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 真綿荘の住人たち 著:島本理生

 北海道から東京の大学に合格し、上京する事になった大和君。三食食事付きの格安物件の真綿荘に住む事になった。真綿荘は江古田にある古いアパートだ。一階に画家の晴雨さんと小説家の綿貫さんが住んでいる。晴雨さんは綿貫さんの内縁の夫だ。

 綿貫さんがこの真綿荘の主人である。料理の世話から洗濯まで寮母のように働いている。合間に執筆活動をしているようだ。他に住人は椿さんに鯨さん両方女性である。椿さんは高校生の八重子という女の子と付き合っている。所謂レズビアン的な趣向だ。鯨さんはなんと大和君の事を好きになる。しかし、鈍感な大和君。鯨さんは美容院に行って女っぽくなって大学の荒野先輩と付き合う事になる。大和君は駆け落ちをしてサークルの美女、絵麻さんに翻弄される。博多まで新幹線で行って、地獄谷を地獄巡りして帰って来る。駆け落ちと言っても一泊二日の温泉旅行になってしまったのだった。

 真綿荘の人物にスポットを当てて書いていた物語だったが押し入れの傍観者、真綿荘の恋人で一気にこの平和な真綿荘の成り立ちと綿貫さんと晴雨さんの関係を紐解いて行くミステリーになっている。ラストは少し残酷だった。

 私は上京した時、鵜木のアパートに住んだんだっけな。昼夜問わず歌を歌ってしまい、うるさいと隣の住人から殴られて引越しをした事を覚えている。私の東京生活は順風満帆ではなかったし、東京と言えど2年も住めば飽きて来る。お金の無い人が居ても地方都市に住んでるのと変わりないからだ。お金があれば東京の贅沢スポットでお贅沢を楽しむ事もできるかもしれないけど、私の場合はネカフェにTSUTAYAにチェーン店での飲食だけだった。まぁ、良い思い出もたくさんあったけど、人生での敗北の地だ。

 読むのにちょっと時間がかかってしまったけど、今回も色んな人間模様、楽しませて頂きました。島本理生さん、ありがとうございました。

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