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 地図と拳 著:小川哲

 序章、高木と細川が日本からロシアへ戦争をするとどうなるかを調査させる為に船便で大陸を渡るシーンからこの物語は始まる。

 唐突に年代がジャンプするし、登場人物はヤケに多い。具に紹介はできない程だ。しかし、1901年冬を皮切りに終戦を迎える1945年夏までを追って書いている。現代社会を教科書で余り習わなかった私世代には十分な知見を与えてくれる書物になった。

 あぁ、戦争ってこうやって始まるんだ。戦争ってこういう状態なんだ。戦争ってこうやって終わったのかと、そこを示してくれたのはだいぶ意義深い。

 勝算は薄いとわかりながら始めた日露戦争によってもたらされた果実、満州を舞台に、高木の息子たちと細川が最後まで密接に描かれている。

 終章の場面は幾らかロマンチックなハッピーエンドだが、拳と言う暴力によって地図が書き換えられて行く様子を描いてくれた。地図、そこにあるロマンと暴力。壮大な物語625ページはテスカポリトカと同じ川名潤さんが装丁を務めてました。

 作者の小川哲さんは東京大学大学院博士課程中退とあるし、参考文献の数に驚いた。

 現代史を習わない平和ボケした現代人には必見の内容です。是非、625ページ、読破してみて下さい。

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jed
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