ゴシップ好きの女たち。
◇◇ショートショート
「ねえ知ってる、あの人、人の噂が大好きなんだって」
「他人の噂をする人なんて嫌よねー」
「人のことを言ってる時間があったらさー、デスク回りを片付ければいいのにねー」
「そうそう、頭の中と同じで机の上ぐちゃっぐちゃなのよ」
和子と由紀は職場で噂好きのゴシップ女子として知られています。
二人はいつもそこにいない人の噂話をしています。
間違いなく悪口なのです。
本人たちは結構ヒソヒソ話しているつもりなのですが、彼女たちの話は筒抜けで、二人の評判は良くないのです。
会社の休憩室に二人がいると、社内の女子たちは、遠巻きにして座わります。
和子も由紀も、周囲のそんな反応には少しも気づいていません。
ある時、新入社員の歓迎会がありました。一次会が終わると、参加者は三々五々帰って行きます。
和子と由紀はカフェに立ち寄っておしゃべりすることにしました。
すると近くのテーブルから、聞き覚えのある女性たちの声か聞こえてきました。
「あの人たちと一緒にならなくって、良かった歓迎会でも、空気読めてないよねーあの二人、マイナスなことばかり言ってたでしょー」
「どうして、いつもあんなんだろうね、折角盛り上がってるのに、いやーな雰囲気作っちゃって」
「あの人たちと一緒になって、人の噂してたらだめよ」
先輩の女性社員が新人に話しています。
「はい、分かりました、しっかり自分で判断します」
「それがいい、騙されちゃだめよ」
新人は入社して1ヶ月も経っていないのに、早くも噂好きの二人の事を察知していたようです。
「私は人としてしっかり判断します」
と新人がハッキリ言いました。
近くのテーブルで話を聞いていた和子と由紀は居心地が悪そうに小さくなっていました。
そして、そそくさとカフェを出てこんなことを話しています。
「噂好きな人たちは鼻持ちならないわよねー、他人の悪口だけ言って」
「最低だと思わない、あんな風にはなりたくないわよね」
「あの新人、偉そうなのよ」
二人は自分たちの事はそっちのけで、勝手なコメントをしています。
和子と由紀は自分たちが周りからゴシップ女子と敬遠されている事を少しも気づいていないのです。
新人さんが入社して一年が経ち、また新しく新入社員が入ってきました。
新人だった女子が新入社員に話しています。
「こっそり教えとくけど、和子さんと由紀さんは噂が大好きなゴシップ好きだけど、あの人たちの話は聞き流してね、本人たちはストレス解消で話しているだけで、そんなに悪気はないみたいだから」
新人さんは「先輩、分かりました」と、大きく頷いていました。
その話を聞いていた和子と由紀は、ちょぴり照れながら、二人顔を見合わせて肩をすくめました。
【毎日がバトル:山田家の女たち】
《あんたも意味が分かりにくいわい》
※92歳のばあばと娘の会話です。
「いろんな人がおるけど、新人さんの方が賢いがねー、本人たちがゴシップ好きと気付いてないんが可哀そうじゃ」
「そうなんよー」
「噂話でもええこと言うんならねー、この人らは懲りんのじゃ、ほじゃけど孤立するけんね、人の噂やゴシップを話しよってもろくな事は無いんよ、新人さん大人じゃがね」
本当にばあばの言う通りです。
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