クレーム・過度な要求についてのマニュアル策定
やくさひろです。
美容サロン開業、通販事業運営において、数件ではありますが特殊クレームの部類に入る苦情を申し受けたことがあり、その都度顧問弁護士や警察へ対応の確認をしながら「組織を守るため」「仲間を守るため」「消費者へ平等で合理的なサービスを提供するため」に対策を講じてきました。
過去の経験から作り上げた「対応策」について公開
過去の経験から作り上げてきた当社の対応について一部公開いたします。
お客様は、商品やサービスに期待を持って対価を支払います。その商品やサービスが、期待を上回れば顧客満足につながり、期待を下回れば不満足となります。
一般クレームとは、その不満から生じるものだと言われていますが、ここで一方的にお客様の不満だと決めつけるのはやや乱暴な気がしています。多くの店舗様はSNSでの情報公開やウェブサイトでの集客などを行っていますが、PRばかりで意外とサービス内容について丁寧に事細かく記載されていない場合もあります。店舗側が「こういうものだろう」と考えていても、過度なPRやメリットばかりが目立つSNS戦略において顧客側が受け取る情報の期待値とのギャップが生じている場合があります。ここで、クレームと呼ばず「組織の足りない部分の指摘」と受け取ることで更に強靭な組織作りに発展していくことでしょう。結果的に組織の利益に貢献する重要なものだと言えます。
対応方法から見たクレームの分類
一般的なクレーム
お客様の“期待”と“現実”とのギャップから生じるクレーム。
悪意のクレーム
金銭の不当要求や業務妨害など、明らかに他の意図や目的があるもの
特殊クレーム
こちらには明らかな原因がなく、サービスに直接関係のない内容などで目的がわからないクレーム
自分に責任があるか判断した上でクレーム対応を!
強気なクレーマーにまくしたてられると、ついついこちらが加害者のように思って対応してしまったり、その場を収束させるために謝りたくなってしまうかもしれません。しかし、多くのクレーム対策マニュアルで指摘されているように、もっとも大切なのはクレームを受けた際の初期対応。
ネイルサロンクレーム集 こんな時どう対応する?
実際に当社が運営しているサロン、スクール、セミナー、通販ショップ等でお客様からいただいた要望(一部クレーム)に対しての返答を記載しております。ぜひ参考になさってください。
①希望していたデザインと違う。
それはどの部分でしょうか。申し訳ございませんでした。ただ、ライトで硬める前に確認していたと思うのですが、、、今からやり直しをすると、追加の時間や料金が別途発生いたしますが、いかがなさいますか。
⇒つまりお客様とのコミュニケーションやカウンセリングが丁寧になされていたかがポイントです。
②会計時に・・・こんな高額ならやっていない。店の外には●●●と書いていた。詐欺じゃないのか。
混乱させてしまい申し訳ありません。店の外の金額は○○コースのもので、初めにお話した通り○○様の場合○○コースの金額となります。今からオフをさせて頂くとなりますと追加のお時間やオフ代が別途発生いたしますがいかがなさいますか。
⇒金額を口頭で伝えるのは私は問題があると感じています。やはり言った言わないと避けるためにも明確に明細書に直筆で残しておくべきだと思います。よって私が運営してきたネイルサロンでは全て明細書をテーブル上に配置してお客様の了承を得てから施術を開始していました。金額のやり取りはとてもデリケートな問題だと思いませんか?店舗側のスタッフは日々流れ作業的に行っているかと思いますが、お客様は毎月一度の大きなイベントでもあるのです。5000円、10000円と大きな出費になります。お客様の心情や期待値を丁寧に取扱い寄り添う姿勢が求められます。
③施術が雑。やり直しをしてほしい。
どの部分でそのように感じられたのでしょうか。それは申し訳ありませんでした。今後気を付けてまいります。今からやり直しをさせて頂くことになりますと追加の時間が発生してしまいますがよろしいでしょうか。
⇒明らかに施術が雑、皮膚付きがあるなどの丁寧さ、繊細さに欠けた施術の場合は上記に該当します。ただ過去にストーンが1ミリずれている、キューティクルオイルの香りが気にいらないから全て拭取ってなど、やや神経質気味な要望を受けたこともあり、そのようなことが続く場合には店舗としての対応範囲やお客様への丁寧な説明を行うなど、あくまで「当ネイルサロンは
」の特色を根気強く説明していきましょう。
④ケアの後から指先がじんじんして痛い。どうにかしてほしい。
申し訳ありません。どのあたりが痛みますか。こちらでは消毒し軟膏をぬらせていただく程度しかできませんがよろしいでしょうか。しばらく様子を見て頂いて、もし痛みが続くようであれば、病院で受診して頂けますか。※複数スタッフで確認、写真を撮らせて記録としての残すこと。
⑤施術に時間がかかりすぎているから割引をしてほしい。
大変申し訳ありません。本日分の割引は出来かねますが、次回使用できる割引券(粗品)をお渡しします。貴重なお時間を頂いてしまい申し訳ありませんでした。
⑥あなたの対応が気に入らなかった。次回別の担当者に変えてほしい。
申し訳ありませんでした。もしよろしければ、どのような対応で不快に感じられたのか、教えて頂けますか。それは大変申し訳ありませんでした。今後しっかりと改善に努めてまいります。当店は担当の指名は自由ですので、お気軽にお申しつけください。貴重なご意見ありがとうございました。
