真夏の嵐山日帰り旅「かちょうえんと嵯峨嵐山文華館」
大河ドラマ"光る君へ"第33回「式部誕生」観ました。
なるほど、女官のお仕事ってずっと謎だったので大変勉強になりました。そういえばいびきや寝言が煩くて眠れないシーンがありましたね。地位が高くなると"女官"から"女房"へ格上げとなり一人部屋が与えられます。里帰りしたいと主張するまひろに寝所を与えると提案をした道長。ド新人でまだなんの実績もあげていないのにすんなり特別待遇を受けていたなら間違いなく桐壺更衣レベルの嫌がらせをされていたことでしょう。妬み嫉みは千年前も今も変わりありません。さてパートナーの呼び方一つで大炎上する昨今。最近女房と呼ぶ人はいないけれど、うちの女房と呼んで怒る人が果たして存在するのか気になるところでございます。
朝廷にも武力が必要だと提言した藤原隆家。
刀伊の入寇が大河で描かれるフラグか、とウキウキしながら視聴していました。しかしどうやら次の話の繋ぎだったみたいです。治天の君・白河法皇も恐れた怖いお坊さんたち。平家物語の一節『加茂河の水、双六の賽、山法師、是ぞわが心にかなわぬもの』は有名ですよね。奈良時代には仏教勢力が政治に介入するようになり朝廷を脅かす存在となったため、平安京建都の際に興福寺や東大寺といった南都六宗の勢力を一掃しました。その一方で聖徳太子とゆかりのある頂法寺六角堂や広隆寺、町民に愛された町堂は朝廷と敵対する危険性がなかったためそのまま存立が許されることとなりました。京都と奈良の激しい対立は平家物語でも詳しく描かれています。
これまで紫式部ゆかりの地を巡る旅をしたことがありません。しかし偶然その場所へ行くことがあります。今回の『光る君へ紀行』で私はすごく驚きました。なんと嵐山がフィーチャーされているではありませんか。源氏物語原本から藤原定家の話へと飛んでいき、先日記述した「小倉百人一首歌碑」がメインで紹介されたのです。そしてテレビに映る注釈を見て思わず笑ってしまいました。
※現在この場所へは行けません。
スタンプラリー感覚で百ヶ所廻ってみたいなどと申したばかり。NHKからアンサーが返ってくるなんて。私の夢は実現不能だったのですね。偶然といえば一乗寺界隈のnote記事と一乗寺特集のTV番組を立て続けに観ました。もしかして影で電通が動いているのでは、なんて陰謀論を言ってみたり。実際は私が一乗寺エリアに注目しているからそう感じただけなのでしょう。奇跡というものをいつも懐疑的に見る私でございます。
ではそろそろ旅の続きに参りますね。
大堰川沿いを歩き福田美術館から五分ほど。
嵯峨嵐山文華館に到着しました。
館の外観はこんな感じ。
安土桃山時代の御殿っぽい。
前身は公益財団法人小倉百人一首文化財団が設立した日本唯一の百人一首ミュージアム『時雨殿』です。建築費用21億円を元財団理事長で任天堂相談役の山内溥氏が個人が負担をして、代表取締役専務の宮本茂がプロデュースを行いました。2012年リニューアルを機に任天堂関係者による運営はなくなりましたが、もし時が10年ほどズレていたならば『ニンテンドーミュージアム』は宇治にではなく嵐山にできていたのかもしれません。
2017年に施設運営の財団理事長にアイフル創業者の福田吉孝が就任。私財を投じて再リニューアルすることとなり2018年より嵯峨嵐山文華館になりました。
福田美術館との共同企画展ということで「嵯峨嵐山かちょうえん」が開催されていました。
福田美術館を紹介した回で昔話をしました。
こちらはその昔ながらの形式になっていて常設展と企画展の区画がハッキリと分かれていました。常設展エリアでは百人一首ゆかりの品々、歴史の紹介、100体のフィギュアが展示されています。
中へ。
福田美術館と同様とても丁寧にロッカーの場所を案内してくださいました。
一階と二階に改札機が置かれていて、チケットのQRコードを認識させると入場することができます。
