ポケットにアートを携えて
ここ4日くらい、通勤のおともにしていた本があります。
それがこちら↓
この本をお気に入りのブックカバーで包み、コートのポケットに入れて通勤していました。
ちなみにこの本は、原田マハさんのアート小説。
4つの短編からなる1冊で、それぞれマティス、ドガ、セザンヌ、モネという近代美術を作り上げた巨匠たちが描かれています。
この短編集のポイントは、それぞれの巨匠たちを“その周囲にいた人の目線から描いている“ということです。
例えば、セザンヌについて書かれた「タンギー爺さん」という話では、タンギー爺さんと呼ばれた画材商の娘が、手紙というツールを用いて語り手となります。
面白いことに、この話の中でセザンヌは一度も登場しません。
タンギー爺さんの娘の語る言葉でのみ、セザンヌを描いているんです。
4人のアーティストの苦悩や熱意を感じながら職場に向かう車内は、いつもと一味違います。
現実の世界からは意識が遠のいて、気づけば最寄りの駅までやってきているという毎日でした。
仕事に行くのは嫌ではありませんが、気乗りしない時もあります。
でも、この本さえコートに入っていれば、下向きの心も少し顔を上げてくれました。
読み終えて少しさみしいコートのポケット。
次はどんな本を迎えようかな。
ちなみにこの本を包んでいたブックカバーはこちらの記事で紹介しています。