輩です。
彼はどちらかというとあまのじゃくな性格で、ストレートに人に感謝の言葉を伝えるような人ではありません。そんな彼が定年を向かえた私に手紙をくれたのです。
「今の自分があるのは若い頃に指導してくれた山田さんのおかげです、あなたがいたから今、僕はこの仕事を続けています」と言うことが書かれていました。私はその手紙を読んで涙が出るほど嬉しかったのです。
それまで懸命に打ち込んできた仕事との別れに寂しさを感じていた私にとって、その手紙の言葉は何物にも代えがたいものでした。
自分の存在が人を育て、そのことが今感謝されている。こんなにやさしい言葉をもらえるなんて本当に幸せだなと思いました。
そして、卒業の数日前にその後輩から大きな蘭の鉢植えが届きました。そこには「感謝」という文字が書かれていました。
会社を去る時にもらったその言葉で、私はこれまでの職場人生を肯定してもらったような気持ちになりました。
どんな時にどんな言葉を誰にかけるのか、簡単な事のようでそうではありません。思いやりがある優しい言葉が誰かの心に届いた時、人は幸せな気分になれるものだと改めて思いました。
私は父から教わった優しい声掛けを後輩から貰って、また今度は誰かに返ささなければと思いました。
【毎日がバトル:山田家の女たち】
《後輩に優しい手紙をもろてよかったね》
「あんたのテレビ局卒業の時に作ってもろた番組見よって、私は涙が出たんよ、会社を去ると言うことは寂しい事よ、ほじゃけどそんな時にやさしい手紙を貰ろて良かったねー」
「ホント嬉しかったわい」
「人は真心で接したら、真心で返ってくると私も思うよ、落ち込んどる時の優しい言葉は余計に心に響くもんよ」
本当にその通りだと思います。心が沈んでいる時に思いやりのある優しい言葉を貰ったら、立ち上がるきっかけになるはずです。
声かけて笑顔となりぬ春うらら
母が家の近所にあるバス停の風景をイラストに描きました。停留所でバスを待っていると必ずご近所さんに出会います。そこで何気なく交わした挨拶で笑顔になっている親子の様子です。
人との会話が幸せを運んでくれる時がありますよね。
最後までお読みいただいてありがとうございました。たくさんある記事の中から、私たち親子の「やまだのよもだブログ」にたどり着いてご覧いただき心よりお礼申し上げます。この記事が気に入っていただけたらスキを押していただけると励みになります。
また明日お会いしましょう。💗