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ことばと生き方──ことばに対するこだわり

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若い頃から「ことば」というものに興味があり、2001年から2018年まで“ことばのWeb”を主宰していた流れで書いた文章を集めています。
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2022年12月の記事一覧

翻訳って時々間違ってますよね?

翻訳という仕事は基本的に翻訳のプロがやっているわけですから、間違っているはずがないとついつい私たちは思いがちなんですが、実は結構間違っているんだということに最近気がつきました。 フットボールって何?アメリカ人が football と言ったのを「サッカー」と訳していたけど、ほんとにそれはサッカーだったのか? アメリカン・フットボールのことだったんじゃないの?──みたいなことを先日 note に書きましたが、それなんかもそのひとつの例ではないかと思います。 warmer とか

「アメフット」考──ことばをどんな風に短縮しますか

短縮のルール1新聞の見出しなどで使われる「アメリカン・フットボール」の略称は2種類あるように思います。──「アメフト」と「アメフット」です。 僕の周りの少なからぬ人が「アメフット」は気持ち悪いと言います(もっともある年代以上の人だけかもしれませんが)。 自分のホームページには何度も書いたことなんですが、それは日本語において多くの略語が「前半後半から2文字ずつ4文字」あるいは「前半後半から2音ずつ4音」という原則に従っているからだと思います。 これはやまとことばも外来語も

「お疲れさまです」と言えない世代

僕らの世代だと「お疲れさまでした」は言えても「お疲れさまです」とは却々言えない人が少なくないのではないでしょうか。他ならぬ僕がそうです。 と言うのも、「お疲れさまでした」は会社に勤め始めた若い頃から使ってきた表現ですが、当時は「お疲れさまです」という現在形の用法はなかったからです。 「お疲れさまでした」は何か骨の折れる仕事をやり遂げた時、あるいはそんなに大げさではなく、単に一日の勤務が終わった時などに投げかけるいたわりの言葉でした。 ところが、今頻用されている「お疲れさ