映画『グランメゾン・パリ』が最高だった話
初めまして、哉子(やこ)です。エンタメ業界のどこかすみっこで働いているアラフォー女です。
本日は、映画『グランメゾン・パリ』が最高だったという感想noteを書きたいと思います。
※注:本noteは映画『グランメゾン・パリ』のネタバレを含みますのでご注意ください。
映画『グランメゾン・パリ』は、2019年に放送されたTVドラマ『グランメゾン東京』、そして先日放送されたSPドラマを経て、そのさらに数年後の世界を描いた作品です。
TVドラマでは日本でミシュラン三ツ星を取るまでを、そして、SPドラマでは星を失ってからの再起を描き、映画ではそのさらにあとの世界、今度はフランスで三ツ星を狙うその挑戦が描かれています。
いずれも「三ツ星に挑戦をする」というテーマは変わらないのですが、映画は「これまでのドラマとまったく違う空気感だったな…」というのが見終わって最初に思ったことでした。もはや別の作品だと言われても納得してしまうくらい、”重さ”と”濃度”が違ったなと。
TVドラマやSPドラマは、正直に言うと、エンタメ作品として王道の、”開進まして、哉子(やこ)です。エンタメ業界のどこかすみっこで管理職として働いているアラフォー女です。
本日は、映画『グランメゾン・パリ』が最高だったという感想noteを書きたいと思います。
※注:本noteは映画『グランメゾン・パリ』のネタバレを含みますのでご注意ください。
映画『グランメゾン・パリ』は、2019年に放送されたTVドラマ『グランメゾン東京』、そして先日放送されたSPドラマを経て、そのさらに数年後の世界を描いた作品です。
TVドラマでは日本でミシュラン三ツ星を取るまでを、そして、SPドラマでは星を失ってからの再起を描き、映画ではそのさらにあとの世界、今度はフランスはパリで三ツ星を狙うその挑戦が描かれています。
いずれも「三ツ星に挑戦をする」というテーマは変わらないのですが、映画は「これまでのドラマとまったく違う空気感だったな…」というのが見終わって最初に思ったことでした。もはや別の作品だと言われても納得してしまうくらい、”重さ”と”濃度”が違ったなと。
映画で描かれる”現実”の重み
TVドラマやSPドラマのグランメゾンは、正直に言うと、エンタメ作品として王道の、”活劇お料理エンターテインメント”みたいな空気感だったと思うんですよね。パリですべてを失った尾花(キムタク)と、一念発起した倫子さん(鈴木京香さん)の二人が、仲間を取り戻し、一歩ずつまた一歩ずつ三ツ星に近づいていく、再生を描いたドラマ。
けれど映画では、舞台を東京からパリに移したことで、これまで描かれてこなかった「日本人がパリで三ツ星を狙うということはどれだけ困難なことなのか」という現実を描き出している。そこで前述の「重さが違う」という感想に至ったわけです。
今回、料理監修にパリの「Restaurant KEI」で、アジア人として初めてミシュランガイドの三つ星を獲得された小林圭シェフが入ってらっしゃるので、作中で尾花が直面する問題は、ある程度小林さんの実体験が含まれているものと思われます。
「日本人で、二つ星のシェフは、満足のいく食材を仕入れることさえできない」という状況は、料理を仕事にしたことがない私には思いつきもしなかった問題だったのですが、三ツ星を狙うためにパリに来たのに、その土台を整えることもできないというのは本当に毎日悔しくてたまらない気持ちだっただろうなと思いました。(ところでこの問題は、TVドラマ版のときは描かれていなかったわけですが、エスコフィユ時代にはどうやってクリアしたのかは気になってしまったのが正直なところです)
「フランス人が東京ですし屋を出したとする。そのすし屋が、最高のマグロを手に入れることができると思うか?」といったようなセリフが作中にあったのですが、それを聞いてハッとしました。改めて、尾花たちが挑んでいるものがどれだけ高い壁かがようやくすっと理解できた感じで、秀逸な説明でした。
解決の方法はやっぱり”仲間”
そんな仕入れ問題や、「アジア人が、フランス料理という伝統を背負った分野で戦う意味」といったような、ある種の人種問題ともいえるようなテーマなど、多方面から「日本人がパリで三ツ星を目指す」という目標の高さが描かれるのですが、ではどうやってクリアするかというと、「仲間の力を借りる」という方法です。
「一人の力でできることには限りがある。チームが必要だ」というのはあらゆるエンタメで普遍的に使われ続けてきたテーマだと思いますが、今作もやはり着地はそこ。
使い古されたテーマではあるんですが、私はこれがぶっささってしまって、めちゃくちゃに泣いてしまいました…
理由は2つあって、まずは、あんなにワンマンだった尾花が、長い月日をかけて、グランメゾン東京での経験を経て「力を貸してほしい」と言えるようになったことに、シンプルに成長を感じて感動したこと。
そして次に、「仲間を信じて任せる」ということの難しさに、いままさに仕事で直面している身としては、「やっぱりそれができないとだめだよな…」ということを身につまされて、もろにくらってしまったんですよね…。
信じて任せるって仕事においてすごく難しいことだなと、管理職としてまだひよっこな私はまさに最近悩んでいたので、考えさせられるものがありました…。まだまだすぐにはできないけれど、やはりそこを目指して、育成や手放しをしていかないと…と気持ちが引き締まりました。
”一人じゃない”ことをより肉厚に描くキャラクター配置
さらに、今回、映画からの新キャラクターとしてユアンというパティシエが出てくるんですが、このキャラクター配置が個人的にはすごくよかった。
今まで尾花って、結局のところ「尾花と同じ重圧を背負って、同じだけの才能を持った天才」がいなかったから、京野さんがいても倫子さんがいても、ある種孤独だったと思うんですよね。
でもここに、「パリで尾花と同じくアジア人で星に挑戦して、でもアジア人だったことが原因で挫折をした天才」というユアンがいることで、尾花は初めて本当の意味で孤独じゃなくなる。
このカタルシスがすごくよかったなと思いました(それにしても闇金のくだりはいらなかったんじゃない?とは思いますが…絆深めるだけなら別のイベントでもよかったのでは…?という気持ち)。
グランメゾン東京で戦う頼もしい仲間たち
そんな風にドラマと映画はまったく空気が違って、まるで別の作品みたいだなという感想を持っていたのですが、そこはやはりドラマの続編。一瞬でしたが、グランメゾン東京のみんなも出てきてくれたのが最高にうれしかったです。
SPドラマの続編の世界なので、湯浅くんもしっかり平古くんと協力しながら、グランメゾン東京を守っているのが胸熱でした。私は窪田正孝さんの演技が大好きなのですが、湯浅の人を食ったような性格の演技がたまらなくよかったので、もっと見たかった…!!!!
ぜひ、世代交代したグランメゾン東京がそのあとまたどうやって三ツ星を目指しているのか、それをTVドラマでやりましょう…!続編作りましょう…!!(切実)
総合して、大満足の最高の映画でした
そんなこんなで、ドラマとはまったく違った空気を醸し出しつつも、従来のシリーズファンへのサービスもしっかりとあって、すごく満足度の高い作品でした。私はパリの街並みが大好きなので、パリの風景を堪能できるのもあって、すごく好きな作品になりました。
せっかく「グランメゾンプロジェクト」になったので、前述のとおり、今後も様々な形でこの世界が続いてくれることを祈りつつ、少しでも興行収入に貢献出来たら…という気持ちであと何回か見に行きたいと思います。
ドラマを見ていたという方は、ぜひTverで先日のSPドラマをご覧いただいたうえで、映画も見てみてください~!