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真夏の嵐山日帰り旅「満足感と疲労感をあとにして阪急嵐山駅」
大河ドラマ"光る君へ"第36回『待ち望まれた日』観ました。
はい、ひょっこりはん!
可愛い登場をなされた敦康親王さま。出産準備のため里帰りする予定の中宮彰子との一場面はさながら第二子誕生で寂しい思いを抱く長男のようでしたね。子が出来たらきっと自分は見捨てられるだろう。幼いながらも達観した表情の敦康さま。物心付く前から共に過ごしてきた仲ではないですか。裏切るようなことは決して致しませんと彰子は返答します。のちの二人を知る身からするとあまりに切なすぎて、しかし権力がすべてではないとする道長の考えに同意するならば親王ののちの選択は間違いではなかった。そうみることが出来ます。巨大な権力を手にしても絶対の幸せが得られるとは限らない。『光る君へ』の作品テーマです。
しばしばしばしば
ひそひそひそひそ
"左衛門の内侍"の諫言は完全に的外れだ。視聴者の多くはこう思っているはずです。自分の無能さを棚に上げて何言ってんだこいつ、と。ただならぬ関係であるのはまぁ真実です。しかし左大臣道長は根拠なくまひろを女房に抜擢したわけではありません。素晴らしい物語を書く女がいるという噂を聞いてそれがまひろだったという偶然の積み重ねがあってのこと。決して贔屓ではないことを視聴者の多くはわかっています。
とまぁ真面目に考察しましたが鈍感な私もさすがに大石静脚本を理解してきましたよ。終了間際の「引き」は決して本筋に深く関わるモノではないということを。そもそも現在進行系で逢引している二人ではないし、道長の子たちを見て複雑な顔をしていたまひろだし、予告でオリジナルキャラが登場していたのでこれ以上尺を取ることはできません。この諫言騒動が長引くことはないと思われます。
『人の心の好悪 甚だ常ならず
好めば 毛羽を生じ 憎めば瑕を生す』
心の移り変わりを説くまひろと亡き後も敬愛を貫くききょう。正反対の二人。不倫を猛烈に叩く昨今。私は移ろいタイプの遊牧民なので不倫された側に同情することはあっても不倫した人間を叩く気にはなれません。美貌を持ちながら一人しか愛さないなんてもし私がそうなら絶対ムリです。誰もが羨む美しさがありながらそれでも一筋を貫ける人は世の中に果たしてどれだけいるのでしょうか。
『あなたの知らない京都旅~1200年の物語~』京都・神光院にて西郷隆盛の心を動かしたという無私の人、大田垣蓮月がフィーチャーされていました。絶世の美女で若くして結婚したものの幼い三人の子どもと夫を失います。出家してなお男に言い寄られた蓮月はなんとすべての歯を抜いたそうです。もう恋愛したくないと言葉にする人はいてもここまで為した人はいません。蓮月焼で儲けたお金のほとんどを丸太町橋建設に投じた大田垣蓮月。もし紫式部が彼女と出会っていたなら、源氏物語はもっと大きな広がりを見せていたのかもしれません。
「帝のお喜びになるお顔を思い出してくださいませ」
初出産を控えて不安になる中宮彰子に藤式部ことまひろはこう助言しました。つまりまひろはあの人の顔を思い浮かべながらお産に励んだことになります。滋賀県大津市で行なわれたトークショーで裏話が語られました。不義の子を産んだ経験を糧にして源氏物語が舞い降りてきたと。真実と虚構のどちらか一方だけでは面白い物語にはなりません。作者の願望や歩んできた人生を絶妙に織り交ぜることで作品に深みが出るのです。大河ドラマは歴史に忠実であるべきだと主張する人がいます。しかし歴史そのままのストーリーを楽しめるのは歴史マニアだけ。歴史は歴史、ドラマはドラマ。それでいいじゃないですか。お化け屋敷に本物がいたら困ってしまいますよ。
第36回は語りたいコトがたくさんあったので長くなってしまいました。さて今回は真夏の嵐山日帰り旅シリーズの最終となります。
虚空蔵法輪寺のお参りを終えてすべての目的を完遂した私は阪急嵐山駅へ向かいました。この道であっているのだろうか。マップアプリのGPSを頼りに住宅地をトコトコと歩いていきます。
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え?ちょっとまって?
