シリーズの中で一番スキかも。『ジェネラル・ルージュの凱旋』海堂尊
以前、『チーム・バチスタの栄光』がおもしろくて、シリーズを全て読み漁ったことがあります。今度は、夫や娘がハマってくれるようになっています。うれしいですね。
『チーム・バチスタの栄光』がちょっとひねった医療ミステリーだとしたら、こちらは堂々の医療小説。救命救急のお医者さんや、それを支える看護婦さんたちが、どれだけかっこいいかをエンタメで書いてくださるので、もう本当におもしろくて大好きです。
手術室の臨場感とか、病院を支える看護婦さんたちの雰囲気とか、お医者さんの上下関係とか。病院ものは小説にしろ、漫画にしろ、おもしろいものが多いですよね。人の命を救う技術には、どうやっても職人的な要素がつきまとうということは、過去の私の病院バイト経験からもわかります。
どんなに性格がいい先生でも、外科なら技術が全て。そして、今回のような大事故って、野戦病院そのもので、お医者さんや看護婦さん以外のスタッフですら重要な対応要員になります。そういうのを臨場感たっぷりに、ハラハラしつつ楽しめるバチスタシリーズは、本当にうれしいです。
私はお医者さんたちの権力闘争以上に、看護婦さんたちの世界でのやりとりに興味があります。先輩、後輩、普段の人間関係、所属とのかかわり、などなど。いろんなしがらみの中で働く彼女たちの個性が光って楽しいです。特に姫宮さんは大好き。
でも、娘は奥田英朗の『イン・ザ・プール』では伊良部が好きらしく、バチスタシリーズでは白鳥がお気に入り。私が読む順番に気を使って、『ナイチンゲールの沈黙』より、カッコいい速水部長が登場するこちらの本を先に読ませてあげたのに、「白鳥の出番が少ない!」と不満気味。私は姫宮の出番があってうれしいんだけどな。
そして、最近では私がすっかり海堂尊作品からご無沙汰しているのを横目に、受験勉強の合間に「『玉村警部補』シリーズっておもしろいよ」と勧めてくれます。こうやって、娘は読書も独り立ちしていくんですね。しんみり。