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野球のチーム編成って

プロ野球のジャイアンツ(巨人)がFA獲得による大型補強に踏み切った‼️

この導入ネタは2度目だが、決して手抜きしているわけではなく、単に野球バカなだけなのでご了承を…。

やっぱり昔からの巨人ファンとしては、生え抜きの選手を育てて試合に使って欲しいと思いますけど…。

話を戻しましょう。

野球に限らないが、スポーツにはビジネスにも通じる考え方や要素がたくさんある。

特に今回ジャイアンツがどうしてそこまで世間に叩かれるのだろう!?それは傍目(素人目?)に見ても、球団が自分のチームをどのようなチームにしたいのかが分かりにくいからだろうという問題提起から始めたい。

どのような選手を獲得し、どのようなオーダー(打順やポジションの組み合わせ)を組んで、チーム編成するかは、それぞれのチームによって考え方が異なる。

異なるにしても今回のジャイアンツは同じようなポジションの選手を獲得したり、歳をとった選手をクビにして若返りを図るとしながら、更にベテラン選手を獲得したりと(ビジネスチックに言うと)不可解人事が続いているのだ。

こんなに話題になるのは、ジャイアンツがこのことを成功事例が少ないのに繰り返しているということと、このような不可解人事が一般社会でもたまにあるからこそ、そこに興味関心を持つひとが多いのだろう。

野球に詳しくない人には分かりにくいかもしれないけど、せっかくなのでチーム編成の話が出たので、野球にたとえてみたいと思います。(オイオイ話戻ってるよ!!というひとがいると思いますがここはご了承ください。)

野球はピッチャーを含めて9人で守る競技だが、グラウンドの真ん中を守るセンターラインを中心にチーム強化を図るのが基本だ。ピッチャー(投手)、キャッチャー(捕手)、内野のセカンド(二塁手)、ショート(遊撃手)、外野のセンター(中堅)を中心に強化が図られる。ピッチャーとキャッチャーは直接バッターと勝負して、打たれて点を取られないことが条件となる。内野と外野は 守備機会が多く、広い守備範囲と状況に合わせた守備判断を必要とされ、チームの中心選手が担うポジションだ。

今回ジャイアンツがFAで獲得したのは、埼玉西武ライオンズの炭谷捕手(31歳)。広島カープの丸外野手(29歳)は主にセンターを守り、守備に定評がある。しかもリーグMVPを取り、屈指の強打者だ。センターラインに厚みを持たせるという意味ではチームを強くするためのセオリーからして良い選択とも言える。

それでは何が問題なのか紐解いてみよう。そもそもジャイアンツには他にこのポジションに選手がいなかったのだろうか?

まずキャッチャーには若手で日本代表を経験している小林捕手、昨年の新人で強打が売りの大城捕手、一昨年活躍した若手の宇佐美捕手、更にはベテランで実績十分の阿部捕手が来シーズンから捕手に復帰。昨今、複数キャッチャーを併用する戦略は他球団にも見られるが、それを差し引いてもどうしても必要な戦力とは言えない。

外野手はどうか?丸外野手は主にセンターを守る。昨シーズンの外野手は亀井、長野(丸外野手の人的補償で来シーズンから広島カープへ移籍)、ゲレーロ、重信、陽とまずまずの戦力だった。中堅、ベテランが多いという意味では丸外野手は29歳。多少の若返りは図れるが計算できる選手の絶対数が減ってしまった。しかも他に若手の有望選手がいないわけではなく他チームのレギュラークラスを獲得した場合は確実に若手のチャンスが少なくなるのは明白だ。

FA補強については費用対効果の観点でも異を唱えるひとが多いのではないだろうか?2017年のFAで獲得した選手が挙げられる。先発投手として期待された山口投手は2年間で10勝10敗(プラス不祥事による長期離脱)、中継ぎ投手として期待された森福投手は2年間で32試合の登板、陽外野手は懸念されていたケガや試合中の故障もあり、2年連続で5~6割程度の試合しか出ておらず、いずれも何億もかけた人材としては、人件費の回収ができているとは言い難い。陽外野手に至っては2年目でポジションのかぶる丸外野手の獲得となった。この回収できていないにも関わらず更に投資をしているところが理解できない要因のひとつだろう。それでも清原内野手や松阪投手(こちらはソフトバンクホークス⇒中日ドラゴンズ)のように人気があって、球場の観客を呼び込める選手であれば球団やファンへの貢献度は高いと言えるが…。

