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「他者と身体を共有すること」Inner MBA 体験記 #21

今回の Inner MBA 講師は Richard Strozzi-Heckler。 以前、センタリングプラクティスで身体感覚を通した精神的コントロールを教えてくれた人で、心理学のPh.Dと合気道の黒帯を持つ「心と身体のプロ」だ。

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前回の講義では、身体をコントロールすることで自己を認識し、エナジーを高める方法を学んだ。今回はそれをチームワークにどう活かすか、という話。

医学用語で Somatic = 身体表現性障害というものがある。心と身体がバラバラになっているように感じ、うまく歩けなかったり、痛みを感じたり力が入らないように感じる症状だ。通常の検査では原因がはっきりしないため、ストレスから来ると一般的に言われている。

Richard の主張は、Somatic (軽いものであれば、なんかだるい、とか)をセンタリングプラクティスで自己認識力を高めて予防する。さらに、身体と自己を認識できている状態を他者と共有することによって、自分の感覚を液体のように拡張して精神的にも他者と繋がれるという。

ここまで聞いた私は「???」と混乱しかけたが、簡単な例が説明された。

太古の昔、人間は部族の他の人と協力して狩りを行っていた。言うまでもなく危険を伴うストレス体験だ。そこで、彼らはコミュニティ内で絆を高める儀式として夜になると音楽を演奏し、ダンスに興じていた。ダンス、これは他人と一緒にリズムに乗って身体を動かすことだ。つまり、音楽やダンスを介した他人とのバーチャルな身体的感覚の共有が、精神的な繋がりを深め、チームワークの形成に繋がるのである。

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その観点で見ると、私たちの私生活でもあらゆる場面で身体的感覚の共有による儀式は見られる。「スポーツチーム試合の前に円陣を組む」「法事の時に正座をする」「ハイタッチする」「お互いにお辞儀する」などなど。

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人間の心と身体は密接に繋がっており、同じ身体動作をすることによって同じ心理的反応をそれぞれの心にもたらし、共感と繋がりが形成される。

Richard は自身の会社のミーティングの前に必ず全員でセンタリングプラクティスをはじめとした「身体を使ったウォームアップ」をするらしい。「たとえ営業数字の確認のミーティングでも、これをやるとチームビルディングと高い生産性につながる」とのこと。例えば、

・大きく重いものを胸の前で持ったようなポーズをして、しばらくしてからその重さを解放する。力が足元に抜けていく感覚を味わう。
・同じ脚を広げたスタンスのまま、床に身体の重さを感じ、同じ床や地面に全員が埋まっていて繋がっていると感じる。この時、同じミッションやビジョンに繋がっていると連想する。
・みんなで一緒に2歩だけ歩いてみる。
・みんなで一緒にボートのオールを漕ぐ仕草をする。

など。

想像すると少しユーモラスな気はするが、思い返せば私も会社のチームビルディングイベントでアスレチックに行ったり、カーリングをしたり、エアロバイクに乗ったり、「一緒に身体を動かす経験」を行ったことが何度もある。それらはいずれも楽しい記憶として残っているし、ただ飲みに行くだけよりも絆は高まったと思える。

このようなエクササイズの後、Richard は会社のメンバーに向かってこう付け加えるそうだ。

「Take it easy, but take it」(気楽にやろう、でも本気でね)

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以上、今回は心と身体のエクササイズでいかにチームへのリーダーシップを高めるかと言う話だった。これらはオンラインでも有効らしいので、私もチームミーティングで試してみたい。

以上、次回 Inner MBA 体験記 #22 に続く!



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