企業こそ 保健係 の価値を見直してみませんか|これまでの健康施策が合わなくなってきています
皆様、保健係、覚えていますか。このフレーズを使うことが久し振りです。
小学生の頃、給食係や生き物係と並んで保健係がありました。読者の方の中にも保健係をやったことがある方もいるのではないでしょうか。
この保健係の役割といえば、クラスの保健衛生に目を配るのと同時に、保健カードを保健室へ持っていくこと、そして怪我や体調が悪くなったお友達を保健室へ連れていくことだったと記憶しています。
企業内のメンタルヘルスケアなど働き方への記事も書いています。ご一読いただけたら幸いです。
これからの職場で大切なもの
企業が売上げや利益を最大化するためには様々な要素がありますが、なかでも重要なのは従業員がベストなパフォーマンスを発揮できる環境を用意することです。
従業員の健康維持
職場環境改善に取り組み、従業員の精神的状況を良好に保つことは、従業員の健康状態の改善にもつながります。ストレスチェック制度の導入や健康衛生面のリテラシー勉学機会の提供をはじめ全社的な雰囲気を醸成することにより、従業員の健康状態を配慮した組織体制を構築できます。
生産性の向上
従業員の生産性やパフォーマンスレベルは、健康状態などと相関関係があります。従業員は生活の大半を業務時間に充てるため、健康は、その職場環境や職場文化に大きく影響されるものと理解されています。
従業員定着率の向上
職場環境の改善によって、従業員が「働きがい」や「働きやすさ」を実感しやすくなり、仕事へのモチベーション向上が期待できます。ワーク・ライフ・バランスの向上や従業員エンゲージメントの向上は、離職率の低下や職場への定着につながります。人材難の環境下でも人材を確保しやすくなります。
最近は、これら以外にも従業員を中心に置いたウェルビーイング(Well-being)という考えをモチーフにした経営も注目されています。
従来の健康施策が合わなくなってきている
以下に示したように、従来の健康施策というのは、従業員の悩みや課題を理解し解決へ向かう切っ掛けとなるようなメニューを並べ、選んでもらう、与える方法でした。職場や仕事で多様な考えを持つ従業員が在籍する現在においては、合致することは少ないかもしれません。
これからの健康施策にはQOLを意識しエンパワーメントを引き出すこと
一人の人間の心と体の健康と、Q O Lを維持し、高めること。
病気であるか、そうでないかに関わらず、心が満たされているか、自分の人生を生きているという感覚と自己受容こそが真の健康的な人生を送るための大きな基盤となるはずです。(QOL:クオリティ・オブ・ライフの略称 生活や人生の質、という意味)
しかし組織の中にいると、職場環境、人間関係、時間管理、家庭との両立、季節性の疾患等、様々な要因で心と身体にストレスを抱えます。ストレス状態に気がつかず、置き去りにしてしまうことでより悪化し、休職や退職の原因ともなります。
これからの健康施策は、健康に関心のある従業員のエンパワーメントを引き
出すことが重要です。
一人ひとりが心と身体の声に気がつき、認識できるようになること。そして、それに応じたケアを怠らなく実践できるエンパワーメントを引き出すこと。そして更にそれを伝えることができるようになることです。私たちはこの状態が続くことが心の健康を保つことに繋がるのではないでしょうか。
福利厚生などで外部のサービスを手当たり次第に導入するよりも、こうした人物を企業内に増やすことが、従業員同士の相互理解を深め、悩んだ時に気軽に相談しやすい環境を組織内部から醸成することが大切と思います。
このような職場環境では、医師の診断を受診するか迷っている、自覚はできないが周りでは気づいている場合など健康意識の高い従業員が自発的に声掛けをすることができるようになります。この状態こそが企業内にてヘルスケア、メンタルケアサポートが機能していることであり、従業員の満足度は上昇すると考えてます。
併せてお読みいただき記事です。
日中の大半を過ごす職場にも保健係が必要なのではないでしょうか
小学校、中学校、高校、大学、会社と、日中大半を過ごす場所が変わっていくと身近な保健係がいなくなってるのに気づきます。
前の従来施策でも触れたように、与える方法(施策)では今の従業員には合致しません。健康施策というのは、一人の人間の心と体の健康とQ O Lを維持し高めるながら、健康に関心を持つことです。そしてその中から健康リテラシーが高い従業員を発掘することです。もしその健康リテラシーが高い従業員を企業内のヘルスケア、メンタルケアサポーターとして活躍できるように企業が支援することができれば、健康感度が高い従業員が増え続け、組織は自立が始まり、従業員自ら過ごしやすい環境を作っていくと考えています。
このヘルスケア、メンタルケアサポーターの役割こそが小学生時代の 保健係 なのではないでしょうか。現在の企業活動では絶対的に必要な健康施策だと思います。
企業がこれまで実施していた健康施策とは
コロナ禍以前から従業員の心身の健康を維持することは、生産性の低下を招かず企業を成長させるためにかかせないとして様々な施策を講じてきました。
振り返り①|産業医のストレスチェックと人事部の人事制度変更による健康施策
これまでの企業が実施していることとして、人事部や産業医が行うストレスチェックから労働時間短縮や配置転換などの人事制度変更の取り組みです。
はじめのストレスチックでは、個人の状態を会社関係者に知らせたくないという気持ちや、仕事内容を理解していない産業医へ相談する気にならないなど、従業員のデリケートな点に触れるだけに気を使うことも多いようです。そして人事制度変更では、労働時間の是正や強制有休消化制度による自分時間の確保を支援したり、上司同僚との付き合い方やポジティブシンキングなどの学びをさせるなど、テクニックに走る傾向がみえます。
振り返り②|法定外 福利厚生による健康施策
法定福利厚生に加え、住宅手当や健康診断、スポーツクラブの利用割引、飲み物飲み放題、オフィス内のマッサージ利用、無料の社員食堂などが利用できる環境を用意する取り組みです。
趣味嗜好が多様化した現在では、サービス内容に不満だったり利用が不便だったりして活用されないケースが多く見られるようになっています。また福利厚生の大半が住宅関連が占めていてこの状態は長く続いており、裏を返せば他の決定的な施策が見つかっていないともいえます。
これまでの福利厚生
求職者が、企業を選ぶ際のポイントとして、賃金に続いて福利厚生が挙げられています。福利厚生の充実は、従業員の定着、採用強化、離職率低下において重要なのはご承知の通りです。
2000年代前後の福利厚生は、肥満を軽減するためのフィットネスに重きが置かれていました。2010年くらいになると、健康管理(歩数、心拍数、睡眠時間、糖質管理)が重視され、2017年頃からは、時計型のウェアラブルデバイスと連携した従業員の健康管理が手軽に行える仕組みが出てきました。
コロナ禍の職場環境というと、組織が分断され従業員同士のコミュニケーションはチャットとなり、顔を合わせての意思疎通が激減しました。それと同時に企業への愛着や仕事へのモチベーション、協調性なども失われ、結果、離職率が上がり生産性の低下を招いています。これまでの健康管理だけを提供する福利厚生では、人材を繋ぎ留められなくなっています。
そしてまた、少子高齢化、労働人口の減少、育児介護などの社会問題に対する職場環境の改善として、多様な働き方を実現することが重要になります。
このように労働環境が激変する中、福利厚生の見直しや新たな福利厚生の提案が求められています。「新しい生活様式」に沿った福利厚生について、改めて検討していく必要があると思います。
矢印株式会社は好きなことを仕事にしています。
企業紹介や事業内容、そして経営指標、統計オープンデータ、メンタルヘルス、マーケティングなどの経験も記事にしています。
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