本の話をしよう01『ゴリラの森、言葉の海』
人生2度目の緊急事態宣言、初日。
これまでも意識してそうしてきたけど、こんな世の中だから、できれば毎日(平日のみですが)、本について、や、気になった言葉をここで書こうと思いました。
在宅でぬくぬくと仕事ができることを恵まれていると思います。
自分なりに何かポジティブなものを発信して何かの役に立てばいいなと思うし、そうでなくても、在宅は結構メンタルがやられるので、自分のメンタルキープと文章修行のためにも。たとえとして不適切かもしれないけど、アンネにおける日記みたいなものとして。
仕事しながらなんでスピード重視、文章雑になるかもしれませんが
まあ、なんとなく。楽しく。
今日の1冊。
昨日の小川洋子さんつながりです。
『ゴリラの森、言葉の海』 山極寿一・小川洋子 新潮社
「言の葉(ことのは)」「言葉の森」はよく聞くフレーズだが、
「言葉の海」というのが珍しく、このタイトルにとても惹かれて本屋で手に取った。
京大総長で霊長類学者の山極先生と、作家の小川洋子さんの対談集。
某賞の選考委員同士で、山極さんのゴリラ研究の話に興味を持った小川さんが
とてもいい聞き手になって山極さんの言葉を引き出している。
山極先生、他の著作でも紹介しているが30年以上野生のゴリラを研究している人。
若いころ、2年間研究のためにゴリラと生活を共にし、
その時6歳だったゴリラ・タイタスと、あとになって26年ぶりに再開したとき、
ちゃんと覚えていた、というエピソードが冒頭で披露されています。
(そこら辺に関しては私は『サル化する人間社会』(集英社インターナショナル)で読みました。
ゴリラが挨拶するときには「グフーム」という、というのが印象的でした)
以下、山極さんが語るゴリラのこと・面白かったこと
ゴリラも孤独をかみしめる
ゴリラの家族愛
ゴリラの思春期 (世界中に成人になる通過儀式があるが男のみ。女にはない)
人間の暴力性の根源
ゴリラの孤児院(アフリカで昔人間の女性がゴリラの孤児に授乳していた!)
ゴリラの同性愛
ゴリラの信頼関係(人間が噂話が好きなのは相手の不在を共有するため?)
絵本の中で絶対に殺していけない存在=こどもに食べ物を与える人
ゴリラのオスにとって大事なこと=こどもに対する魅力
基本的には、小川さんが聞き手、山極さんが話し手というかんじだけれど
山極さんの話の合間に語られる小川さんの感想も面白かったです。
「おわりに」にある山極先生の締めの言葉がよかったので書き抜きます。
「現代の物語はひょっとすると小説家の手を離れて、科学技術と共にとんでもない方向へと
飛びつつあるかも知れない。人間の想像力はすでに言葉を離れつつあるからだ。
それを人間の身体に再び回帰させるのが、小川さんをはじめとする作家の重要な役割だろう。
僕の最愛の友であるゴリラと一緒に、そのお手伝いができればとても幸せだと思う。」
最後の一行に、山極さんのやさしさ、お人柄が出ていてじーんとくる。
ではでは、人間もゴリラも、生きていくのは大変だけど、
遠い場所でゴリラも頑張って生きている。
今日も楽しくいきましょう。グフーム。
(2021/01/08)
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