タダの箱庭〜BOOKTALK EVEVT〜
『タダの箱庭』というプロジェクトをご存知でしょうか?
実は私自身つい3ヶ月ほど前に知ったばかりなんだけれど、「あぁ、こういうことをこんなふうに、赤裸々に知れることから向き合っていくのが必要よなぁ。」と痛感しているので少し紹介してみたいと思います。
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◼︎《タダの箱庭とは?》
このプロジェクトはお金のない世界を考える社会実験プロジェクトとして、様々なバックグラウンドをもつ80人のインタビューをもとにつくられた本が起点となる。
「お金」といっても仕組みやノウハウを知るものではなくて、「わたしはお金とどう関わって、何を大事にしていきたいだろう?」と問うように、お金を通して世界の解像度をあげていくような作りになっている。
販売はしておらず、クラウドファンディングに出資した人に手渡されるもので、全世界に一万冊だけ。
人から人へギフトとして回りながら、読んだ人が参画できる仕組みになっている。
◼︎《BOOKTALK EVENT in 鎌倉》
私は鎌倉でこの本を囲んだ対話会[タダのしゃべり場]に参加したのがきっかけで、対話会を運営するメンバーとプロジェクトの発起人である坂井勇貴さんがタッグを組んだトークイベントが開催されることを知った。
会場は今回がイベント初開催となるシェアスペース[NIHO KAMAKURA]。 https://niho.life/
それに加えて、5月に活動再開を控えたアーティスト[UQiYO]さんによるシークレットライブも盛り込まれ、関係人口マシマシな豊かなイベントであった。
◼︎《私たちはふたつの世界に生きている》
2つの世界とはざっくり言えば、
①損得勘定がベースにある感覚で動いている「市場規範」(報酬に向けて動く/ゲームで言えばRPG)
②損得勘定なしで動いている「社会規範」("共にある"という感覚で動く/ゲームで言えばあつ森)
の2つ。
1つだと思いがちだけれど、私たちは日常的に2つの世界を行き来している。
なぜわざわざそんなことを提示するのかというと、どちら規範でやるのかで自分のやることが全く違うものになってしまうから。
◼︎『どちらが本当の自分か?』
例えば発起人の坂井さんのエピソード。
物心つく前から「遊ぶことが仕事だ」と言われて育った坂井さん。
進路を決める時に「どうやって稼ぐのか?」と問われてその感覚がよくわからなかったそう。
"遊んでる時に「こいつからお金をもらうにはどうすればいいか」なんて考えないじゃない。
大人のイメージがお金の奴隷みたいな感じがしてその仲間になりたくなかった。"
そんな大人を縛りつけてるルールを知れば変わるかもと思い、法律の専門学校へ進む。
けれど法律の中のことは知れてもその外側で楽しく生きる方向は分からず、沖縄のリゾートホテルに就職。
お金を稼ぐのも悪くないかもと思い始めた頃にヒッピーと出会い、「遊んでるように生きる大人を見つけたー!」と人生が変わったそう。
ヒッピーは、愛と平和のような精神の豊かさを追い求めた人たちのカルチャーで、自給自足をしている人たち。
でも常に「自分は何者なのか?」という問いがあった。
日常的にいろんな自分に出会う中でどれが本当の自分だろう?ということにヒッピーも悩んでいて、愛や理想を求めた結果、オムツ代もなくて奥さんと子供が出ていってしまったり、社会や経済を否定して矛盾や対立を生み出してしまったり。
"だからヒッピーをやめて、ソーシャルヒッピーに転職した。"と坂井さん(笑)
損得とかビジネス的思考を学んでいくうちに、否定していた社会にも想いや愛があることを知ったそう。
"お互いに持っているものを分かち合ったら世界はもっと良くなるんじゃないかって"
"社会にしても自分の内面に対しても同じで、利己的な自分も利他的な自分も、役割があって、どちらも大事な事なんだって気付けたんだ"
◼︎《個人的な感想》
私は自分自身がかなり社会規範の要素が強い人間だと思う。
どうがんばって考えてみても、損得で選んだことって自分が嬉しくないから、結果的に損な気すらする。
同じ商品ならこっちで買った方がお得ね、みたいな人が直接介在しないものに対してはあると思うけれど、人に対しては「今のその人をそのまんまみようとすること」だけをやっている気がする。
でも、そういうところを利用して当たり前のように搾取してくる人から自分を守ったり、自分自身も無意識に誰かから搾取してしまわないために、市場規範の感覚も養っていきたいと思う。
それに今までいろんな人と仕事を通して関わってみて、市場規範があって膨らむものや、届けられるものがあることもなんとなくわかる。
特にフリーで仕事をするようになってみて、仕事としてお金が介在すると、自分事としてより相手を深く知れると同時に、自分自身が揺らぐこともあって、お金の持つ二面性をすごく感じる。
どちらにしても、社会規範から生まれる純粋な喜びを私は大事にしたいから、その根底を保つための市場規範とのバランスを見つけていきたい。
お金を知って考えることには、白か黒かじゃないグラデーションの世界を生きるヒントがたくさん詰まってて、「生きづらさ」を紐解く鍵もたくさんあるような。
こういう本が、必要な人に届くといいなぁ。
p.s. 次の方に繋ぐ気持ちで本を受け取りたい方がいらっしゃればギフトします。コメントまで。
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