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同士少女よ、敵を撃て[感想](ネタバレなし)

同士少女よ、敵を撃てを読みました。
4/13に読んだので1カ月ほど経ってからの感想になります。
読み終わった直後は読後感がしっかりしていて、美味しいごはんでお腹いっぱいになったような感覚でした。
以下、引用に読後直後の感想を再掲します

おもしろくて一気に読みました。
アニメ化しそうなくらいポップな少女たちの独ソ戦は非常に引き込まれましたが、時おり展開される日本人好みの描写にはみなさん鼻息荒くしそうです。
ウクライナのことを考えるうえで、歴史以外の門としておすすめです。

4/13自身のTwitterより

実はほかにもいろいろ感じるものがあったのですが、結構迎合して書いてしまっていますね。でも迎合したとはいえ以下3つにやはりまとまりますね。

  1. アニメ化しそうなキャラクター設定に引き込まれた

  2. 日本人好みの少女たちの友情描写に荒い鼻息

  3. ウクライナのことを考えるきっかけになった

アニメ化しそうなキャラクターとは主人公セラフィマを始めとする少女たちの性格の引き出し方ですね。
たとえば主人公セラフィマなんかは、まじめに自分の目的まっとうを目指すのだけれど完璧主義のようでいてどこか抜けてるところがあり、その抜け目とは若さゆえの少女性であったりします。この剛と軟の組み合わせが人によってはリアリティにかけると思われそうですが個人的にはバラエティー小説として立派に機能していると思いました。
一方で、そのような設定をファイアパンチに登場する悲劇の主人公そのものとして皮肉を言われているので2回目よむときはメタ的な読み方も可能です。

ファイアパンチ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL) 藤本タツキ https://www.amazon.co.jp/dp/B01G1DV4PY/ref=cm_sw_r_tw_dp_NC7ZR4V3HFNX3VGBWAEQ

つぎに、日本人好みの少女たちの友情描写に荒い鼻息ですが、
これは文化の違いを感じるものが時折あるんですね。
私なんかはロシア・ウクライナ地方の文化にまったく詳しくないので、
少女同士が接吻するのが親愛の挨拶だとか、やたらと近い距離間なんかは
昔の日本文学の男色表現に近いものを感じます。
同性愛にも読めるが、文学表現としては交友であったりと建前を保ちつつ作者のあざとい狙いも感じました。
世代がバレそうですが、昔はタトゥーというロシアユニットも流行ったのであんなイメージなのかなあと妙な説得力もあったので、その辺の知識は事前に欲しかったですね。
https://festika-miz.com/tatu/

結論としては、ウクライナのことを歴史や政治だけでなく文化の面から考えるきっかけになりました。
上にもあるように本当に親愛のあかしのスキンシップはあるのだろうか?とか、出身地方によるステレオタイプはあるのかなど疑問がたくさん出てきました。
いまウクライナ侵攻により、たくさんの方がロシアのことを調べていると思いますが歴史を振り返ると戦争や政治からおさらいすることが多く、
文学と言ってもドストエフスキーとか超長い小説に触れることになってしまいます。
その点、日本人作家ではありますがモチベーションを爆増させる本作は、ウクライナを考えるうえで上質な奮起材になるなあと思います。
また、独ソ戦のことを詳しく知りたくもなったので読後にセラフィマたちのモチーフになっているであろう少女たちがたくさん登場する

戦争は女の顔をしていない (岩波現代文庫) スヴェトラーナ アレクシエーヴィチ https://www.amazon.co.jp/dp/B084MCR9KG/ref=cm_sw_r_tw_dp_J5X5AY1EAQPZRSKK73JQ

も読みました。
こちらは戦争体験談がたくさんまとめられており、当時の恋愛事情など非常に興味深いコメントがたくさんあります。
個人的には同士少女よ、~を読んだ後によむと歴史への関心がさらに高まるかなと思います。

では、長くなりましたのでこの辺でで!

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