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震災の落とし物

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震災は私達に何を与え、何を残したのか。ラクイラやアマトリーチェの友人たちのことや、私自身のことなど。
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#地震

もしも地震がなかったら。

もしも地震がなかったら。

フェイスブックで「いいね」を押しているページから、最新の投稿が流れてきた。この4年間をともに生き抜いてきた人が亡くなったらしい。その投稿だけでは詳しいことは何もわからない。ただ、あるひとりの女性が、震災の被災者が、4年間一緒に彼と戦ってきた戦友が、亡くなったらしいということを知った。

もしも地震がなかったら。そんな有り得もしない「もしも」のことを考える。もしも平穏な日々が続いていたのなら、彼女は

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地震による生きづらさや自殺の危険を抱えている人に伝えてほしい番号(イタリア・日本)

地震による生きづらさや自殺の危険を抱えている人に伝えてほしい番号(イタリア・日本)

あなたの話を聞いてくれる人はたくさんいます。彼らにとって、それは迷惑ではなく、むしろ喜びです。

イタリアにいるなら地震による生きづらさを抱えている人に、numero verde(フリーダイヤル)が用意されています。

800 858440

心理学者、コンサルタント、教育学者のチームが対応するフリーダイヤルは、地震後の不快感を克服するために、地震に関する情報と子供たちに最も適切な行動を管理する方

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地震を笑った人のこと

地震を笑った人のこと

私の友達で、ラクイラに住んでいて、震災後ローマに引っ越した友達がいる。

私と彼の出会いは最悪だった。

地震情報サイトINGVterremoti(イタリアの公式機関)で私達は地震の情報を見ていたのだが、ローマでマグニチュード3くらいの地震が起きたとき、彼は笑っていた。

私は看過できずに彼を叱った。ときに人の命を奪い、ときに人の人生を変えてしまい、いまなおたくさんの人が困っているのに、なぜ彼はわ

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語られず、見えない犠牲者の存在

語られず、見えない犠牲者の存在

震災の話をしよう。

震災で亡くなった犠牲者の方に関する記事などは多い。どのような状況で、どのような方が亡くなったのかという記事は、枚挙に暇がない。

ただ、犠牲者の数字にこそ入っていないものの、見えない場所にいる人たちがいる。

私の友人達の話をしよう。

ある友達はこの10年、仕事が見つからず、年金生活をしている。

別の友人は、自宅を失った。

さらに別の友人は、心を病んでしまった。

また

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