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そうだ、映画の話をしよう③-ハンター・キラー 潜航せよ

私の好きな映画の話をするうえで欠かせない作品がある。
ある意味人生を変えた作品の一つといってもいいかもしれない。

タイトル:ハンター・キラー 潜航せよ
公開:2019年(日本)
主演:ジェラルド・バトラー
監督:ドノヴァン・マーシュ

あらすじ
ロシア近海で1隻の米海軍原子力潜水艦が姿を消した。ジョー・グラス艦長率いる攻撃型原潜“ハンターキラー”は捜索に向かった先で、無残に沈んだロシア原潜を発見、生存者の艦長を捕虜とする。同じ頃、地上ではネイビーシールズ精鋭部隊の極秘偵察により、ロシア国内で世界を揺るがす壮大な陰謀が企てられていることが判明する。未曾有の緊急事態を回避するため、ハンターキラーには限りなく0に近い成功率の任務が下る。それは、絶対不可侵の水中兵器ひしめくロシア海域への潜航命令でもあった。グラスは任務遂行のため、シールズとタッグを組み、禁断の作戦実行を決断するが……。世界の運命は、一隻の潜水艦に託された――
(アマプラ紹介文より)

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B07VMS8QYJ/ref=atv_dp_share_cu_r

※アマプラは埋め込み表示ができないようなのでテキストリンクになります。

ここから先は核心には触れないものの細かいネタバレを含むので未視聴のかたはよく考えてから読んでもらいたい。




本作はごりごりのミリタリー映画である。
舞台が潜水艦なので結構閉塞感があるかと思いきや、地上部隊の動きもあって息苦しさは感じない。爆発はたくさんある。
なによりありがたいのが「帰りを待ってる恋人」などの恋愛に絡めた描写が一切ない。本当にない。
もちろん命がけで任務に挑む兵士たちの話である以上、家族や恋人の話題が皆無ということはないが登場は写真の中だけである。ストーリーに関係のない恋愛が苦手な私が一切のストレスなく見れる貴重な作品である。

さて、この映画を見るうえで注目していただきたいのは誰を上司にしたいか、である。
主人公のグラス艦長かロシア側のアンドロポフ艦長か、それとも地上部隊のビーマン隊長、ロシアのザカリン大統領、対策本部のドネガン大将、フィスク少将と選択肢は豊富にある。ドゥーロフ国防相だけはないかなー……と私ならば思うが他の面々は全然ありだ。

グラス艦長ならばその決断力、胆力、部下に責任を押し付けないところなど……。もう絶対この人についていきたいと思わせる魅力がある。
叩き上げで現場を知っている、というのも心強い。
一方アンドロポフ艦長は明確な描写はないもののいわゆるエリートコースを歩んできた人のように思える。しかし、乗組員一人一人に対する真摯な向き合い方、何より配属が自分の下を離れても決して忘れることがないその温かみに尊敬の念を抱く人は多いのではないだろうか。
ビーマン隊長は現場に出る少数精鋭をまとめるので戦闘力に加えて周辺視野の広さと思い切りの良さが好感を持てる。何より部下を簡単に見捨てない人情は現場で一緒に働くうえで心強い。
他の三名の登場人物もそれぞれ魅力があって個人的には「理想の上司見本市」なんて呼んでいる。

なかでも私が好きなのはアンドロポフ艦長だろうか。
アーカンソーに救助された後、仮想敵国ともいえるアメリカ軍人のグラス艦長と歩み寄っていくシーンの表情は絶妙だ。部下を失った苦しみと自国への忠誠と軍人としての複雑な表情に引き付けられる。
何より好きなのは終盤の駆逐艦に乗るかつての部下たちに呼びかけるシーンである。その声音の優しさに泣きそうにすらなる。
こんな風に呼びかけられたら、と何度思ったことか……。
アンドロポフ艦長を演じられたミカエル・ニクヴィスト氏は2017年に亡くなられているので、遺作の一つとなっている。
最後にアンドロポフ艦長を演じてくださったことに感謝が絶えない。

本作あらすじからもわかる通り緊迫感が絶えない作品だ。
それでもほんの少し笑えるところがあったり、爽快な爆発シーンがあったり、最後はそこそこハッピーに終わる。(死者は出るので円満とは言わない)

この映画に出会って私はミリタリー映画の面白さを知ったように思う。
決して悲しい事、つらい事、残酷な事だけを描くだけではなく、何かを守ろうとする人々の力強さが描かれている。気持ちが落ち込んだ時には勇気をくれるし、寄り添ってくれることもある。つらい状況の時にこそ見たい作品だ。

本作はミリタリーものに不慣れな方には少しハードルが高いかもしれないがぜひ、いろんな人に見てほしい作品だ。

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