[ショートショート]あの世
古代文字を書き連ねた魔法陣。燭台に乗せた6つの蝋燭は、陣を囲うように等間隔に置いた。微かに風が吹き、炎が揺らめく。窓なんて地下室のこの部屋にあるわけはない。風は部屋の中央から、魔法陣の中に影が浮かび上がる。
つり上がった目、尖った耳、低い鼻に、黒よりも紫と表現した方が適切な肌の色。
「儂を呼び出したのは貴様か?小僧」
悪魔の召喚。目的はただ一つ。
「母を…死んだ母を蘇らせろ」
悪魔がぐにゃりとゆがんだ笑顔を見せる。
「小僧、相応の代価を覚悟の上なのだな?」
自分に言い聞かせる