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変身スーツ(最終回)ユニシロシリーズ(2分で読める小説)
変身スーツ(最終回)
店主はその変身スーツを着て店に出ることにした。
いつもの様にお客さんはあまり来ない。
売る品物が余りにもユニーク過ぎて、
またインチキまがいの
商品もあるせいで、
お客さんが来ないのだ。
この店には「誘惑銀杏」と言う
媚薬もあり無料で提供している。
これはすごい媚薬で、
お湯に溶かして相手に飲ませると
飲んだ相手は、その人の元にやってくるのだ。
だが、自分で作って自分で飲むと
この店ユニシロに立ち寄りたくなるのだ。
本当に不思議な媚薬である。
一説によると、
魔法使いのハーマヨニーの従兄弟の友達が、
その「誘惑銀杏」を作ったと言われているのだが、
定かでは無い。
だが、最近はその効果も薄れて来たみたいで
お客さんの数は少ない。
(実情はお客の皆さんは飲まずに捨てている)
しかし店主がそのスーツを着て店に出た途端
巷では大きな反響を呼んだ。
ユニシロの行くと
「すごいイケメン男子がいる」
との噂が立ち多くの女性達が
一目店主に会いたい、と訪れるのだ。
一番驚いたのは、店主であった。
彼は今まで女性に注目などされずに生きて来た。
だが、このスーツを着た途端、モテにモテるのである。
店の商品は、飛ぶ様に売れ、
全て女性客が購入してくれた。
特に、激甘鏡は人気であった。
また、若返るワンピースも好評だ。
綺麗に変身出来る化粧品は、
品切れになってしまった。
いつしか、ユニシロは日本全国でも評判のお店と紹介された。
店主もテレビに出演し、そしてそれが全国放映された。
何もしないでもお客はやってくる。
店主は以前とは違い、お客に対していつしか
横柄な態度になっていった。
しかし、それは店主本来の姿ではなかった。
店主は、人好きで誰にでも優しく接する人なのだ。
だが、今の店主は違った。
お客様を大切にする気持ちは薄れている。
だんだんと横柄な態度になる自分が怖かった。
店主の想いは複雑であった。
……宇宙服を着た自分は仮の姿。
多くの人達は幻想の自分の姿を観ている。
それを賞賛し、多くのファンがいる。
私の顔はイケメンでも何でも無い。
むしろ、ブサ面だ。
そして、私はこの様な横柄な人間では無かったはずだ。
姿が変わる事で、性格まで変わってしまったのか?
真実の私の姿を知っているのは、自分と松原千恵子だけ。
松原千恵子は、冷やかな目でいつも私を見ている。……
心に虚しい風が竜巻の様に襲い掛かってくる
店主であった。
「この、スーツを脱ごう。そしていつもの
モテ無い男に戻ろう。これが自分だ。
真実の自分。仮の自分など必要がない。
たとえ店にお客様が来なくなり、
ふたたび閑古鳥が鳴こうとも、このスーツを脱ごう」
彼のこの想いは、
女優が服を脱ぎ、ヌードになる事に似ていた。
店主がスーツを脱ぎ、店に現れ出すと
多くの女性客の嘆きの声を聞かされた。
「あのイケメン男子は何処に行ってしまったの?」
との質問には一切応じなかった。
以前の様に、店主はお客様に愛想を振り撒き、
親切に対応し、お客様に接していった。
そう、いつもの様に揉みて手をしながら、
お客様を迎えた。
🎵今日のお客はどんな客、
瞳を光らせやってくる。
完
追伸
あの宇宙人のスーツはどうするの?
捨ててしまうの?
それとも売るの?
どっちなの?
教えて、店主さん!
それとも作家に聞くのかな?
教えて、坊さん!
間違えた!
教えて!
ボーンさん!