何かを描く人 Chapter 14 (680字ほど)
【話を聴きながら絵を描く】
ダメな自分を探して、やっぱりダメなんだとしてしまう。殻にこもってどこにも出ないようにする。居場所がなくなるおそれ。それらがギューっと一つの方向に注がれてもう限界。ふとしたことで、気づきに至る。この体験が、誰かを支えるのかもしれないと。今までの体験を全て包み込んで、次なる世界へ向かう。
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今日は仕事を休んで人間ドックへ。各検査に機械的に送られて、身体機能をチェックする(される)。職場から補助が出るので、助かるのだが、働く(働かせる)ための部品チェックだと思うと、変な気持ちになった。
看護士さんはやさしく、テキパキとこなしていく。私は運ばれるままに、動線を歩いてゆく。エコー検査で腹部にジェルを塗られ、機器をグリグリと押しつけられるとくすぐったくなって「あっ…」と声が出た。私は恥ずかしくなって苦笑いするが、先生は顔色ひとつ変えずグリグリを続ける。
検査終わって特に大きな問題はなし。MRIの結果含め詳細は3週間後に郵送で届くらしい。人間ドックという制度はありがたいが、部品の不良箇所をみつけにいくようで、変なドキドキがある。小さな不良箇所だとメンテナンスできそうだが、大きな不良箇所がみつかればどうなるのか。部品は交換すればいいが、私の身体はそうはいかない。働き手は交換されるが、私はどうなるのか。
病院からの帰り道。行きつけの珈琲屋により、ホットコーヒーを飲んでいる。働き手としては、交換してもらった方が、ありがたいのかもしれない。私は私で、また違うはたらきを見つけていくだろうから。
コーヒーがうまい。それで充分じゃないかな。