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フリーランス法のユルさ、ガバガバ感

2024年11月にフリーランス法が施行され、我々の業界でも話題になりました。弊社は下請として受注する立場でもあり、ライターさんやデザイナーさんに発注する側でもあるので、法律の内容を勉強しつつ、遵守に努めているところです。

この法律に関連して、弁護士さんによる以下のポストがXにありました。

これはフリーランス法の条文で対応できてない範囲なので、フリーランス個人で工夫して自衛しなければなりません。

フリーランス法の条文では3条通知(発注書)を「電磁的方法で明示」としか書かれていないので、それがどのような方法なのかについては明確に規定されていません。

公正取引委員会のQ&Aサイトでは以下のように書かれています。

Q40

3条通知を「電磁的方法による提供」により明示する方法とは、具体的にはどのような方法でしょうか。

A

3条通知を「電磁的方法による提供」により明示する方法として、次のような方法があります。
① 受信者を特定して電気通信により送信する方法
例えば、電子メール、チャットツール、SMSを用いて送信する方法が該当します。SNS、ウェブサイト、アプリケーション等のメッセージ機能を用いて送信する場合も同様です。
明示事項は、メッセージの本文に記載する方法だけではなく、明示事項の掲載されたウェブページのURLをメッセージ上に記載する方法も認められます。また、受信者を特定して電気通信により送信する方法により明示する場合は、特定受託事業者の使用する通信端末機器等によりメッセージを受信したときに到達したものとみなされ、明示したことになります。ウェブメールサービス、クラウドサービス等の場合は、特定受託事業者が3条通知の内容を確認し得る状態となれば明示したことになります。
なお、特にクラウドサービス等を利用する場合は、メッセージが削除されてしまったり、環境が変わって閲覧が不可能になってしまったりする可能性もあるため、業務委託事業者側・特定受託事業者側双方でスクリーンショット機能等を用いた発注内容の保存を行うことが望まれます。
② 明示事項を記録したファイルを交付する方法
例えば、業務委託事業者が明示事項を記載した電子ファイルのデータを保存したUSBメモリやCD-R等を特定受託事業者に交付する方法が該当します。

https://www.jftc.go.jp/fllaw_limited/fllaw_qa.html

公正取引委員会のこの回答では、受信者を特定して電気通信により送信する方法であれば特に限定されないように読めます。そして、受託側にメッセージが表示されたらそれで通知したことになる、と回答されています。

しかし、問題なのはこのようなチャットツールやSNS、アプリ、クラウド等は送信後に内容を改変できる仕様のものが少なくないことです。

たとえばフリーランスがクライアントとのやり取りによく使うツールであるChatworkでは、メッセージの送信後に自由に内容を編集できます。編集後は編集の日時だけが隅のほうに小さく表示されるだけで、もともとの文章は表示されなくなってしまいます。

上記の公取委の回答ではスクリーンショットを撮れと書いていますが、スクリーンショットも如何様にも偽造可能なので証憑として扱うのはどうなのかと思います。(たとえばチャット上で相手が改変後のメッセージに同意しているようなスクリーンショットを作ることは簡単にできます)

メッセージが削除されてしまったり、環境が変わって閲覧が不可能になってしまったりする可能性もあるため

上記Q&Aのこの回答の書き方からすると、削除については想定しているが、悪意を持って後付けで改変されることを想定していないとしか思えないですね。

たぶん通信の手段を後付け改変ができない電子メール等に限定してしまうとUber Eatsなどのプラットフォームでの受発注が出来なくなるからこのようにしてるのだと思いますが、プラットフォーム事業者にメッセージ改変の履歴を残すように義務づけるとか、そういう対策が必要なのではないかと思います。


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