令和にプレイした『FF5』は、自由度の高い育成要素と王道ストーリーが光る名作だった。
『令和にプレイしたレトロゲーム』シリーズでは、私が初見でプレイしたレトロゲームの感想・評価をまとめていきます。
当時の時代背景を考慮に入れつつも、「今から遊んでも楽しめるか?」「今からわざわざ遊ぶだけの価値はあるか?」という現代的な価値観を大事にしています。
他のゲームの感想も挙げていますので、よければご覧ください。
【はじめに】
これは、PS1版FF5の感想文です。
重大なネタバレは曖昧な表現にしていますが、必要に応じて軽微なネタバレが含まれる場合があります。
FFシリーズは4,7,9,10をプレイ済み
前作FF4の感想はこちら
その他のFFシリーズの感想はこちら
【プレイ前のイメージ】
FF5と言えば、ジョブシステムによる育成の自由度高さがあまりにも有名。
シリーズで最も人気のある作品で、SFCのRPGを代表する1作というイメージがあるので、かなり楽しみ!
【評価点】
●とにかく育成が楽しい
・本作最大の魅力。ジョブシステムは有名なのでかなり期待していたが、期待通りの楽しさだった。
・豊富なジョブに就くことができ、アビリティを自由に付けることができるため育成の自由度が非常に高い
・ジョブの切り替えにはコストが不要で、装備も自動的に最強装備を着けてくれるので、気軽にジョブを切り替えて育成を楽しめる
・エンディングで育成した結果が表示される。今まで育てた達成感があって嬉しいポイント。
- ポケモンの「殿堂入り」の演出に近い喜びがある。
●育成が楽しいので、レベリングも楽しい
・FF4から育成の楽しさが大幅に向上したため、同じようにレベリングをしても作業感が薄くなった
・またFF4ではパーティメンバーがコロコロ変わるせいで、せっかくレベリングしたキャラが離脱して、レベルの低い新キャラと入れ替わる"レベルのリセット"が頻繁に発生していた。
・これが定期的にレベリングしなければならないことや、育成があまり楽しくないことの原因の1つだった。
・しかし本作では離脱するキャラのレベルやアビリティが、新く加入するキャラに全て引き継がれるため、"レベルのリセット"が無くなり、育成した内容が無駄にならないよう配慮されている。
これにより、育成の楽しみがさらに向上した。
●バトルはオーソドックスなコマンドバトルだが、育成の楽しさのお陰で飽きにくく楽しい。
・特にボス戦では、物理/魔法、各種属性、カウンター/リフレク等の様々な要素が絡んできて、豊富な戦術の試行錯誤を楽しめる。
・前作では問題が多かったATBだが、今作ではパーティメンバーが4人に減ったことと、TIMEゲージが追加されたことにより、かなりマシになっている。
●UIが便利
・ジョブを切り替えると自動的に最強装備を付けてくれるのが楽
・FF4ではアイテム枠が狭かったが、本作ではアイテム枠がほぼ無制限になった
・FF4ではフィールドで使えるアイテムにしか説明が無かったが、本作では殆どのアイテムに説明が追加され、効果が分かりやすくなった。
●グラフィックが良くなった
・FF4ではフィールドのグラフィックがややチープだったがそれも改善され、全体的なグラフィックがとても良くなった
・特にFF4でも良かった敵グラフィックはさらに洗練されていて、見応え抜群
・各キャラクターのミニドットが、ジョブによって変化するため、かわいらしくて見ていて楽しい
その全てにデバフによる差分が用意されているのも何気に凄い。
・ミニドットのアニメーションが増え、イベントシーンで動きまわる様子がコミカルで可愛らしくなった。
●細かい描写が行き届いている
・例えばあるキャラが死ぬシーンでは、レイズやフェニックスの尾を使う描写があり、「手を尽くしたが駄目だった」ことがきちんと明示されている
●音楽も良い
・特に『ビッグブリッヂの死闘』は有名であるため以前から知っていたが、噂通りの良い曲だった。
●ストーリーはシンプルだが、王道で熱い。
・終盤、石版集めに入るとややダレるが、そこまでのストーリーにはダレる所が無い。
・FF4のストーリーはキャラの死が軽く扱われていたが、本作では死んだキャラに関する話がエンディングまで続けられ、死がしっかりと重く扱われるようになった。
●世界が広い
・3つの世界を股に掛ける壮大な冒険
・さらに、冒険中に使う乗り物がとても多く、冒険らしさをより強く感じられる。
船、飛空挺、潜水艦、チョコボ、黒チョコボ等、様々な乗り物が登場し、移動が楽しい。
●秀逸なゲームバランス
・FF4では要所要所でレベリングが必要なバランスだったのに対し、本作ではバランスが適正に引き下げられた
・単純に敵の強さが下がっただけでなく、ジョブによる多彩な戦略を取れるようになったことで、育成次第ではレベリングを殆どせずにクリアすることも可能になった。
