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【読書】失われた30年の始まりをハマコーの著作とともにと考える? 後篇2


前回のお話し

今回も、浜田幸一の問題作「新版 日本をダメにした九人の政治家」を取り上げます。

ちなみに、前回の記事はこちらになります↓


ほぼ同じ注意

この記事では、浜田幸一氏の著作を元に話を展開しています。したがって、山田(仮名)が特定の政治信条を批判したり、政党や政治家を非難したり、また支持することを意図したものではありません。

記事を読んでいて、気分を害されることも生じるかもしれません。もし、当方の表現力の無さからくるものでしたら、あらかじめ、お詫びします。

あと、本書の良さを引き出す手段として、ここからは政治家その他登場人物に敬称をつけませんので、悪しからず。


浜田幸一の主張

本書では、腐敗している政治家九人+αを取り上げ、断罪しながらも、自身の政治思想を述べている点が多くあります。

今回はその意思を尊重し、ここからは、あくまで浜田の主張をいくつか取り上げて、30年前と現在で変化があったこと、なかったことなどを本書をベースに私なりの見解を述べたいと思います。

ハマコーの提言

①日本に二大政党はあり得ない

2024年9月現在、日本では二大政党制にはなっていません。

本書では、革命思想をもつ政党が必要悪になっていることを原因としています。

その面も完全には否定できないと私は思いますが、より正鵠を得ているのは地方自治体の首長選挙のあり方だと思います。いわゆる各党相乗りのオール与党候補が出馬の問題を例に、本書でもたびたび指摘している"足して二で割る"政治が続いていると批判しています。

②自民党単独政権は、このままでは取り戻せない

1993年に下野して以降、自民党は民主党政権時代を除き与党に返り咲いていますが、その間の流れは大まかに、

自さ社(閣外協力含む)

自自公

自公保

自公

民主党(自民党が野党)

自公(現在に至る)

となり、自民単独政権にはなっていません。この間も、自民復党を含め、政党の離合集散が起こっているのは、見逃せないでしょう。

本書では、腐敗部分をキチンと処理し、浄化しなければ論外という前提にたっています。しかし、その後の政界が30年経過したあとも浄化をされてきたのか? 判断が難しいところです。

③"護憲"こそ民主憲法をないがしろにするもの

本書では、自衛隊は「戦力」であり、違憲としながらも、実情に合わなくなった憲法の条文を改正すべきとの主張です。

まず浜田が自民党所属であること、自主憲法制定が自民党の党是であることを考えれば、憲法改正を述べる背景は理解できます。

実際に、日本国憲法第96条に憲法改正に関する規定があります。

しかし、1993年(もしくは新版が刊行された1995年)時点で、現在の憲法改正国民投票法の制定と国会法第6章の2を整備していなかった点は、浜田を含め、そもそも立法府の怠慢だとは感じます。

ちなみに、日本国憲法第96条はこんな条文です。

第九章 改正

第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

②憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

e-govより

④思い上がった「財」と「官」

まず、共通するのは「財」も「官」も国民の審判を受けない点です。

財界に関しては財力を追及するのが目的ですから、審判を受けるとすれば、出資者ということになるでしょうか。

また、官界の基本は行政として職務を執行します。この際、上司(この場合だと主に国会議員である大臣)の命令に従わなければいけませんから、上司がしっかりしていれば、国民の目は届くという日本国の制度設計になっています。

ただ、30年経って、様相は変化している部分もあります。

まずは、財界に関しては、政党交付金でしょうか。

詳しくは、ぶるべり様の記事をご覧いただくとして↓

政党交付金により、結果として(特に自民党への)企業団体献金が減少したことは、それなりに影響はあったと思います。

また、2014年に設置された内閣人事局が与えた官界への影響を無視できないと思います。

立田順一様が、官僚離れについて、内閣人事局を絡めて記事にしていただいてますので、そちらをご覧ください↓

⑤闘争姿勢を忘れた自民党

まず、本書では、革命路線と戦わない自民党を強烈に批判しています。戦わない自民党については、浜田、三塚博、宮本顕治以外の六人+αで述べられています。

注目したいのは、戦う姿勢を失ったことにより、周辺事態に対応できてない危険性を指摘している点です。具体的には、中国ロシア韓国北朝鮮などです。

実際、

いまはまだ、アジアにおいては表立った局地戦は起こっていないが、日本人がそういうものは日本の近くでは起こらないだろうと思っているところに、私は危惧の念を禁じ得ない。

本書P154より

とし、いわゆる平和ボケ的な日本人に警鐘を鳴らしています。

と同時に、中国の一党独裁体制、冷戦崩壊後のロシアの反動、朝鮮半島での休戦状態、さらには日本の弱体化についても言及しています。

また、ようやく日本でも1999年にようやく国旗国歌法が成立したり、改正した学習指導要領国旗国歌の教育も取り上げられるようになりましたが、韓国での国を守る教育を比較しつつ、愛国教育の重要性を説いています。

国旗・国歌に関しては、内閣府のサイトをご参照ください↓

浜田の叫び

暴露本の要素もある本書に対して、公に異議を唱えた政治家を見たことがありません。

それが悪魔の証明になるからか、自らの疑惑が拡大するのをおそれているのかは定かではありません。

本書を完全に信ずるに値するかどうかは、ひとまず脇に置くとして。

政治というのは、庶民の味方、正しい者の味方でなければならない。国民のためのものであるとともに、国民自身が責任を持って投票(政治参加)できるシステムを確立するためにも、政治の腐敗は防止しなければならない。

(中略)

もちろん、私のような者が国会議員の看板を掲げたままでは、なにを言っても聞き入れてはもらえないだろう。そこで自ら首を切った上で、国民のみなさんに、こうお願いしたいのである。

是は是とし、批判するところは批判しますから、国民のみなさんも他人ごととは思わないで、できるだけ政治に関心を持ってください。みなさんのためのものですから、政治を見放さないでください、と。

本書P117-118より

確かに政治家にも問題がありますが、30年経った現在、浜田のこの主張に対して、私たちがどう向き合ってきたのか?

失われた30年を取り戻すための1つの方向性を示していると思います。

(了)

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山田太朗(仮名)
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