"筋肉ロック”って何?筋肉の知られざる仕組みを綴ってみた!
おはようございます。筋肉がふわっと柔らかくなるミオンパシー 辻村裕美子です。
さて、ミオンパシーでは、硬くなった筋肉のことをこんな風に表現します。
"筋肉ロック"
"筋肉がロックする”
きっと耳慣れないですよね。10年ほど前からミオンパシー界隈だけで使われている専門用語ならぬ専門造語です。
そんなマニアックな単語をなぜ解説するのか?
↓
一番お伝えしたい概念だからです。
なぜ、筋肉は硬くなるのか?
筋肉が硬くなる仕組みとは?
この2つの問いを紐解くと、"筋肉ロック"とは何か?が見えてきます。
(見出し画像と目次が出オチ感ありますが目を瞑ってください笑)
"正常な筋肉"って?
なぜ、筋肉は硬くなるのか?
これを考える前に、「正常な筋肉」について整理してみます。
正常な筋肉では、筋繊維の収縮と伸張、緊張と弛緩がスムーズに行われます。
筋繊維が伸ばされたり縮んだり、動きがある-収縮と伸張
力をいれると硬くなり、脱力すると柔らかくなる-緊張と弛緩
こういった筋肉の働きがあるおかげで、関節を動かしたり姿勢を保つことができています。
では、何がきっかけで筋肉は硬くなってしまうのでしょう?
筋肉が硬くなるのはどんなとき?
ひとつは自分で力を入れたとき。
重たい荷物を持ち上げる、等がわかりやすいですがそれ以外でも、起き上がる、歩く、座る、立つ…私たちが動くときには必ずどこか必要な筋肉に力を入れ硬くさせています。そして、動作が移り変わる度にどの筋肉を硬く緊張させるかが目まぐるしく入れ替わっているのです。
自力で硬くさせる分には何も支障ありません。自然な筋肉の動作、働きです。
それから、脳梗塞や脳卒中の後遺症によるもの、筋ジストロフィーなど筋肉の病気が原因で起きるものもあります。
では、上にあげたもの以外で筋肉が硬くなるきっかけについて考えてみます。
ルフィのようにはいかない私たちの筋肉
ワンピースのルフィはゴムゴムの実の能力者。なので、ゴムのようにびよ〜んといくらでも筋肉を伸ばすことができます。
でも、私たちはそうはいかない。
筋肉をぐーっと伸ばしていくと、いつかは限界がきます。それを無理に伸ばしつづけると、最悪の場合、筋繊維がちぎれてしまうことだってあり得ます。そうなると完全に怪我。筋繊維の断裂、損傷です。
ただ、日常生活でうっかり伸ばしすぎて筋繊維が断裂した!なんてことが頻繁に起きていたら…とてもじゃないですが身がもたないですよね。ちょっとしたことで筋繊維がブチブチっとちぎれてしまわないように、筋肉には備え付けのバックアップ機能がついてるんです。
筋肉に備わっている防御機能
とても合理的で無駄のない機能美だらけな私たちの体。
基本的には「生きる」ようにできています。なので、危機的な状況に陥ったときの緊急対処機能が体の各所に散りばめられています。
もちろん筋肉にも、です。
筋肉にとって最大のダメージは「断裂」
なので、筋肉にはあらかじめ簡単にちぎれてしまわないようにする防御機能が備わっています。
この防御機能の司令塔は"筋紡錘”と呼ばれる筋肉のセンサー。
普段の筋紡錘は、筋繊維の伸張具合を観測するセンサーの役割を果たします。でも、筋繊維がちぎれるかもしれない!という危機的状況に陥ると、「縮んで守れ!」という信号を送ります。
筋紡錘が「縮んで守れ!」という信号を送る=緊急事態発生!のサイン。なので、この信号は脳を介さず、筋肉と脊髄で直接やりとりされます。ものすごい速さで筋繊維を縮ませないと間に合わないからです。
いわゆる伸張反射(脊髄反射)と呼ばれる反応です。
結果、筋肉はとっさに縮んで硬くなるのです。
つまり、筋肉は筋繊維がちぎれてしまわないよう、守るために硬くなることがあるのです。
日常に潜む筋肉の危機?「縮んで守れ!」が出されるシチュエーション
たとえば車で停車中、後ろからゴツンと追突されたとき。追突の瞬間、急に前後に大きく体を振られますよね。このとき全身を硬直させながら筋肉は急激に伸ばされたり縮められたりしています。でもムチウチになるかもしれないけど体がバラバラになるほどではないです。
普段の生活でも、ちょっとした段差につまづいて転びそうになったとき。とっさに全身を硬直させ受け身を取ろうとしますね。もしかしたら着地に失敗して捻挫はするかもしれないけど足首がちぎれることはないです。
スーパーで買い物中。春キャベツに新玉ねぎ。そろそろ梅酒も仕込みたい…とカゴいっぱい詰めたあとでみりんを切らしてることを思い出した!こんな日に限ってカートを使わないとは痛恨のミス…腕をプルプルしながら何とかレジの前へ!カゴを置いた途端ガクガクになるかもしれないけど腕がちぎれることはありません。