更に今回岩隈投手(37歳)、中島内野手(36歳)の獲得は、ともに若返りとは程遠い。実績十分かもしれないが、炭谷、丸選手含めてどこまで結果を残せるのかは未知数だ。同じ未知数であれば自前の若手を育てて中長期的に戦力の底上げをする方が得策なような気もするが…。

これを経営側の視点から見れば、勝てる要素を増やしてファンの応援を得たい、観客動員を増加・維持したい、戦力の経年劣化を補完することに繋げたいという意図がある。

企業が新しい人材を投与するときに即戦力(中途やヘッドハンティング)を取るか、新卒や若手の育成をするのかと同じ論理で前者を取ったのだろう…。

今回のジャイアンツのように計算しやすい即戦力?(それでも疑問が残るが…)を取ること自体に異論はないが、重要なことは新しい人材に何をしてもらうかだろう。

実際の現場はどうだろう。今までの功労者や若手の同僚(戦友)がクビになり、新しい人材が入ってきてレギュラーや一定条件を確約されて入ってきたとしたら…。それでも活躍すれば納得感は得られるが…。

企業でも、それなりの待遇や既存のメンバーと入れ替わりで入った以上は同等かそれ以上の働きが必要となる。更には組織やチームに新しい風をもたらすことも期待される。企業、経営陣、上司からだけでなく、同僚からもそれなりのプラスアルファを要求されるのだ。そのプレッシャーの中で期待通りの働きができるのか?

プロ野球のようにある程度個人の技術や力量で成果が出る競技であれば個人的な活躍だけで納得感の醸成は可能だろう。しかし一般社会では、よほどのことがない限りチームや相互連携で業務が成り立っていることが多い。そうすると、世代・能力・スキル・姿勢・態度・仕事に対するモチベーションやスタンスの異なる異質な人材を投入して組織やチームとして機能させ、成果を得ることはそれほど簡単なことではない。すぐにうまくいかない可能性もある。誰を獲得して人員や業務を再分配するかという点はとても大きい課題となる。

今回、原監督の復帰に当たってはチーム編成の全権を掌握したという見方もあるが、いったい原監督は今回の補強に何を見出だしたのだろうか。

チームの和や、かつて口にしていた「ジャイアンツ愛」からすると少し遠い補強と感じてしまう…。

ある仮説を元に考えると合点がいく。内海投手や長野外野手がいなくなることをある程度予想していたのではないかということ。チームが勝てない理由をチームワークの良さ、選手間の仲が良すぎる(悪いことではないと思うが…)ことにスポットを当てたのではないか…。だからチームワークの中心にいた二人がいなくなり、全体を分散させてあらためて「戦う集団」「競争意識」「プロフェッショナル集団」の形成を図った。それであれば納得感が出てくる。

ジャイアンツのこれまでの補強の中で、2000年の工藤投手、2007年の小笠原内野手、谷外野手の獲得はは数少ない成功例と言える。今回と同様に実績十分ではあるが、チームの年齢層より高く長い年月の活躍が補償されてはいない状況だった。言葉でチームを引っ張るような派手さはなく、粛々とやるべきをやる仕事人という印象の選手たちだった。本来チームの雰囲気と敢えて異なるタイプの補強には意味があったのではないか?補強の意味合いを「馴れ合いの排除」を目的としているとすれば、すごく納得感が出てくる。

会社という組織の中でも、人事異動や新しい人材に対する戦略は、プロ野球のチーム編成と類似点が多い。

何のための人員補強なのか。組織やチームのコミュニケーションを強化する目的なのか?マンネリ化や堕落状況を脱したいのか?既存の課題の解決にその道のプロフェッショナルが欲しいのか?

チーム編成とはそういうものなのかもしれない。

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