ハルの夢を(410字の小説)
「貼るの!夢を。神社の壁にお札を貼るとね、
願いが叶うのよ」
と、見知らぬ人の声が聞こえる。
ここは「壁貼り神社」
…壁に貼ったぐらいで、夢が叶うなら苦労はしないよ。…
と、想っていたのに、この神社に来てしまう
「溺れる者は藁をも掴む」と言うけれど
今の僕の心境だ
壁に貼ってあるお札を見ると、
夢の貼り紙に、❤️のマークが付いている。
神主に聞いてみた。
「他人の夢が良い夢だと感じたら
❤️を付けるのです。他人の夢に❤️マークを付ければ付ける程、自分の夢が叶います。」
この神社もサイトと同じか!
書いた記事に❤️を付けるのか!
僕は売れない作家。
小説の評価が低いのか❤️はいつも一桁だ
悩んだ挙句に神頼み。
僕は願いを込めて、お札を貼る。
数日後、この神社を訪れた。
僕のお札に❤️がいっぱい。
嬉しい!
こんなに受けたの初めてだ!
だけど、僕の願いは叶わない。
そういえば
「他人の夢に❤️を付けた人の夢が叶う」
と、神主は言っていた。
こんな所で受けても、僕の願いは叶わない。