これらは全て、筋肉の防御機能が働き、筋紡錘から「縮んで守れ!」の信号が出されたおかげでブチブチっとちぎれてしまわずに済んだ例です。
筋肉が最も防御機能を働かせるのは…
・強い衝撃が加わる
・急に伸ばされる
・継続的に負荷がかかる
といったとき。
特に「不意打ち」に弱い。
急ブレーキや死角から全力でぶつかられた!なんて最大の強さで「縮んで守れ!」の信号が出されるでしょう。。
ずっと防御体制のまま守り続けている筋肉=筋肉ロック
ほとんどの場合、筋肉の危機的状況は"瞬間的"です。筋紡錘から「縮んで守れ!」の信号が出されたとき、とっさに縮んだ筋繊維は次の瞬間、元の長さに戻ります。
ただ、ある条件が揃ってしまうと…「縮んで守れ!」の信号が出されっぱなしになり、ずっと縮んだまま筋肉が硬くなってしまうということが起こります。この状態の筋肉のことを「筋肉ロック」と呼んでいるのです。(このある条件については別の機会に…)
ロックした筋肉=もう守る必要はないのにずっと守り続けている状態の筋肉、です。
ロック状態に陥った筋肉は
・硬く
・太く
・短く
なったまま収縮も伸張もできない。緊張も弛緩もできない。
つまり、筋肉の働きを発揮できない筋肉になってしまいます。
筋肉ロックが蓄積すると何が起きるか…はまた別の機会にまとめますが、
・久しぶりに開脚したら全然開かなくなっていた。
・前は軽々上り下りしていた階段。今は四苦八苦する。
・このイスよりあのソファに座る方が楽。
・最近、枕が合わない気がする。
・冷えやむくみがひどくなった。
・猫背や反り腰、O脚X脚が悩み。
・特定の姿勢や動きで痛みが出る。
↑心当たりがある方は筋肉がロックしている可能性大です。
「筋肉は、車のシートベルトのように硬くロックすることがある」
"筋肉ロック"
"筋肉がロックすると…"
"ロックした筋肉が…"
と、ミオンパシーを提供する整体院やサロンのHPには必ず記載されているこの表現。
10年ほど前。とある先輩が放った「これ、車のシートベルトがロックするときに似てません?」の一言がきっかけで「筋肉ロック」と呼ぶようになりました。
車のシートベルトは
・普段は長さが調節できる
・急ブレーキやベルトを思いきり引っ張ると長さが固定されて動かなくなる
・ベルトをたるませるとまた長さが調節できるようになる
筋肉は
・普段は筋繊維の長さを調節できる
・急に伸ばされたり強い衝撃が加わると縮んだまま固定されて動かなくなる
・硬くなった部分をたるませるように緩めると元の状態に戻り筋繊維の長さを調節できるようになる
どちらも「守るため」に長さを固定するところも一緒。そっくりです^^
「筋肉は車のシートベルトのように硬くロックする仕組みがある」
この概念をお伝えしたくて長年活動していると言っても過言ではありません。私たちミオンパシーセラピストたちの根っこでもあります。
なぜ伝えたいか?
ズバリ、知っているのと知らないのとでは大違いだから!
筋肉ロックは筋肉の守る仕組みによって硬くなるという、ある種、私たちの体の仕組みに則って起きる現象です。でも、あまり知られていません。整形外科や施術の現場、スポーツジムやトレーナー業界…と、体のケアに関する現場でも取り上げられないことがほとんど。
めちゃマニアックな筋肉の仕組み。だけど筋肉ロックの蓄積は筋肉の働きを低下させ、痛みや動きの制限の元になり得ます。筋肉がロックして硬くなることがある、と知っていさえすれば、適切な手法でご自身の筋肉をケアできるようになると言っても過言ではありません。
長きに渡る健康ブームで様々な健康法やエクササイズが提唱され、巷では情報過多となって久しいです。仕事柄、私も情報を集めることがあります。でも大抵が「からだにいいもの」「健康になるもの」と大きな括りでひとまとめにされている印象を受けます。
本来なら、その時々の筋肉の状態から適切なケア法を選んで実践するのが理想。伸ばした方がいいのか鍛えるのがいいのか緩めた方がいいのか動かした方がいいのか温めるのがいいのか…判断基準がなければ手当たり次第試すしかありません。
筋肉がロックして硬くなっているとき=ちぎれないように守っているとき、です。緊急防御モードの筋肉があるのであれば、まずは正常に戻すが先決。この基準があるだけでも、今の自分には何が最適なケアなのか?をご自身で判断できるようになると思います^^
筋肉ロックの見つけ方はこちらに少し載せてます↓
ミオンパシーは、30年に渡り筋肉ロック一筋。硬くなった筋肉を元の状態に戻す、ということをひたすら行い続けています。この硬さは筋肉のロック?と思われた際にはぜひお気軽にご相談ください。
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