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右目の端に一瞬の白い光が映る 暴発した兵器のような 柔らかい木漏れ日のような 疲弊し切った…
細胞が腫れ上がって 無駄な熱を得て痛むので 貧相な身体を構築する あまりに小さなそれらの中…
世界が巨大な冷凍庫に様変わりしてしまった。 入れ小細工の様に、小さなシェルターの様に、こ…
特に理由はなかった。 これと言って何かあった訳でもなかった。 唯、街に数個しか無い高層ビ…
走馬灯のような夜だった。 まるで、走馬灯のような夜だった。 背の高い建物は何もないのに、…
青々とした空、一輪の雲さえない青空。 その空の隅っこに、薄青色のリボンが結ばれている。 も…
合成されたチェリー味のキャンディで 舌が赤く染まってベタついている。 少し前から、鈍色の雲に 空が覆われ始めていて、 もし、雨が降り始めたら、 雨粒の間引きをしなきゃいけないな とどうしようもなく気怠い頭で ぼんやり思う。 雨垂れを間引きし終えたら、 冷蔵庫に入れたままの、 ラズベリーゼリーでも食べよう と決め込み 仕事にかかる準備をする。 ぬるい風と雨の匂い、不快な湿度の中で 雨垂れを少しずつ間引きする 雨粒の優劣は間引かれて 人は間引かれなくなったのは なんだか不公
雨粒が、やけに酷く音を立てて 窓硝子を何度も叩くので 重い脳を無理矢理持ち上げ 完全遮光の…
鈴蘭の街灯がぼんやりと、雨に濡れた寂れた街を、憐れむように照らしている。 通りには人影は…
ニオイスミレの居住地で 川縁の白線の如きナルキッソス 水面映る細胞と水面浮かぶ細胞へ 倒錯…
キンとした幻聴 無色の音 限りなく黒く 限りなく白い 午前四時半 朝刊配達のバイク いつもな…
言葉の解剖手術をしませう 落書きだらけの穴だらけ 酷く古びたトタンのその 数センチ下に捨て…
冬が世界を白く凝固させている。 灰色に分厚く塗り固められた空に、刺すように吹く風も、靴底…
その朝、窓辺に神は不在だった 神の不在によって、愛の存在が証明された 愛の存在によって、死の匂いが濃度を増した さようなら さようなら さようなら 三度繰り返し 小さな痛みで割れた唇に気付く 薄灯の部屋、汚れた天井から 小さな秋花が降り注いでいた 花が散った 花が散った 花が散った 数度目を瞬いて 恐ろしく早い時間の経過を知る 爛れた口内で、もう一度さようならを紡いだ 朝露に濡れた露草が足に触れる 爪先はひどく、冷たく、青い 沈黙によって構成された空間で 薄紅色の