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<恋愛大国フランス>に子どもが増えた理由とは?『パリの女は産んでいる』中島さおり
なんだかおもしろそうなタイトルでしたが、実際の内容はというと、フランスの恋愛・結婚事情。しかも、主に既婚女性中心の視点によります。結婚しても現役女性で、仕事も恋愛もバリバリのパリの女性。結婚したら、子どもを生むか、仕事をとるかの選択を迫られる日本人女性と違って、パリでは両方当たり前。
実はこの、パリってところがミソ。中島さんは、一方で日本と比較しているのに、もう片方はフランスじゃなくて歴史と文化の都市パリ。都市の比較なら、東京とパリが妥当なはず。というわけで、まあちゃんとした比較ではなく、著者が住んでいるパリの半径5mと著者の知っている日本の限られた範囲のお話。気楽な読み物です。
続編は、パリの子育て。『哲学する子どもたち バカロレアの国 フランスの教育事情』。読み応えを求めるなら、こちらのほうをおすすめ。お気楽に両方読むのも、当然ありです。
いつまでも、女性は現役でいられてうれしいか。それとも、現役でいないといけなくて、しんどいか。子どもがいる=「ママ」の役割だけを求められるのが、うれしいか、うれしくないか。こういうのは、個人差が大きいので、当然ながら合う人と合わない人がいる。バリバリやりたい女性には、断然パリが過ごしやすいはず。
でも、中絶やら避妊やら出産、育児をめぐる事情の面倒臭さは、日本もフランスも同じ。そもそも、結婚してもいつ浮気されて、心変わりされるかわからないのでは、よほどの恋愛強者じゃない限り、かなり辛いだろうし、仕事がうまく行かなければやっぱりしんどい。
結婚して、出産したら、もしくはある年齢以上になったら、一律に「おばさん」扱いされる日本社会もいやだけど、だからといって、いつまでも独身時代のように着飾らないといけないのもしんどい。まして、カップル文化を強制されたくない人だっているだろう。
パリと日本の中間ぐらいがあったら、きっと生活し易いだろうなあと思いながら読みました。部分的におもしろいなと思うところを、夫にちょこちょこ見せていたら、そのうち夫が一生懸命読み始めました。女心をお勉強・・・?