【エッセイ】我が家のお夜食
わたしの実家では「鮨屋」で外食をしたことがほとんどない。
父は戦後の貧しい家庭で育ち、外食にお金をかけることをあまり好まなかったし
母も歳が離れた兄もお酒が弱く、私は子どもの頃は海鮮類がにがてだったというのもあったから。
だが、ときおり父が仕事帰りに勤務先の近くにある「はがま寿し」でおみやを買ってきてくれて、母から「子どもだから、ちょっとだけね」とおこぼれをもらい、深夜に家族でお寿司をほおばる時間がお気に入りだった。
その後、父が定年退職