⑦他店の方がよかった。次回無料でやり直しをしてほしい。
申し訳ありません。どの部分でそのように感じられたのでしょうか。それは申し訳ありませんでした。(説明続く)ーこれ以上はお客様のご希望に添いかねる場合もありますのでご了承下さい。
⑧もっと希望するデザインを聞いてくれるのかと思った。何だかがっかり。もう二度とこの店にはこない。
ご希望に添えず申し訳ありません。カウンセリングや施術中にも確認をしていたつもりでしたが、よりご希望に添えることができるように改善してまいります。
⑨施術の間に仕切りがないからうるさかった。
申し訳ありませんでした。つい、お客様との話が盛り上がってしまったようですね。建物の構造上、仕切りは出来かねますが、今後は声のボリュームを控えるよう、全スタッフが気を配って、周りのお客様へのご迷惑とならないようにしていきます。貴重なご意見ありがとうございました。
⑩詫び状をだせ。何か気に入らない。
当店と致しましては詫び状を提出する法的根拠を認められないため、提出することは控えさせて頂きます。
⑪大声でわめく場合、スタッフが制止してもやめない場合
店内で、店員の制止に従わず、大声を出し続けると、威力業務妨害(刑法234条)の可能性。すぐさま録画、警察に連絡。同時に顧問弁護士にも連絡をしお客様を避難させること。
⑫誠意を見せろ
お客様、大変申し上げにくいことですが、私どもでは、社会通念上の出来うる限りの誠意は尽くさせていただいたつもりです。この上での、お客様がおっしゃる誠意とはどのようなものなのか、私には理解できかねます。お客様からおっしゃっていただけませんでしょうか。
⑬一人で対応をしろ
お客様の苦情には複数で対応するのが当社の決まりとなっております。一人での対応は出来かねますので、ご了承ください。
⑭表沙汰にしてもいいのか。他の友人にもこの店を使うなと言っておく
お客様が何をしようと、私の立場でどうこう言うことはいたしません。どうぞ、ご自由になさってください。ただし、実害が生じた場合は、こちらもしかるべき措置を断固取らせていただくことになります。
⑮訴えるぞ。いいのか。
訴えを起こすのはお客様のご自由でございます。司法の場で決着が付くことでお客様が納得していただけるが何よりかと思います。
⑯お店とお客の関係ではない。店の対応ではなくあなた自身で適切な対応をせよ
私は店の人間としてお客様に対応しています。したがって、お店とお客様の問題であり、店を離れて勝手に個人としての対応はできかねます。
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ここで、過去にあったイレギュラーなクレーム(組織内においても)についてご紹介します。
◆お客様からプレゼントを頂いた時の対応
ほとんどの会社では、お客様から頂いたプレゼント(菓子類)は事務所で確認をしてから、頂いた部署ごとで公平に分けてお持ち帰りいただいているのではないでしょうか。
本来、管理をする事務所や事業所に持参して○○様に頂いた物であるという申告をするべきであるのに、一部のスタッフが事務所に報告もせず、自分たちで分けようとする行為に対してスタッフ内からクレームが寄せられたことがありました。
更にお客様からは、次回来店した時に、全スタッフからお礼がなく極めて不快だとのクレーム。
こういった場合も想定されるので、店舗ごとのマニュアルや取り決めを決めておくことがベストでしょう。
いかがでしょうか。他にも通販業務の中で1440粒入りのストーンを送付したお客様から「1粒足りない」「8粒足りない」という要望を受けたことがあります。こういった場合、皆様はどのような対応をとられますか?卸会社に連絡をしても「1440粒入りで間違いがない。当社では対応できない」と言われてしまったら。
そう。私は常々こう考えていました。
「事業者って板挟みだな。事業者と消費者の両方が心地よい環境を作るように努力しなくては」と。この努力の方向性が「マニュアル」だったのです。
例えば上記のような1粒足りない、中身が入っていないなどの場合の対応策としてできうる最善の行動は「梱包者の手元を録画すること」なのです。これは弁護士からアドバイスをいただきました。当然梱包者の許可をとる必要がありますが。
:入れたのに入っていないと言われたから送るしかない
果たしてそれで良いのでしょうか。業界全体をもっとガラス張りのより良い方向へ導くのも事業者としての役割だと考えています。
録画自体においてもお客様が不利益を被らないように、その一心の対策案なのです。防衛するとかお店を守るというニュアンスはお客様を疑ってしまったりお客様との信頼関係が損なってしまうのであまり好ましくはありません。
店舗としてできうる努力をすること、マニュアルを策定することはきっと組織を発展させていく材料になるであろうし、従事するスタッフも安心して働くことができることでしょう。
私たちは過度なクレームに対応をする必要はないように思います。私たちは事業者でありクレーム対応や過度な要望、身の危険を感じるほどの暴言や過度な要求に対応する時間があれば、すぐさま警察、顧問弁護士に一任をし、やるべきことを推し進めていく方がよほど「消費者のため」になるのではないでしょうか。
いきなり書面でのやり取り、そこには心がないと思われる方も多いかもしれません。しかしながら既に生じたギャップを埋める作業、それこそ専門家に依頼をして専門家としてのプロフェッショナルな対応をしていただくことが消費者にとってもメリットが大きいのではないかと考えます。