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シェルター

雨粒が、やけに酷く音を立てて
窓硝子を何度も叩くので
重い脳を無理矢理持ち上げ
完全遮光の重たいカーテンを
ほんの少し指をかけて開ける

二階ほどまで背が伸びた
ハナミズキが
のたうつ様に枝を揺らして
外は嵐だと教えてくれる

雨音、しなる木々の軋み
風音、雨粒がアスファルトに落ちる音

二重にはめられた硝子越しに
本の群れと外を眺める
束の間、部屋はシェルターになる

古い医療器具、害獣とされた子達の毛皮
兎の頭骨、山積みの本と、キャンパスと
絵の具、暑くも無く寒くも無い
何もかもで満ち足りた
束の間のシェルター

着色されたカーネーションが
すっかり乾き切った目で
天井から此方を見ている

まだ寝ていなさい
と、祖母によく似た声がした

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