果たして『悪は存在しない』のか?
二面性がある限り、光と影、善と悪は存在すると思うが、今回はそういうことではなく、一つの作品のレビューの話である。
このレビューを書くにあたって意識したことは
「ネタバレを一切見ないで、自分の感じたことをまとめてそのままリリースする」
ということである。
だがこれって情報化社会に生きる我々にとっては意外にも難しい。
なぜなら衝撃的な作品ほど、映画館から一歩出た瞬間スマートフォンの機内モードを解除して、当たり前のように上映していた作品のタイトルを検索してしまうもの。
だが、今回は我慢しました。
そしてすでに時間は23:14。一気に書こうと思うのでランニングは少し後に回します。24時を回ってしまいそうだ。
ゴールデンウィーク前半にこの作品を見ることができてよかった。(キッカケをくれたりささんありがとう)
★あらすじ
※ここだけ引用させてください(あらすじ書けるくらいにライティング能力ないのでここはプロの仕事に任せます)
★登場人物
タクミ
→本作の主人公。通称「便利屋」。マジで何やってるかわからない。マユズミが「失礼ですがお仕事はどういった?」と聞くシーンは「よくぞ聞いた!」とおそらく劇場の皆が思ったが、
「俺は便利屋だ」と言うわけで。
それは職業か?っていう返しだった。
結局なんの仕事なんですかね?てかこの人が怖すぎる。わけわかんなすぎて、歴代主人公の中で一番恐ろしい。あと終始タメ語なのが気になる。
あとこの役を演じた大美賀均は俳優ではなく、スタッフである。
ハナ
→タクミの一人娘。学童に通っている。が、タクミが迎えにくるのを絶対忘れる。(ありえるかそんなこと)あまりにも迎えに来ないので一人で帰る。どこにいるか予測ができないくせにしっかりしているからこそやばい。
タカハシ
→ 長野県、水挽町(みずびきちょう※架空の町ですよ)をグランピング施設として開拓しようとしている芸能プロダクション(株式会社プレイモード)の社員。仕事しんどすぎてタクミの生活に憧れを持ってしまう。(こういう時期ってあるよね、隣の芝生は青く見える的な)
正直自分にめっちゃ似ている性格で見ててキツくなった。
薪一本割っただけで「気持ちいい!」「ここ10年で一番気持ち良かった」と早々に移住を決意してしまうことはあまりにも単細胞すぎるのでは。
行動先行で、少し発言などもズレているところなんかそっくり。同族嫌悪。
マユズミ
→株式会社プレイモードの、もう一人の社員。タカハシと2人でプレゼンしに行くが地域住民の問答でコテンパンにされる。がこの子がめちゃくちゃ誠実で「まあそうだよね」っていう感じで補助金目当ての穴だらけの企画書を持ってきたこと、(グランピング施設にすることは無理でしょという気持ちを強く感じる)よく話を聞いている。こういう女の子素敵です。
※他の人物はしらべたところキャスト名がありませんでした。そんなことあるんだ。というわけでこっちで勝手に名前つけます。
→2回目みたらエンドロールに記載ありました。思い出せる範囲で名前を書いときます。
蕎麦屋のおっちゃん(和夫さん)
→多分地域の唯一の飯屋である蕎麦屋の店主。タクミとよく水汲みに行く。水が重要なのである。この人物の発言が物語にいい味を出している。重要人物なんだけど名前はありません。
→2回目見ました。カズオさんと呼ばれていた。
蕎麦屋の奥さん(マユムラさん)
→上記の店主の相方。水挽町の水に感動して東京から移住してきた実績がある。このコミュニティの中でよくやっている。すごいよ。
絶対に美味しい蕎麦を茹でてくれるのでポイント高い。
金髪の職人
→多分職人だけどなんの仕事かは説明全くないのでわからない。ただ国の補助金とかに詳しい話を知っているので区役所の関係の建設業に携わっているあたりにしときますか。もう一回見るので間違ってても許してください。
先生(駿河)
→タクミが先生と呼ぶおじいさん。ディベートのシーンではめっちゃ重要なことを言うシーンとかありますね。住んでる家が立派だったから建築の先生とかなのかもね。説明はないのでわかりません。もしかしたら説明会の討論の時に名前言ってたかも駿河さんという名前でした。
というかここまで書いてて思ったけど、名前をつけたりフォーカスしないことでここまで主人公の人物像を引き出せるんだなって思った。特殊なアビリティはないけど、周辺の情報を0に置くことで、名前がある人物がここまで映えるとは。
学童の先生
