変わること変わらないこと3 本の話をしよう07 ポプラ社はじめての世界名作えほん
「はやく目を出せ 柿のたね でないとあたまをちょんぎるぞ」(さるかにがっせん)
「えんやらやあ えんやらやあ」(かさじぞう のお地蔵さまが荷物をひくかけ声)
「あけておくれ こどもたち おかあさんだよ」(おおかみと七ひきのこやぎ)
「かちかち いうのはなんだろう」
「ここは かちかち山だから、かちかちどりが ないてるのさ」(かちかち山)
「どんぶらこ どんぶらこ と ながれてきました」(ももたろう)
3歳の息子の寝かしつけで、
毎夜読んでいる、お気に入りのシリーズ。
ポプラ社 はじめての世界名作えほん。
https://www.poplar.co.jp/pr/sekaimeisaku/
自分がこどものころ、こうやって昔話を
親に読んでいてもらっていたことを思い出し、
こうしてまた自分がこどもたちに読んでいる、ということが感慨深い。
街の書店さんで、入り口近くにくるくる回る回転台にささっている
小さな絵本だ。なんと1冊350円。
永岡書店版などあるが、
このポプラ社版がよいところは
・ちょうどよい長さ(あまり長いと寝かしつけに困る)
・3年前に改訂版がでていて、作画がアニメーション制作会社出身の方なので、絵が今風でかわいい
・『きみはいい子』の中脇初枝さんが文章を書いている
筑波大学で民俗学を専攻されていたそうで、上記のようなどこか懐かしい
リズミカルな文章がとてもいい
・最終ページの「かいせつ」は大人が読んでさらに理解が深まるようになっている。
こどもに読みながらも、読んだ大人が、「昔読んでもらったこの話はこういう経緯で
読み継がれていたのか…」と理解することができる。つまり大人の学び直しにもなる。
↑ちょっと勉強になる。
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3年ほどまえ、上の娘がディズニーにはまっていて
読んでとせがまれた絵本には、
泡になって消えない人魚姫・リトルマーメイド、
「いつかこの状況からはいあがるわ。夢はかならずかなう」と言っていた
清貧とはほど遠いシンデレラがいて、
びっくりした。
ちゃんとしたむかしばなし絵本はないかと
本屋にいけば
「こどもの頭がよくなる 日本むかしばなし●選」
というタイトルが並んでいた。
嗚呼… その枕詞、いらんし。
そこで見つけたのが、このシリーズだ。
***
息子は3歳で
ちょうど先にあげたラインナップがちょうどいいけれど
『アリババと40人のとうぞく』『オズのまほうつかい』『くるみ割り人形』
なんかは、7歳の娘が自分で読む分にもちょうどいい(というか結構レベルが高い。)
息子が喜ぶのは、
悪さをしたたぬきに、ウサギが仕返しする『かちかち山』
レンガの家をたてたこぶたの3男が オオカミを追い返す『3びきのこぶた』
など。
『さるかにがっせん』『はなさかじいさん』なども残酷な仕返しがあって、
たぶんここらへんは今どきの絵本には描かれない ざらっとした感触がある。
でも、「悪いことをしたらかならず悪いことが返ってくる」
という教訓がえがかれ、
「かわいそう。でもな、」という複雑な判断があることを、こどもは知る。
(まあ仕返し自体がよいかどうかは別として)
よく言われていた「ディスカバージャパン」も、
こういった素地があるかないかで見えてくるものは
かわってくるんじゃないのかな。
季節の行事や和菓子なんかにもつながってるしね。
『いなばのしろうさぎ』とか、大人でも難しい…
夢をみる。日常のちょっとしたことをおもしろくとらえる本。など、新しい絵本もそれぞれ魅力的で意義はあるけれど、一方でリターンを先に考える、肌触りがよい絵本が氾濫している気もする。たまにはこういうのはどうですか。
こういうシリーズがあることが、
とてもうれしいし、大人にもおすすめしたいです。
以下、サイトから引用します。
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長く愛されてきたおはなしは、世代をこえた共通言語。
語り継がれ、読み継がれ、ときに形を変えて愛されてきた
おはなしの数々は、おもしろいからこそ、現代にも残されています。
さらには、未来を生きる子どもたちの道しるべとして、
人生の楽しさ、厳しさ、素晴らしさを語ってくれます。
子どもたちの心に寄り添い、育んでくれるおはなしの力。
美しいことば、親しみやすい絵、手ごろな価格で、
おはなしの楽しさをたくさんの子どもたちへお届けします。
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これから人生のとびらをひらいていく君へ。
物語の世界へようこそ。
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