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高円寺

1980年
初めての東京

特急やくもで岡山まで
そこから新幹線で東京へ。

岡山まで母が一緒に来てくれた。
岡山からは
中学生の姉と小学生だった私
初めての二人旅。

予定では東京駅に17時に着く新幹線。

東京行きの新幹線に乗ったものの
なかなか岡山駅を発車しない。
事故があったらしく
2~3時間遅れて岡山を出発した

初めての東京に着いたのは
20時頃だった。

東京駅で私たち姉妹を待っていたのは
伯母の「貞子おばちゃん」

ガンで42歳で亡くなった私の父。
その父のお姉さん。

貞子おばちゃんは長子で父は二番目で長男。
お嫁に行ってからずっと東京に住んでいる。

いつもニコニコおしゃべり上手な貞子おばちゃん
お盆には帰ってきて都会の話を聞かせてくれた。

[代々木公園は日曜日
竹の子族が集まって踊ってるのよ〜』

東京弁(標準語)ってかっこいいな~
東京への憧れをもって聞いていた。

東京駅に着いたのが20時
そこから高円寺駅にどのように行ったかは
記憶にないが

高円寺駅から
おばちゃんの家までの道のり
3人で歩いた夜の商店街の光景が
鮮明に脳裏にやきついていた。


記憶の中の高円寺をもう一度
辿ることにしたのは昨年の夏
2023年8月18日。

3日前に貞子おばちゃんに電話をした。
90歳という高齢にもかかわらず
朗らかな声で教えてくれた。

あのとき住んでた高円寺の貸家は
壊されて今は3階建のマンションが
立ち並んでるわよ〜


高円寺駅北口
中通り商店街
馬橋小学校を
目指して歩いたらいいわ、

わからなかったら電話しなさいね~

今日は思いがけない あなたからの電話
とってもうれしい一日の始まりになったわ
ありがとう。ありがとう。」

幾つになっても変わらない優しい話しぶりに
懐かしさを感じながら電話をきった。

高円寺駅からの行き方をメモ
メモ帳見ながらテンションが上がる

早く高円寺へ行きたい。


2023年8月18日
ちょうど昼の暑い時間

高円寺駅のコインロッカーにでかいバッグを押し込んだ

北口に出て 言われた通り
仲通り商店街へ向かう。

1980年を思い出しながら
馬橋小学校を目指して。



1980年
ここを歩いたんだ。


夜だというのに活気のある商店街に
当時の私はワクワクしていた。

さすが東京だな

田舎の町は8時過ぎると静まり返って
誰ひとり歩いたりしていないのに。

予定通り夕方東京駅に着いていたら
おばちゃんは私たち姉妹を
新宿のレストランに連れて行こう
夕食は新宿で
と考えていたらしい。


仲通り商店街を抜けて
路地から入ったところに
貞子おばちゃんの家があった。
平屋の古い家。

姉と私は大はしゃぎ。

せまーい!いいな~」

と歓声をあげたのだ

田舎の私たちの家はとにかく広くて
畳の間がつながっている
二階建ての家だった。


トイレに行くのも怖い、そんな家。

それに比べて この家は
なんてちっちゃくてコンパクト!
玄関も狭い

トイレもお風呂も狭くて近い。
すぐ行ける。

二階なんていらない。

夕食はおばちゃんが作ってくれた
鮭茶漬け。
そのお茶漬けのおいしかったこと!


姉と私は小さなお風呂に
キャッキャッいいながら入って
6畳位の狭い和室に布団並べて
ぐっすり寝た。


当時のお店はどのくらい残っているのだろう

そんなことを考えながら
Googlemapをみながら歩く

ファミリーマートで
冷たい麦茶を買って
レジのお姉さんに
馬橋小学校を尋ねた。

とても親切なお姉さんで
ファミマの外まで一緒に出てくれて
この先まっすぐ行って左と教えてくれた

言われた通りしばらく歩くと
商店街が終わり
小学校が見えた。
馬橋小学校だ。
落ち着いた雰囲気の校門


蝉の鳴き声も
福岡の蝉とちがって
上品にきこえた。

多分この辺だったんだろうな~

そこには3階建ての
落ち着いた低層階マンションが
整然と建ち並んでいた。

当時は
ごちゃっとした路地から
入ったところに
古い家が何軒かあり
そのうちの一軒が貞子おばちゃんの
家だったんだけど。

平屋の古い家などは一軒もない

2023年の馬橋小学校周辺を
スマホで写真に撮り
来た道を戻ることにした。


高円寺駅に戻って

反対の南口にも行ってみた。

北口より若者が多くにぎわっていた
ルック商店街やパル商店街を
汗かきながら歩いた

私好みの古着屋があっちこっちある。
ネックレスとシャツを買った。



駅に戻り
ドトールでアイスコーヒー飲みながら
スマホに収めた下手くそ写真をみる。

福岡に帰ったら貞子おばちゃんに手紙書こう

どの写真を同封しようかな~

もう少し上手く撮ればよかったな~

そんなことを考えながら。
アイスコーヒーを飲み干した。

おっと、もう
こんな時間!


あまり時間がない。
急ぎ足でドトールを出た。

駅のコインロッカーから

でかバッグを取り出して

買った古着をつめ込んだ。

高円寺の匂いも一緒に。

その場を離れたくなかった。

コインロッカーを
こんなにも愛おしく感じることはそうそうない

心の中で別れを告げた。

また必ず来るよ!

さようなら


東京」は
仕事や遊びで訪れているが

高円寺を歩いたのは
1980年と2023年の2度。

大切なアルバムが2冊できた

1980年の高円寺を鮮やかな景色のままアルバムにそっとしまった

大好きな貞子おばちゃんが
楽しく暮らしていた高円寺

大好きな街

商店街の路地裏に入ると 電車が見えた
この景色に出会えるのは幸せMAX


最後まで読んでいただきありがとうございました。


#この街がすき

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yaa
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