よね55

二児の父。 良き書き手となるための鍛錬の一環として、更新していきます。

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最近の記事

フレンチおせち 2021

 あけましておめでとうございます。  我が家では、オンラインでお節を買うことが多いのですが、今年は一昨年に、パソコン前に待機し、スマホで時報を聞きながら売り出し開始と同時にアクセスしても購入が叶わなかった、庶民である私どもにとっては高級と言えるフレンチお節を、奇跡的に手に入れました(手続き時、手、震えた)。  そのお節は、大晦日の夕刻に到着。宅配業者の方から「気をつけてくださいね」と私が受け取り、キッチンにて包みを丁寧に外し、保存方法を確認。 先に冷蔵庫内に置き場所を確保

    • 白湯麺の教え

       大学卒業式の翌朝、三浦は府中本町駅に去って行った。私は、涙がとまらなかった。あれから20年程がたった。  その三浦が営むラーメン屋に向かう路面電車にゆられながら、感傷に支配されかけた。  店が評判になっていることは知っていて、味が良いことは容易に想像された。ラーメンをすすりながら感極まらないことを願った。  観光を装い、店の前で家族と記念撮影をするなどして、半ばおどけてみせた。店内に流れる洒落た音楽に学生時代の懐かしさが立ち上がった。内装はもちろん、器ひとつにも三浦の

      • 「普通」なのか「まとも」なのか  (町田康 「権現の踊り子」)

         かつてリオオリンピック閉会式で首相がマリオに扮した結果、内閣支持率が上昇した、と主要なメディアが報じていた。  端的に言うと、このことは国民の民度の低さか、報じたメディアの目の曇りを示すわけだが、いずれにせよ、この国のありようは、良識あるまともな状態、とは言い難い。  しかし、こういった現象は、世間に溢れる言わば普通の事態だ。普通なら良い、というわけではもちろんないが、人の心理として、単に数が多いだけの場所に、安心を見い出すのも事実だろう。  だが、「権現の踊り子」を

        • 確かな倫理 (村上春樹 「かえるくん、東京を救う」

           多くの読者を得れば、結果、書き手が痛みを覚える機会は増すだろう。支持の声が慰めにはなっても、軽薄さが可能にさせる批判や嫉妬の類、言わば人の恥部を目の当たりにする経験を重ねた作家が知る景色を思う。  「かえるくん、東京を救う」では、地底の闇と温もりの中で眠りこけ、目は退化し、脳味噌は溶けて様々な憎しみで膨れ上がっているみみずくんが東京で地震を起こそうとしている。  かえるくんが、それと対峙するために力を必要とする片桐は、地味で平凡ではあるが、自己を犠牲にし、器用とは言えな

          初投稿

           「はじめての記事は、自己紹介やこれからやりたいことを書くのがおすすめです」という言葉を前に喘いでいる。  初心者である私に、積み重ねられた膨大なデータを根拠として道筋を示し、成功へと導こうとしてくれている。  ありがたいことだが一方で、手放しに盲従してはたいした書き手にならないのではないか、という疑念が脳裏に浮かぶ。  ただそれも、要はこの先の投稿の質に全てかかっている、初めての記事を自己の紹介にあてようがあてまいが、結局は先々で、研ぎ澄まされた感覚とまでいかなくとも

          初投稿