立体駐車場はどこにでもございますがこんなにも川が迫っているなんてスゴイ光景ですね。増水したら一発アウトな気がします。家を建てるよりはマシってことなのかもしれません。
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蒸し暑い住宅地を歩いたので身体の状態がヤバくなってきました。
足を引きずりながらなんとか阪急嵐山駅へ。あら素敵な駅舎。2010年に京町家をモデルにリニューアルしたそうです。建築用語でいう平入ですね。
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阪急電鉄らしい白基調のホーム。
スロープになっていて車椅子利用者に優しい配慮がなされていました。吊り時計は12時44分を示しています。駆け込み乗車は危ないので12時44分発の電車を見送ることに。
真夏の京都観光はどれほどのものか実体験したくてこの旅を企画しました。喫茶店と美術館巡りが中心だったので熱中症の心配はほぼなく、代わりに足が先に限界を迎えてしまいました。この事態はまったく想定していなかったので大きな反省ですね。京都ゆかりの美しい日本画を鑑賞して目の保養になりました。でも正直に申すと散策の消化不良でした。歴史と自然の嵯峨嵐山をもっと歩き回りたかったなぁって。
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何この立体構造。
後ろを振り返って驚きました。コロナ禍以来鉄道系ユーチューブをずっと観てきた私。このような駅舎は初めてです。貴賓専用出入口があるのかと最初に思いました。天皇や皇族が利用する貴賓室は全国各地にありますからね。なぜこんな形になっているのだろう。帰宅後に調べて納得しました。
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上にあがるスロープは駅舎2階の臨時改札口につながっていて春秋の観光シーズンに利用されることがあるのだそうです。なるほど大量の乗客を捌くためのモノだったのですね。既存の改札口だけだとホームに大行列ができてしまいます。
あっ、虚空蔵さんの看板だ。
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駅名標です。
筆文字フォントで分かりにくい。太字にしろと思う方がもしかしたらいらっしゃるかもしれません。まったく問題はありません。なぜならここは阪急電鉄嵐山線の終着駅だからです。みんな嵐山へ行くためにここに来たわけですから究極的には駅名標がなくったっていいんです。みんなここが嵐山駅だとわかっています。だから実用性よりもデザインを重視にしたのでしょうね。
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新京阪鉄道時代に作られた嵐山駅。
大量の観光客を想定して6面5線という巨大なターミナル駅を建設しました。戦後に3面2線へと縮小し、廃止されたホーム3面のうち北東側の2面はホーム上と線路跡に植樹がなされました。
屋根に吊り下げられている照明がたくさん見えるかと存じます。なんとこの中に一つだけクローバーとハートの灯籠があるそうですよ。待ち時間の際にぜひ探してみてください。
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電車が到着したので乗り込みます。
JR西日本と京阪と阪急、三つの鉄道会社が競合している大阪京都間鉄道路線。2017年8月に京阪電車が特別車両『PREMIUM CAR』を導入。続いて阪急電車が京都線にて座席指定サービス『PRiVACE -プライベース』を2024年7月から始めました。JR西日本は2019年春に神戸線・京都線・琵琶湖線の有料座席『Aシート』サービスを開始しましたが、一日6往復という便の少なさと運行区間が仇となり評判は芳しくないようです。
このように関西の鉄道事情は関東と大きく異なるのでピンと来ない人が多いかもしれません。京阪神エリアの旅客獲得競争は苛烈で私鉄特急は全車両乗車券のみで利用されていました。有料指定席サービスはずっと敬遠されてきたのです。
関西人
「特急乗るのになんで余計に払わんといかんのや」
根切り文化で商売気質の関西は低価格高品質を良しとする気風でしたから鉄道会社はずっと思い切ったことができませんでした。しかし2010年代後半に風向きが大きく変化。多く料金を支払ってでも電車でくつろぎたいと思う人が関西でも増えてきたのです。そしてインバウンド特需により有料座席を設けても採算が取れるようになり今に至ります。
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はぁ疲れた。
座席に座った途端ドッと疲労感が溢れてきました。しかし同時に目的地のすべてを巡る事ができた達成感と幸福感で心が満たされました。細かな反省点はあるものの今回の旅は大成功といっていいでしょう。
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そんなこんなで桂駅で京都線に乗り換えて、人が多くなったのでシャッターチャンスに巡り会えずあっという間に阪急高槻市駅に到着しました。
そうそう
これこれ。
この雑多な感じが阪急高槻市駅なんですよね。久しぶりに来ました。全然変わっていませんね。もしかしたら再開発で十数年後にはこのような光景がみられなくなるかもしれません。個人的には理路整然とした駅前広場のほうが好きですが、なんだかんだでこういう庶民的な町並みって心が落ち着きます。
蒸し蒸しするバス停留所。十数分ほど待って枚方市駅行きのバスがやってきました。これにて真夏の嵐山日帰り旅は終了とします。ご精読誠にありがとうございました。
旅の総括と美術館の感想をまとめた感想記二篇を認める予定です。公開日は未定ですがそちらもぜひご覧ください。次回の京都旅シリーズも閲覧&スキを宜しくお願い申し上げます。それではまた。
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