・それでいてヌルゲーにはならない絶妙なバランス
・ジョブチェンジにより必要な装備の数が多くなったことや、魔法が有料になったこと、指輪等の高額な装備が増えたことなどでお金の使い道が増え、お金の価値が保たれるようになった。
- FF4ではお金の使い道が乏しく、エリクサーと風魔手裏剣くらいしか買うものが無かったが、大きく改善されている。
【賛否両論点】
●次の目的地が分かりにくい箇所がある
・この時代のRPGでは珍しくないことであり、許容範囲内ではある
●終盤に入るとストーリーがややダレる
・具体的には石版集めと、次元の狭間のボスラッシュの部分。
・とはいえこの部分以外のストーリーは充分に面白いので、そこまで気にならない。
【問題点】
●どのジョブを育てるとどんなアビリティが覚えられるのかが分からず、育成計画が立てられない
・説明書には各ジョブLv3までのアビリティ一覧が掲載されているものの、初見では分かりにくいものも多く、Lv4以上は載っていない。
・一部のアビリティはNPCから説明を聞けるものもあるが、ほとんどのアビリティは説明を聞くことはできない。
・せっかく育成の自由度が高いのに、初見ではどのジョブを育てればどうなるのかが分からず、育成計画が立られないため、あまり楽しめない。
・初見プレイの場合は、攻略サイトで各ジョブの特性を確認して、育成計画を立てることをオススメする。
●ゲーム内で魔法の効果が説明されない
・ジョブと同様、説明書にはLv3までの魔法が載っているが、Lv4以上は乗っていない
・特に召喚獣は効果が分かりづらいものが多く、攻略サイト等で確認する必要があった。
今からプレイするなら、攻略サイトで各種魔法の効果を確認することをオススメする。
●「さいきょうそうび」の仕様
・最も攻撃力or防御力の高い装備を自動的に選ぶ機能だが、本作で最も防御力の高い頭装備はスリップダメージを受ける「いばらのかんむり」で、その他装備は死の呪いを受ける「のろいのゆびわ」である。
要するに、ジョブチェンジをすると自動的に最強装備になる仕様と、数値上の最強装備がデメリット持ちなことがバッティングしてしまっているのだ。
・そのため「さいきょうそうび」を使うとこの2つが自動で装備されてしまい、毎回変更する手間がかかる。
・「預かり屋に預ければ自動装備を回避できる」「数値上の最強装備を、デメリット持ちではない装備にする」「デメリットのある装備は自動装備の対象外にする」等、何らかの対策法が欲しかった。
●取り返しのつかない要素
・ギルガメッシュのイベントフラグが時期限定の任意発生。
良いイベントなだけに、取り逃すと見られないのは惜しい。
自分は取り逃したことを後から知り、動画で確認する羽目になった。
・「ブレイブブレイド」「チキンナイフ」という2つのアイテムが二者択一となっており、もう片方は手に入らない。
それだけならよくあるシステムだが、このうちチキンナイフは作中最強クラスの武器であるため、ブレイブブレイドを選ぶと激しく後悔することになる。
ジョブシステムの件と合わせて、こちらも攻略サイトで入手方法を確認しながらプレイすることをオススメする。
・異常にドロップ率の低いボス戦限定アイテムが多い。
あくまでオマケ要素だが、コンプ癖がある人にとってはかなり気になる。
●一部に激しいフラッシュが使われていて目が痛い
・やはり今回も、ラストバトルで激しいフラッシュが使われている。
FF4で使われていた、赤や緑などの明るい色を点滅させる「パカパカ」ではなく、単なる白一色のフラッシュであるため、FF4よりはかなりマシだが。
・これは発売時期の問題であるため、GBA版以降のバージョンなら修正されているはず。
【項目別評価】
ストーリー ☆4
演出 ☆5
キャラ ☆4
育成 ☆5+
マップ ☆4
バトル ☆5
音楽 ☆4
グラフィック ☆5
UI ☆4
ロード ☆3
テンポ ☆4
※各5点満点、「☆5+」は特に良かった項目。
【総評】
良くも悪くもレトロゲームらしかった前作から大きく改善され、育成の楽しさを詰め込んだ万人受けする内容になった。
ストーリー、演出、キャラ、育成、マップ、バトルなど、多くの要素が非常に高水準でまとまっており、RPGとしての完成度がかなり高い。
前評判からかなり期待していたが、それ以上に面白かった。
ジョブシステムに不親切な所はあるものの、現代なら攻略サイトで補える。
その楽しさは色褪せておらず、現代でも通用する、完成度の高い傑作。
【余談】
・ネット上では「FF4はストーリー重視、FF5はシステム重視」という意見をよく見るが、ストーリーに限ってもFF5の方が遥かに良かった。
・なんでFF5で出来てることがFF10で出来てないんだよ!!!!
育成の自由度も、自動でレベルが上がる便利さも、雑魚戦の楽しさも、FF5の方が遥かに上じゃねーか!!