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リアルと漫画はどこが違う?『アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」』中川裕
楽しみに待っていた1冊。わくわくしながら読みました。アイヌ研究の中川先生の文章は、『ゴールデンカムイ』を読み始めたあたりから、結構読んでいましたが、まとめて読めるとは本当に最高です。いろんなところで講演会とかあっても、遠いところはなかなか行けないので。
実際に『ゴールデンカムイ』の漫画に出てくる明治時代のアイヌ文化の概略とか、当時の明治の北海道のようすなんかも詳しくわかるので、とても楽しい内容になっています。
『ゴールデンカムイ』の野田先生はとてもよくアイヌ文化や、明治時代の日本のことを調べて描かれていますけど、でもエンタメなので、誇張とかフィクションも当然あります。そのあたりがわかると1冊で何度もおいしいです。
アイヌの世界観。「カムイ」とはなにか。すごくおもしろいです。例えば、名前1つにしても、誰かと同じ名前をつけてはいけないので、アイヌには「よくある名前」がないとか。あと、アシリパさんの弓は、『もののけ姫』のアシタカと同じで、アイヌは東北まで広く住んでいたらしいとか。
広い北海道では、アイヌの言葉も地域で違うとか、樺太アイヌとの関係とか。漫画の基礎知識に加えて、ビジュアルイメージもあるから、きっと読みやすくて楽しんだと思います。
専門家が漫画のフィクションをリスペクトしつつ、専門的に書いてくれる本は、本当にありがたいです。というか、北海道各地の方々が、地元を『ゴールデンカムイ』にからめて紹介してくださっているブログとか、本当にありがたいです。北海道旅行、行きたいなあ!