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夕遊の中国旅

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中国大陸とその周辺に関連する本や映画の話題を集めてみました。
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#おすすめ本

新しい世界は闇から始まる。『闇の中国語入門』楊駿驍

「歌は世につれ、世は歌につれ」。それは歌だけでなく、言葉も同じ。新しい言葉ができたり、海…

夕遊
4か月前
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『踊る大捜査線』エッセンスも楽しめる密室殺人ミステリー『厳冬之棺』孫沁文(阿井幸…

最初のページからひきこまれる、一気読み必至の良質なエンタメです。文章のテンポがよくて、構…

夕遊
10か月前
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中国ドラマや小説を楽しむために。『古代中国の24時間 秦漢時代の衣食住から性愛まで…

出版直後からすごく話題でしたが、ようやく手に取ることができました。きっかけは、中国ドラマ…

夕遊
1年前
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難民、遺民、抵抗者。 国と国の境界線に立つ人々『境界の民』安田峰俊

一気に読める、読ませる本です。著者の安田さんは、大昔のblogの時代から文章がうまかったです…

夕遊
1年前
28

おもしろすぎてとまらない。『辮髪のシャーロック・ホームズ』トレヴァー・モリス(船…

発売前から評判が良くて、すごく気になっていた推理小説をようやく読むことができました。少し…

夕遊
2年前
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三国志、キングダム、宮廷美女の時代劇。『戦乱中国の英雄たち』佐藤信弥

最近、中華ドラマを見ています。毎日があまりにも暑すぎて、体力が落ちたので、ちょっと休憩(…

夕遊
2年前
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雄大な草原とそこに住んでいた人々と狼たちの最後。『神なるオオカミ』姜戎

10年くらい前、毎年夏の中国内モンゴルに出張してました。その時に仲良くなったモンゴル族の女性に教えてもらった本が、この『神なるオオカミ』です。モンゴル人と狼について書いた本で、海外で評価されて6カ国語で翻訳されているから、きっと日本語もあるはずとのこと。 それがこの『神なるオオカミ』です。原題は『狼図騰』(英名:Wolf Totem)。海外ではマン・アジア文学賞を受賞。ハードカバーで上下巻なのに、読み始めたら一気読み不可避な内容でした。 物語の舞台は、1960年代の中国。

時代で変わる物語と孔明。『三国志演義』井波律子

2世紀末、後漢王朝が宦官の専横で衰退し、道教系の大平道信者を中心とする大反乱が引き金とな…

夕遊
2年前
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「世界の工場」だった頃の中国のお話。『中国貧困絶望工場』アレクサンドラ・ハーニー

元フィナンシャル・タイムズの中国特派員が、「世界の工場」の中心部、中国広東省のいくつかの…

夕遊
2年前
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小気味よい日本語の深いエッセイ。『越境 ユエジン』東山彰良

東山彰良さんは直木賞をとった『流』がすごくおもしろかったし、その後に読んだエッセイ『あり…

夕遊
2年前
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香港を舞台にしたミステリはイギリス風でもある。『13・67』陳浩基

評判は良かったし、なんせ天野健太郎さんの翻訳なので、とても期待して読みました。彼が翻訳す…

夕遊
2年前
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有名な作家さんとその家族の物語。『星新一 1001話をつくった人』最相葉月

星新一『明治の人物誌』がおもしろかったので、評判の本書も読んでみました。そして、期待通り…

夕遊
3年前
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謎の多い魅力的な女優。『もう一人の彼女 李香蘭/山口淑子/ シャーリー・ヤマグチ』…

「女優の自伝をまともに信じてはいけない」とは、数多くの中国映画の字幕を担当し、書籍を翻訳…

夕遊
4年前
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星の世界とプログラムがつながる。『オービタル・クラウド』藤井太洋

最初の宇宙の話がちょっとわかりにくくて、読むのに時間がかかったけれど、明利という女性の登場人物が動き出したら理解できるようになりました。明利は、主人公よりも魅力的。というか、この作品はあまり主人公が魅力的じゃないけれど、周りのいろんな人間がそれぞれ個性があるので補って、バランスとっているみたい。 登場人物が多いので、慣れるまでちょっと時間がかかりましたが、群像劇で、大勢の登場人物がストーリーの終わりに向かって、まとまっていくのが心地いいです。エンジンがかかったら、途中からは