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ちいさなお店のはじめかた/コピーライター、「お菓子屋さん」になる。#1 

はじめまして。

ライターの炭田友望(すみだともみ)です。
料理とお菓子づくりが好きです。

最近買ったイチオシ調理器具は、飯田屋のエバーピーラー。向こう側が透けて見えるほど薄く皮が剥けるので、食材を無駄なく使えます。ですがそれ以上に私が推したいのは、剥いたあとの野菜の美しさ! エバーピーラーを使えば、どんな野菜も断面がピッカピカの鏡のように輝きます。「顔、映るかも」と毎度確認するほど。書いているだけで、野菜をピッカピカにしたくてウズウズしてきます。(ちなみにこのピッカピカは、野菜の細胞を潰さずに切れた証だそう。でも私は、剥いたあとの美しさにメロメロです)

そんな私は、ライターをしながら「お菓子専門」のシェアキッチンのマネージャーもしています。

このnoteでは、シェアキッチンで私が「自分のお店」を開くまでの過程を発信していきます。
お店をはじめるにあたり考えたこと、不安な気持ち、準備したこと、お金、保険、SNS、当日のオペレーション、ファンの増やし方(増えるといいな)。ゆくゆくは、シェアキッチンを卒業して「自分のお店」を開いた元メンバーさんにもお話を聞ければと思っています。


そもそも、シェアキッチンとは?

「シェアキッチン」とは、ひとつのキッチンを複数のメンバーで共有し、店頭販売やカフェ営業ができる施設のことです。
施設として保健所の営業許可を取っているので、メンバーとなった方はそのキッチンで作ったものを「お店屋さん」として売ることができます。(自宅のキッチンは保健所の営業許可が下りないので、お友達にプレゼントすることはできても、商売としてお客さまに売ることはできません)

つまり「大きくなったらケーキ屋さんになりたい!」という子供の頃に描いた夢が、物件を借りるための敷金・礼金、内装工事費、毎月の家賃や光熱費などをかけずに、月々のシェアキッチン利用料(+材料費)だけで実現できるのです。あら素敵。

この素敵サービスを、お菓子づくりが得意で「自分のお店を開いてみたいな」と思う方たちに紹介し、日々の活動をサポートするのが、シェアキッチンマネージャーとしての私の仕事です。


自分もやってみたい、でも……

シェアキッチンで働き始めたばかりの頃は、お菓子に関わる仕事ができてハッピー!でした。それは今も変わりません。
でも「自分のお菓子屋さん」をしているメンバーの皆さんを間近で見ているうちに、段々と「いいな~」と羨ましい気持ちが募っていきました。
というのも、私が働くシェアキッチンで活動しているメンバーは皆さん仲が良く、店舗運営のための情報交換をしたり、お互いの営業日に足を運んだり、複数のメンバーが一緒になり「コラボ営業」などをされています。商売なので大変なことも多いはずですが、メンバーの皆さんの毎日は「お祭り」のようですごく楽しそう。学生時代の文化祭を思い出します。
下町に住み、イベント好きな私は「いつか自分もやってみたいなぁ」とぼんやり思うようになりました。

しかしです。私は家族の誕生日ケーキを手作りするくらいにはお菓子づくりが趣味ですが、「私はコレ!」と心に決めたお菓子がないのです。
たくさんのおいしいお菓子が既にある中、「それでもやっぱり自分の味を世に出したい」と思って活動されているメンバーさんたちのお菓子は、どれも本当に個性が光っていて。
ベーグルだけを売るお店、日本にはない外国のお菓子を売るお店、アートのように美しいアイシングクッキーのお店、ヴィーガン&グルテンフリーのお菓子を開発して売るお店。挙げればキリがありません。
ショートケーキもクッキーもマフィンも作るけど、大したこだわりもなければ、オリジナルのレシピがあるわけではない……という私は、素敵なお菓子を作る人たちのそばにいるからこそ、自分で作ったものは売れないと思っていました。
そうして、せっせと皆さんのお店に通い、おいしいお菓子を食べる生活が続いていました。


シフォンケーキをつくろう!

