10月の読書日記
先月からの続きで高瀬隼子さんの本を一冊、それと村上春樹を一冊、あとは知人からのおススメと興味を持ったクトゥルフ神話からの一冊ずつで計四冊を読了。
うるさいこの音の全部/高瀬隼子
「おいしいごはんが食べられますように」を読んだ勢いそのままに読み進めた同じ作者さんの作品。
だけど感想を上手く書ける気がしない。誓って、決してつまらなかったわけではない。
本当に自分はこの物語を読めたのだろうか、と不安になってしまう読後感と言えばいいのだろうか。
「おいしいごはんが食べられますように」でも感じた、生の人間をそのままに描いているような感じはあったし、朝日の語りと物語は作者自身とも重なって重みを感じさせる。
ずっと真面目な人もいないし、全部が酷い人もいない。
どこかで誰かを傷つけているし、どこかで誰かに傷つけられている。
他人を見る視線と他人に見られる視線、自分自身。
だけどその中心にある人間像はあまりに繊細で複雑で、そこまでを読むのが難しかったというか、上手く出来なかった。
というか、そういう複雑で難しいこと全部が詰め込んで描かれているから「うるさいこの音の全部」なんじゃないか、という感想を持ったのが正直なところだった。
ノルウェイの森/村上春樹
最近読書量が増えてきたので有名作にも挑戦しておきたいな、と手に取った一冊。
なんとも言えない、生々し過ぎるだろという感や最後のは一体なんだったんだという疑問もあって、他の方のレビューや感想を見て回ってから感想を書くに至った。
どこかのインタビュー記事か何かで「これはリアリティを描いたもの」だと村上春樹が発言していた。
最後には自分の現在地すら分からなくなっていたワタナベが、何十年後かには直子のことを思い出すこともなくなり、そしてふと思い出している様がこの作品が描き出しているリアリティなのだろうか、と私は感じた。
正直沢山のことが詰め込まれているように感じられた作品で、読む人や読むタイミングによって文章から得られるものが変わってくるのだろうと感じる一方で、あまりの性描写の多さと女性の描き方には少なくとも現代的には難があるように思えてもう一度読む気にはなれなかった。
夜のピクニック/恩田陸
知人から勧められて読み始めた小説。
まず始めの感想は「しまった、タイミング外した」だった。
本書の一節からの引用でもある。
若い頃に読んでいたら何かが変わっていたかもしれない。けれど同時に今だから感じるものもあるのだろうな、と思わずにいられない。
あらすじにしてしまえば「夜通しで80kmを歩き続ける物語」とまとめることは出来るが、その内容は生の温度を持った人間の、それも青青しいほどに青春を感じるものだった。
クトゥルーの呼び声/H・P・ラヴクラフト(訳:森瀬繚)
TRPGリプレイを見て原作に興味を持った。
完全に初心者として作品を読み進めていったので、作品間で共有される世界観が少しずつ広がっていく様子は興味深かった。描かれているのは「あるかもしれない恐怖」で、なんとなくSCPを思い出したのは私だけだろうか。
四冊と聞くと少ない(先月が多すぎた)けれど、それでも週に一冊ペースと考えるとなかなかじゃないだろうか、と自賛している自分がいる。
それはそうと月にまとめるのもいいけど作品単位でまとめるのもいいかもな、と思ったりしていくつか試してみるつもりでいる。
でも月単位の方がやりやすいからそのうちまた戻ったりしてそう。
のんびり続けていくつもりだ。