「風をつかまえた少年」を映画で見たら原作を読んでほしい
8月2日からマラウイを舞台にしたノンフィクション映画「風をつかまえた少年」が公開されています。
マラウイ在住の自分としては、国内におけるマラウイ認知度向上を思うと、非常に嬉しい出来事です。
映画のストーリー
この話のストーリーは、以下の通りです。(下の記事から抜粋)
アフリカの農業国、マラウイ。北海道と九州を合わせたほどの面積で、最貧国のひとつだ。その中部ウィンベの農村で両親や姉と暮らす少年ウィリアムは、科学への興味が広がり、ラジオの修理・分解も得意。中等学校に進んで夢を膨らませていた。だが入学してまもない2001年、村が大干ばつによる飢饉に見舞われ、農業を営む一家は食うや食わずとなり、学費も払えず、ウィリアムは中等学校の中退を余儀なくされる。
村中が困窮する中、村の族長は、訪れた当時のバキリ・ムルジ大統領(76)の前で演説し救済を訴えるが、たちまち暴力を振るわれ重傷に。飢えによる死者が大勢出て強奪も横行する中、ウィリアムは追い出された中等学校の図書室にこっそり通い、英語の本『エネルギーの利用(Using Energy)』と出会う。英語はほとんど読めなかったが図解を頼りに読み解き、廃品置き場で拾ったファンやパイプなどで手製の風力発電装置を独力で完成。発電と水の汲み上げを実現し、大地の恵みを復活させる。
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本当にすごくオススメの映画です。皆さん、ぜひ映画をみてください!
なお、Netflixでも見れます。映画の宣伝は以上です!
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映画もいいけど、原作はもっと面白い
さて、このストーリーは、ノンフィクションです。
原作は「The Boy Who Harnessed The Wind」です。
僕は原作を読んで映画を見ました。
映画もよかったですが、個人的には原作はその10倍くらいよかったです。(映画は、時間の制約あってコンパクトにまとまっている印象でした。)
原作の何が面白い?
「風車を作った物語」に関しては、原作では、物語の後半で描かれており、実は前半の「ウィリアム君らマラウイ人たちの日常生活や飢饉の詳細」に大いに惹きつけられます。(映画では、風力の話がメインでしたが、それは実は原作の半分のストーリーでしかないのです。)
前半部分は、とにかくアフリカの貧困地域の描写がリアルで、ドキュメンタリーとしての価値を強く感じます。
マラウイの農村地域で暮らす人々の様子や雰囲気などが、とても丁寧に描写されておりリアルな情景が伝わってきます。
僕は飢えたことも、家の手伝いのために学校に行けなかったこともありません。日本人として生まれてきたことを本当にラッキーだった、と日々感じています。
そんな僕がマラウイの人々の気持ちに入り込む機会を、この本は与えてくれました。
マラウイは,昔から『世界最貧国のひとつ』のままです。人口が増え続ける中、経済成長はままならず多くの人が貧困ラインの元で生きています。
そんな人々が送る日常を、この原作を通じて、ぜひ一人でも多くの人に感じてほしいと思います。
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「風をつかまえた少年」が次につかまえるもの
ウィリアム君は今どこで何をしているのかというと、上の記事によれば、米国ダートマス大学を卒業し、結婚もして米ノースカロライナに住んでいるそうです。
そして、1年の半分はマラウイに帰り、村の水や電気などのインフラ改善の手助けをしてきた。井戸で地下水を汲み出し飲み水として利用できるようにする方法を教えたほか、中退となった中等学校と連携して太陽光発電で水を汲み上げるプロジェクトも進めているそうです。
目下の取り組みは、若い人たちがアイデアを形にできるようにする「イノベーションセンター」の建設。ウィンベ近郊で2〜3年後には完成させようと、資金集めに奔走している、とのこと。
数年前のTEDで語っていたことを一つずつ成し遂げていますね。カムクワンバさんの姿を自分も見習わねばと思いました。
米国で学んだことを母国にどう持ち帰れるか、村の問題をどう解決できるか考えたのが始まり。世界には才能ある人たちがたくさんいるが、必要な手段にたどり着けないがゆえに達成できない人は多い。彼らのためのスペースを作りたい。彼らが地元で直面する問題を解決するものを作ったりする場になればと思う。人々が自分で設計して作り上げることができる道具も備えるよう。
マラウイを題材にした「風をつかまえた少年」ぜひ映画館でご覧ください。
ここまでお読みいただきありがとうございました!