そんな時に出会ったのが「シフォンケーキ」です。
予約が取れない教室として有名な『鎌倉しふぉん』の青井聡子先生のレッスンにたまたま空きがあり、プロにお菓子を習うことが大好きな私は即申し込み。全4回39,600円(税込)を決済した時点で、シフォンケーキづくりの経験はゼロ。シフォンケーキを焼くには専用の「型」が必要なので、教室に申し込むまで作ったことがなかったのです。(お菓子づくり好きあるある、すぐ型が増える)
とはいえメジャーなお菓子だし、なんとかなるでしょ!と、経験ゼロのまま一回目のレッスンに参加しました。

結果、教室ではうまく焼けたものの、自宅では失敗の連続。牛乳が爆発したり、小麦粉を入れ忘れたり、型から生地が漏れたり、成功したと思いきや型外しに失敗してボロボロのシフォンケーキになったり。
先生はにこやかな笑顔をキープしたまま、説明も交えつつ、鼻歌でも聞こえてきそうな軽やかな手つきで作っているのに、まるで同じように出来ません。失敗をInstagramで公開しているうちに、シフォンケーキづくりにどんどんハマり「もっと上達したい!」と思うようになりました。


「おいしいお菓子」とは、なにか

そして、めげずにシフォンケーキを作り続けるうちに、以下のことに気付きました。

①家族が家にいない時は、いい感じに焼ける。
(キッチンの静けさとシフォンケーキの出来が比例する。なぜ夫と子供は、忙しい時に限って話しかけてくるんでしょうね。そんなに私のこと好き?)

②友達に食べてもらう用に作った時は、いい感じに焼ける。
(緊張感がよい影響を与えるのかも。教室で全員の前でシフォンケーキをつくる実技テストをした時も、いい感じだった)

③世の中のシフォンケーキの出来って、けっこう千差万別かもしれない。
(多少生地に詰まりがあったり弾力がなくても、人気のお店はある。もしかすると、お菓子を買う時に必要なのは「おいしさ」だけではないのかも)

静かで集中できる環境の中でつくり(①)、自分以外の第三者の評価を受ける(②)。これが上達するために欠かせないポイントになりそう。
そして、それってシェアキッチンで出来るのでは?と。
(そういえば原稿も、ひとりで目的もなく書いていても、そんなに上手くならないような。編集者の方からの赤字やインタビュー相手からの指摘、〆切があり、さらに世に出ることで、どんどん腕が鍛えられていく気がする)

加えて最後の気付き(③)が、私にとっては大きくて。世の中に出回っている食べ物は、すべて「おいしさ」の面で100点だと思っていたけど、そうでもない……?というと語弊があるのだけど、たとえば【お店のオシャレさ30点+おいしさ30点+お店の方がすごく親切で、話していても楽しいしまた来たくなっちゃう40点=100点!】というのは、自分がお客さんの立場としても有り得るな、と。
それなら私も、自分なりの「おいしさ」を全力で追求しながら「それ以外」の部分でお客さまに提供できるものがあるかもしれない……と考えるようになりました。

というわけで、二の足を踏んでいた「シェアキッチンで自分もお菓子を売ってみる」に挑戦することにしました。
ちょうど神田に新しいシェアキッチンが出来るので、まずはそこで。


ちいさなお店のはじめかた

正直なところ「自分の焼いたシフォンケーキで、お金をいただいていいのか?」について、まだ答えは出ません。もしかすると「炭田のシフォン、いまいち」かもしれません。はじめて作った時より上達したし「おいしい!」という嬉しい感想をいただくこともあるけれど、やっぱり怖い。

でも私は、ライターです。文章を書いて、伝えることが仕事です。
お菓子の腕はまだまだ発展途上ですが、書くことは得意。

だからこのnoteでは、私なりの「ちいさなお店のはじめかた」を発信して、
お店づくりそのものを「読み物」としてお届けしようと思います。
この読み物が、私のお店を100点に近付ける“魅力”となることを願って。

それと、もうひとつ。このnoteがお菓子づくりが得意な人の目にとまって「自分もやってみようかな」と思ってもらえたら、こんなに嬉しいことはありません。
私の書く文章で、お菓子の未来がちょっと明るくなりますように。

神田JITAにて。バリスタさんの営業中にお邪魔して、束の間の店主気分を体験。


▼神田JITA(ジタ)/Instagram
https://www.instagram.com/jita_kanda/


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炭田友望(すみだともみ)|コピーライター
いただいたチップは、浅草にある梅園で「粟ぜんざい」を食べるのに使います! おいしいものを食べて、面白いものを書くという誓い。

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