福田美術館と嵯峨嵐山文華館の入場方法は大きく異なります。なので両方訪れた高齢者や外国人観光客はスタッフの説明を聞いてもきっと混乱するでしょうね。なんで統一しないんだろうと私も不思議に思っていました。時雨殿からの経緯を知っていれば納得はできるのですが、福田美術館にも改札機導入となるとお金がかかるし、システムすべて二館共通にするのは現実的でないのでしょうね。
福田美術館に続きこちらも撮影可(一部不可)でした。
皆様にもぜひ来て欲しいという強い思いと個人的な楽しみとするためここでの画像公開は致しません。ごめんなさい。公式サイトや公式インスタに館内写真がたくさん載っていますので気になる方は覗いてみてください。
嵯峨嵐山文華館では花鳥園がテーマとなっていたので主に鳥の日本画が飾られていました。
エンターテインメントって工夫が一つでも入っていると楽しさが倍増しますよね。
今回の企画はなんと、QRコードをスマホで読み取ると作品内の鳥の鳴き声が聞けるようになっているのです。そういえばTV東京のバラエティ番組、あちこちオードリーでWWE活躍中の中邑真輔さんがゲスト出演されていました。京都府京丹後市出身の彼の有名な叫び声は「イヤァオ!」。夜明け前に飛び立つ白鷺の鳴き声をヒントに編み出したそうです。十年前のYouTubeプロレス番組公式動画ではその真相をボヤかしていました。ファンの夢を壊さない優しい配慮。プロレスラーという職業もなかなか大変なんですね。
そんなこんなでリアルな鳴き声が聞けちゃう2.5次元的な絵画。実に面白い試みでした。
百人一首の顔ハメ看板。
任天堂は元々玩具メーカーでトランプや花札だけでなく百人一首も販売しています。もしかしたら時雨殿時代からある備品なのかもしれません。少し年季が入っているように感じました。
雑巾がけするには勿体ない整った廊下が目の前に広がります。
たった1,000円支払っただけで嵐山の景色がのんびり自由に眺められるなんて。もしここがホテルなら下手すりゃ数十万円必要となりますよ。
めっちゃお得感。
真夏でしたが木々に赤みがかかっていました。
品種によるものなのかそれとも染色しているのか。植物に詳しくないのでよくわかりません。紅葉の季節でなくても素晴らしい景色がみられるのですね。
数度のリニューアルを経て嵯峨嵐山文華館となったこちらの施設。
嵯峨嵐山そして小倉山は百人一首の聖地であります。しかし需要は期待したほどではなかったのでしょう。常設展エリアは思っていたよりこじんまりとしたものでした。百人一首で注目される時期といえば年に一回開催される名人位・クイーン位決定戦くらいです。十年ほど前に漫画『ちはやふる』が大ヒットし広瀬すずさん主演で映画にもなりました。それに乗っかる形でおそらく時雨殿が作られたのでしょう。しかし残念ながら持続的な人気とはならず日本唯一の百人一首ミュージアムは一区画のみの常設展示へ縮小されることになりました。
私の撮影スタイルは基本「動」で「静」はしません。
遭遇したら撮るけどずっと待ち構えるのはとても苦手です。だから撮り鉄やバードウォッチングはゼッタイに出来ません。その点、鳥の絵はとてもいいですね。美しい一瞬を切り取って描写しているのですから。羽を広げる姿が雄大で見とれてしまいました。なるほど。何時間もシャッターチャンスを待つ鳥好きのカメラマンはその景色をみたいからじっと我慢できるのですね。
私って思っていたより鳥が好きだったんだ。
旭山動物園など数々の動物をみてきました。鳥はいたら見る程度で孔雀でさえも大きな関心を持てませんでした。そういえば花鳥風月に鳥が含まれています。歳を取ってきたから美しく見えるようになったのかもしれません。晩年病に苦しみ浄土思想に傾倒した藤原道長。彼はきっと不死鳥に思いを馳せていたのでしょうね。
以上になります。次回もぜひ見に来てください。
今回の旅ルート
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追記
『テレビドラマ感想文』応募作品の中で、スキの週間一位を獲得しました。皆様ありがとうございます。感謝!!