スウェイバック(sway back)
姿勢は治せる
専門家でなくても、人の立っている姿勢をみて「あの人は姿勢が良い」、反対に「あの人は姿勢が悪い」となんとなく判断できます。
私自身、小学生くらいの頃から親に頭が前に出てしまうのを指摘されていて姿勢が良いとは言えません。
こうやって身体のことについて勉強するようになって、自分の身体で変化を検証するようになって少しずつ改善してきました。
(まだ改善の余地はありますが、、、)
姿勢を良くしたいと思う方、姿勢にコンプレックスがある方は多いと感じています。
姿勢は治せます。
自分の身体の特徴を知り、どこが弱りやすく、どこに負担がかかりやすいのか?
そして、それを生み出している生活習慣を整理し、改善していく。
地道な努力は必要ですが、このようなステップを踏めば必ず変化してきます。
そこで、今回は日本人に多いと言われる「スウェイバック(sway back)」について触れていきたいと思います。
スウェイバックとは
正常な立位姿勢は、側面から見た時に【耳垂、肩峰、大転子、外果の2〜3cm前方】に線を引いたら一直線(重心線)に位置します。
(姿勢の教科書より引用)
一直線になっていない場合は不良姿勢と判断できます。
ただし、不良姿勢の場合でも一直線に位置することがありますが、骨盤の前後傾によって、脊柱の弯曲が過度になっているパターンもあります。
この場合の不良姿勢かどうかは見た目でもある程度わかりますが、上前腸骨棘と恥骨結合が垂直線上で一致しているかどうかで判断できます。
さて、ようやく本題です。
(姿勢の教科書より引用)
不良姿勢の中でも、スウェイバックと呼ばれる姿勢は、骨盤が重心線より前方に出ています。
それによって、重心が前方にいってしまうので、バランスを取ろうと胸椎の後弯が増強します。
胸椎の後弯が増強すると、上半身の重心は後方に傾くので、頭部を前方に位置させて前後のバランスをとります。
骨盤は後傾位のパターンと前傾位のパターンがあると言われています。
後傾の場合、ガニ股になりやすく、前傾の場合は内股になりやすいです。
この姿勢は、股関節の前方組織(特に腸骨大腿靱帯)での支持が強くなります。
また、胸椎の後弯、頭部前方位なので、下位頸椎屈曲、上位頸椎伸展のアライメントを呈すので、後頭下筋群や僧帽筋、肩甲挙筋の過緊張や短縮しやすく、肩こり、頭痛などの症状を持つ人も多いです。
このような姿勢を一般の方達は「猫背」と表現します。
しかし、医学的には「スウェイバック」と呼び、腰椎も後弯している全後弯の姿勢を「円背(猫背)」と言うので合わせて覚えておきましょう。
スウェイバックの原因
スウェイバックになってしまう原因は、
①腹部のインナーマッスルの機能、筋力低下
②長時間の胸椎の後弯姿勢
③股関節での荷重感覚の低下
の、大きく分けて3つあります。
①腹部インナーマッスルの機能、筋力低下
腹横筋、多裂筋、横隔膜、骨盤底筋群の深部の筋の働きによって腹圧をコントロールしています。
姿勢保持にはこの腹圧がとても大切で、腹圧が抜けてしまうと骨盤が後傾してしまいやすいです。
そうすると、骨盤を前方に位置させて、腹圧の代わりに股関節前面(腸骨大腿靱帯)で支持するようになります。
スウェイバックは弛緩姿勢と言われ、筋性支持は少ないです。
ちなみに筋性支持に依存すると、大腿四頭筋が優位に働き、腰椎が後弯するような円背姿勢になります。
また、長時間立ち仕事を続けているような人も、常に腹圧をかけているのがしんどくなるのでスウェイバックのような靱帯性支持になりやすいです。
日常生活の中で腹部のインナーユニットの機能が低下してしまう原因を整理しつつ、腹圧のコントロールを再学習していきましょう。
②長時間の胸椎の後弯姿勢
①のインナーユニットの機能が低下してしまう要因とも重なる部分ではありますが、スマホやパソコンなど胸椎を後弯した姿勢、頭部を前方に位置した姿勢を長時間とっている場合などです。
他にも柔らかいソファーなど背中が丸まって座っている姿勢なども影響します。
何げなくとっている日常の不良姿勢が胸椎の後弯を強くし、上半身の重心が後方へ移動してしまうため、立位時には骨盤を前方にして全体のバランスを取ろうとします。
立っている時だけでなく、普段の座位姿勢などから注意が必要です。
胸部に対するアプローチのほんの一例ですが、下記記事も参考にしてください。
③股関節での荷重感覚の低下
そもそも股関節がどこにあるのか分からないという人は意外に多いです。
あなたは正確に「ここ」というポイントを指せますか?
股関節は鼠径部の中央よりやや内側の位置で骨頭を触知することができます。
大転子の位置を股関節と思っている人がいたり、鼠径部の上方を指す人がいます。
膝関節を優位に動かすような人に、上記のような認識が多い傾向にあるかと思います。
そうなると股関節への荷重感覚を正確に認識できておらず、骨盤を前方にだすことで靱帯の張力によって受容器を刺激し、姿勢を保持しようとします。
このような場合には、股関節の位置を認識できるような刺激や、股関節優位な運動を繰り返していく必要がありますね。
まとめ
スウェイバックの原因を、大きく3つに分けましたが、これらは相互に関連のある部分もあります。
どの要素が大きいのかは、その人の生活習慣や機能をしっかり評価して、割合の多いものからアプローチしていくと変化が現れやすいです。
もちろん、これ以外のパターンもあると思いますので、あくまで参考程度でお願いします。
大事なのは問診による情報収集と機能の評価です。
パターンに当てはめようとすると上手くいかないこともあるので注意しましょう。
以前書いた記事も参考にして頂けたらと思います。
また、上記問題に対するセルフケアの記事なども今後作成していこうと思います。
お読みいただきありがとうございました。
謙虚・感謝・敬意
知行合一・凡事徹底
岩瀬 勝覚
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