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私は雨の記憶

朝からひっきりなしにかかってきていた職場の電話が鳴り止んだ。スマートフォンを手に取った私は、Facebookアプリをタップした。5年前の今日投稿した記事が画面に表示された。モノクロで撮った珈琲の写真だった。

写真をスマートフォンに保存して、記事の内容を確認した。

空と珈琲 雨の水曜日

5年前の今日入力した言葉はそれだけだった。

イスから立ち上がった私は、スマートフォンをポケットに入れて窓の方に向かった。昨夜からの雨が降り続いていた。5年前の今日も、雨だった。

・・・

夜になっても、雨は降り続いていた。家の自室にいた私は、本棚が置いてある部屋に向かった。部屋の灯りをつけて、本棚に並ぶ本のタイトルを眺めていた。本棚の隣には扉付きの棚があった。普段は開けない棚の扉を、開けてみた。目の前の棚にA6サイズのメモ帳が置いてあった。メモ帳を手に取ってページを開いた。私が書いたメモ書きが残っていた。

2010.01.14 PM11:15
自分をつくらない。そんなこともある。無理をし過ぎない。地に足をつける感じで。ひとつひとつ確実にやっていく。あせらない。余計なことは言わない。自分を悪く言わない。事実を観て考えて伝える。考えてもしょうがないことは考えない。いろいろ書くのは良いこと。

過去も今も、私はここに在った。

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