noteの皆さん☆90歳疲れ知らずの鑑賞
誰しも好きなものに対する執着や集中力は特別なものがあると思います。私の90歳になる母の、ものすごい集中力を見た日がありました。いつもはほんの少し歩いただけでも、しんどい、休憩しようとベンチに腰かけようとする90歳のおばあちゃんが、休むことなく作品に見いっています。
このバワーはいったいどこから生まれているんだろうと驚きました。
歌川広重の展覧会に訪れた時のことです。
1ヶ月以上前から、歌川広重の展覧会に行きたい行きたいと言っていたばあは、その日の朝、意気揚々と、私に一言「今日は展覧会にいこや」
私は「きた、きた、きたー」と思いましたが、ばあばが行きたい時がその時なので、早速、おでかけモードに切り替えました。
ばあばのお出かけには条件があります。まずは大安の日、そして自分の体調とその日のお天気です。この日は、それらすべてがクリアした日だったようです。
出発の2時間前から準備にかかるばあば、そのペースに慣れっこになっている私は、マイペースで、出かける準備を始めました。
目的地まではバスや電車を乗り換えて、ばあばにとっては大変な道のりです。
しかしばあばは、作品に会いたい一心で道中弱音を吐くことは一切ありませんでした。
普段は、本当によぼよぼと歩いていて、杖を頼りに歩くのはもちろん、時折休みながらではないと疲れてしまうばあばが、この日は違っていました。
そして展示会場に入ると、一点一点じっくり鑑賞し、途中で椅子に腰かけようともしません。
それは恐ろしい集中力で鑑賞しています。
画家の作業の一つ一つを見逃してなるものかという、強い想いを感じました。
母のこれからのイラストにきっと今回の鑑賞は大きく影響すると思います。
東海道五拾三次をはじめとした歌川広重の風景画の独特な繊細さとそこに描かれた庶民の暮らし、そして広重ブルーと言われている独特な藍色の美しさが目に焼きつく、見ごたえのある美術展でした。
会場を出ると美術館の大きな窓からは、春の日差しを受けた松山城が目の前に広がり、母にとっては最高の時間になりました。
自宅でも作品に出会いたいと、帰り際に重い図録を買って帰っていました。私が持つよと言いましたが、母はどうしても自分が家まで運びたかったようです。自分のキャリーバッグに大切そうに入れて持ち帰りました。
自宅に帰ってからも、図録で広重の世界に浸っていました。
【毎日がバトル:山田家の女たち】
《せっかく来たんじゃけん、しんどかっても頑張りよった》
朝の投稿後のリビングでの会話です。
「私、前に行ったことがあった亀戸天神の梅と、阪之下の坂下宿が見たかったんよー、行って良かったわい、ホントに」
「あんなに一生懸命に見て、よう、疲れんかったねー」
「見たい言う気持ちが勝ったしね、タイミングもよかったんよー、しんどかっても頑張りよったんよー、せっかく来たんじゃけん思て」
「母さん、歌川広重展を鑑賞して、どうじゃった?」
「江戸の昔の庶民の暮らしを偲びよったんよー、細かに描いとったねー、版画でここまで、細かいんはすごいなーと思てねー、色使いも独特じゃし、あの着物の描き方もすごかったわい、見習いたいねー」
母にとって、美術館まで足を運んで鑑賞したのは、大変でしたけれど、とてもとてもいい時間だったようです。
今は、毎日図録で広重の作品と向き合っています。
【ばあばの俳句】
亀戸の旅の思い出梅に酔う
母が、広重展でどうしても見たかった亀戸天神の梅、有名な作品であるだけでなく、母が、妹夫婦と行ったことがある場所なので、特に思い入れが強かったようです。
その作品を展覧会場で食い入るように眺めていました。そして、帰って自宅で描いたオマージュのイラストがこちらです。
梅の花を前面に持ってきて、その香りまで漂ってきそうな構図です。実際に訪れた時も、梅の香りが芳しかったそうです。
母は気合を入れてこのイラストを描いていました。その場所を知っていると、やはり出来上がりが違いますね。
▽「ばあばの俳句」「毎日がバトル:山田家の女たち」は毎日、音声配信しています。20時前後に投稿している「フリートークで4こんばんは」も聞いていただけたらうれしいです。
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アルバムの中の写真から
また明日、お目にかかります💗