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血管性認知症の種類と特徴3つ:食支援を中心に

1.皮質性血管性認知症とは、中大脳動脈などの主幹動脈が閉塞することで、主に大脳皮質に梗塞巣が多発して生じる認知症

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・病巣に対応する皮質部位の障害と血管性認知症に共通して見られる遂行機能障害を呈する
・遂行機能障害により食事に時間がかかることがある
・両側に病巣が存在するときは、偽性球麻痺を示すことがある

「このタイプの血管性認知症の場合、咽頭期の問題より、先行期の問題が目立つ方が多い印象です。

特に食事が中々進まない、目の前の皿からばかり食べるなど遂行機能の問題が目立つことがあります。

むせることは少ないものの、自力摂取にいたらず、介護量が増えてしまうという問題が起こりやすいですよね。

もし一つの皿からばかり食べてしまうのであれば、ワンプレートのお皿などが有効な場合があります。

すべてご飯の上におかずを乗せてしまうという方法もありますが、見栄えは良いものではなく、食欲の低下を招くこともあります。

ワンプレート皿であれば、ビックリドンキーみたいな感じで、見栄えも良いですし、一つの皿にのみ集中ができるならば、自力摂取に繋がる人もいるのでおすすめです!」

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2.皮質下性血管性認知症とは、主に多発性ラクナ梗塞と白質病変によって生じる認知症が含まれる

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白質病変は高血圧や脳の動脈硬化などによる脳の血流障害によって生じる病態であり、徐々に進行する
・ドパミン関連の神経ネットワークが障害されるため重度の嚥下障害を呈することがある

「多発性ラクナ梗塞の方も意外と多く出会う印象です。

特に大脳基底核に小さな梗塞巣ができる場合が多いので、歩行障害やバランス障害などの基底核症状がみられる方がおおいですね。

麻痺はそこまで重度でなくても、筋緊張のコントロールやバランスが悪いという印象です。

ST目線でみると、そのような方の場合、失調性構音障害のようないわゆる話す面でもコントロールが不良な症例に出会ったことがあります。

いわゆる酔っ払いの方のような話し方ですね。

病巣は小脳ではありませんでしたが、基底核に梗塞巣がある方でした。

最終的に食事は常食レベルまでいきましたが、最初は水のみテストでムセを認めており、これも嚥下のタイミングがずれてるのかなーという印象でした。

認知機能が保たれていたので、少しずつ飲むという方法で、最終的に水分はとろみ無しでも飲めるようになりました。

そのような方の場合、筋緊張ばかりに注目していましたが、ドパミン関連の嚥下障害もありえるということで、注意が必要ですね!」

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3.局在病変型血管性認知症とは、認知機能障害に深くかかわる部位(角回、視床、前脳基底部など)に単一の血管性病変を生じることで発症する

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・症状は部位により多岐にわたり、それらに随伴して食行動の障害が生じることはあるが、嚥下機能の障害を生じることは少ない

「実際に臨床をしていると、この方は血管性認知症かな・・・と思う方はいても、医者がその診断を下すことって少ないですよね。

アルツハイマー型認知症などでは、診断をされてるケースをよく見ますが、血管性認知症という既往歴や病名がついた方って正直見たことがないかもしれません。

アルツハイマー型認知症と血管性認知症は合併例も多いそうなので、関わる側が知識を持っておくのは必要かなと思います。

このタイプの認知症も、咽頭期の障害が強く出ている方は少ない印象なので、とりあえずの食事形態の調整や禁食には注意をすべきです。

結局はそれが医原性サルコペニアを招き、嚥下機能の低下に繋がるケースがあるからです。

食べられない理由が嚥下5期でいえば、どこの問題なのか。

5期は古いのかもしれませんが、とりあえず原因を探ることが重要かと思います。

認知症だから!ではなんの解決策にも繋がらないので、食欲の問題か、注意集中の問題か、咀嚼の問題か、味の問題か、飲み込み自体の問題か。

など、ケースごとに考えていくのが大切かと思います。」

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本日の内容は

1.皮質性血管性認知症とは、中大脳動脈などの主幹動脈が閉塞することで、主に大脳皮質に梗塞巣が多発して生じる認知症
2.皮質下性血管性認知症とは、主に多発性ラクナ梗塞と白質病変によって生じる認知症が含まれる
3.局在病変型血管性認知症とは、認知機能障害に深くかかわる部位(角回、視床、前脳基底部など)に単一の血管性病変を生じることで発症する

についてでした!

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【まとめ】

◎認知症の原因疾患に分けて摂食嚥下機能を考えると、「できること」「やるべきこと」が見えてくる
◎認知症高齢者の摂食嚥下障害へのアプローチはキュア(訓練)よりもケア(支援)が重要

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本日の引用は

でした!



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