タクミが迎えに来なすぎて、小学校高学年くらいのハナちゃんを1人で普通に帰宅させる諸悪の根源。もっとなんかできただろ。
★驚いた点※⚠️ここからネタバレになるので作品見てない人は見ないでください。ネタバレ見てから見ると作品が台無しですので本当にやめてください⚠️
ポイントは最初から最後まで全く先の展開が予想できないことである。
前半はタクミの周辺の人物関係の整理から入った。職業を予測するために消去法で絞っていったけど、薪を割っていたり水を汲んだりするシーンしかなく、別に自給自足しているようにも見えない。どこからお金を生み出しているのか謎のまま。
その①不明確なエンド
展開が予測できないどころか、終わり方も予測できなさすぎた。気がついたらエンドロール(キャストが何回か画面切り替わりで表示されるだけでもはやロールすらしてない)そして突然明かりがついた。あの空間の全員が「あ、終わったんだ。」って思っただろう。そんな感じ。
その②ハナについて
→最後タクミがハナちゃんを抱えて走って帰るところで物語がエンド。
え?どっち?ってなる。ただ最後に片方鼻血を出して倒れていただけなので死と断定もできない。が、一つ気になったのはその時のシーンである。捜索中のハナちゃんを見つけたとき目の前に手負いの鹿が近くにいるシーン。そのときタカハシが近寄ろうとするも、タクミが全力で阻止する。多分急に動いたりすると鹿が警戒するのでっていう意味なんだけど、それでタカハシを刺殺するくらい締め上げるのってなんなんだろうな。
また、ハナちゃんを見つけた時の状況がやけに周りが明るくて、夜間捜索している警察のシーンと時間軸が合わないのが不思議。
2人は幻覚を見ているってことはないのか?
その③タクミの職業について
→絵を描いている、薪を割っている、水を汲んでいる(ハナちゃんのお迎えは忘れる)くらい。
というか今書いてて気になったが、タクミは障害を抱えているのかも知れない説あるな。
冒頭で蕎麦屋店主が「タクミさん、忘れすぎ」
っていうシーンあるけど、娘のお迎えを毎回何度も忘れることはあまりにも不可解すぎる。国から手当をもらって生活してる可能性あるなと思った。
その④タクミの奥さんの存在
→写真が飾られているカットが2回出てくるが、亡くなったのか、どうなのかは謎。一切物語で誰も触れないのでわからない。ただ娘もだいぶ変わっているので何かがあったことは間違いない。よくみればあの一枚の写真からも情報取れるんだろうな。訓練が足りない。
その⑤タカハシについて
→生存の件。
雪山に放置された彼はおそらく亡くなったでしょう。正体不明のタクミと一緒に捜索したことが彼の行動先行したよくないところ。危機感持たないと殺されちゃいますよ。知らない人についていくなって小さい頃教わりましたよね。
その⑥マユズミの手のケガのシーン
→ここの描写も描かれてなくてよくわからない。ハナちゃん捜索中にウツギ?のトゲに血が付着してるカットが映されて不穏な感じになるけどマユズミの怪我でとりあえず良かったねってなるけど、果たしてどうだったのか?
★感想
物語が急に終わるため不完全燃焼もいいところだけど、見終わって「凄いものをみた」っていう感想が残る。
タイトルの「悪は存在しない」っていうところもタクミの人間性にかけているんだと思うけど、個人的に「悪」に対しての考え方は、
タカハシとマユズミ側からの視点(グランピング建設側)と、水挽町のタクミ側(水がこの街の魅力なのに汚水流されるのは訳分からん)との対立のところかもしれないなと思った。
特に2人の車内でのシーンはドライブマイカーを感じさせるとても素敵なシーン。個人的に登場人物少なめ、会話多めの作品が好きなんだよな。ずっと深掘りをしてほしい。
ストーリーがあまりにもゆっくりすぎるので、作品自体のテンポ感を気にするような方にはすこし退屈に感じるかも知らないな。
ただperfect Daysが好きな人にはめちゃくちゃ刺さる映像作品だなって思いました。
一点言うなら、ドライブマイカーと同じく3時間で作ってほしかった。まだ見ていたかった。1時間46分はあまりにも短すぎる。それしかない。
評価:★★★★★(5/5点)
おそらくもう一回見に行きます。
あ。0:00回っちゃった。1時間半かかりました。いまから他の方の考察見てきます。(やったー)
その後、参考として気になったもの
2024/04/30
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