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『現象は契機-志向相関的に構造化される』(信念対立解明アプローチ)

現象は契機-志向相関的に構造化される』

信念対立解明アプローチを学んだ。根底にある構造構成主義という哲学が大変原理的で興味深い。

キーワードは『現象・契機-志向相関性・構造』の3つ

現象 私という主観が体験したこと。現実体験であっても幻聴であっても主観としての私が体験したものは現象。可謬性を有さない。

契機-志向相関性 しかしこの現象は十人十色の契機-志向相関性によって構造化されていく。 現象の存在・意味・価値は契機(状況、きっかけ、環境)志向(欲望、目的、関心)に相関的に規定される。

構造 現象以外の可謬性を有するもの。つまりこの世の懐疑的に疑える物質・事象・観念すべてである。エビデンスも専門家の意見も、陰性感情、地球など多くが該当する。

「正しい」という確信(=構造)は、なんらかの経験によって裏打ちされているはずだと考えるのです。

一切の経験がなければ、ある事柄の正当性に関する確信を持ちえないからです。

このなんらかの経験一般は、構造構成学にいう現象にあたります。

では、現象から、構造はいかにして構成されるのでしょうか?

これに対する構造構成学の回答は、契機-志向相関的に構成される、というものになります。

つまり、現象からある事柄を「正しい」と確信(=構造)するには、 なんらかの契機(状況、きっかけ、環境)と、特定の志向(欲望、目的、関心)などの影響を受けていると考えるのです。

こうして生成された構造が『信念対立』として特に医療現場では表現されます。

信念対立解明アプローチではこの信念対立を「解決」ではなく「解明」へ導きます。

問題の落とし所を見つけて解決するのではなく、問題自体を消滅させるのです。

解明とは、誰もが丁寧に洞察すれば理解できるような考え方を示すことで、問題を問題でなくしてしまう営みです。

すなわち、信念対立の解明とは、信念対立を信念対立でなくしてしまうことだといえます。 アプローチの中で有名なのが、信念対立解明アプローチの中の「解明術」です。

アプローチの中で3つの解明条件の達成を目指します。

・解明条件1:すべての確信は契機と志向に相関的に構成されている

・解明条件2:疑義の余地なき確信には成立根拠がない

・解明条件3:契機と志向と確信の納得によって相互了解可能性を確保する


信念を現象が契機-志向相関的に構造化されたものと捉えることがこのアプローチの秀逸なのだと感じました。

引用:医療関係者のための信念対立解明アプローチ:コミュニケーション・スキル入門

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