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胎動は便意と共に。
妊娠5ヶ月の頃、私が心待ちにしていたのは、一にも二にも胎動であった。
ちなみに妊娠5ヶ月とは妊娠16週〜19週のことをいうのだが、トツキトウカ※などのアプリでは、17週頃から「そろそろ胎動を感じ始めるかも?」というような感じで煽ってくるのである。
いや、私まだ全然わかんないんですけど…と不安になっていると、次の日のトツキトウカでは「個人差があるからまだのママも心配しないでね」などと書いてある。慰められている。こうなると、私はまたググり魔と化し、
胎動 いつから
胎動 どんな感じ
と検索する日々を送り始める。そっと手を当ててみたり、じっと見つめてみたりしても微動だにしない私のお腹。
おい、君はちゃんと生きているのか?
生存確認が病院のエコーでしかできないのが不安で仕方がない。だって24週までは、妊婦健診は4週間に一度しかないのだ。4週間に一度しか我が子の生存確認ができないなんて!もしその間に何かあったらどうするんだ。胎動さえあれば、自分で確認ができるのに...長らく私はもやもやしていた。
胎動の始まり。
その瞬間は突然訪れた。ある夜、ベッドで一人横になっていると、下腹部に「ぽこっ」という小さな衝撃があった。「ぽこっ」としか言いようのない、水の中で空気の玉が動くような頼りないものだった。
え、これ?
いまいち自信がないので、全神経をお腹に集中させる。「ぽこっ」また動いた。その後も数分に一度くらいこの「ぽこっ」が感じられた。間違いない。これが胎動だ。
それから一週間もすると、お腹はぽこぽこ、ぐりぐり動くようになった。相変わらず「ぽこっ」という小さな衝撃(ジャブ)のときもあれば、明らかに腹の内壁をぐりっと突き上げるようなとアッパー的なものまで、色んな動きを繰り返すようになった。
あれだけ心待ちにしていた胎動なのに、動きが激しくなった途端、ふと「なんか気持ち悪い」と思ってしまった。だって、ここにきてもまだ私は自分のお腹に中に人がいて動いていることが夢みたいだからだ。私のからだが私のからだでなくなるような気味の悪さは、妊娠期間中を通して度々私の心の中を横切った。
便秘である。※お食事中の方すみません
妊婦は便秘になりやすいとはよく聞くが、ご多分に漏れず、私も完全に便秘である。でーんと出ているお腹を見て、お腹結構出てきたね〜なんて周囲から言われるけれど、内心ではこのお腹の中の半分くらいは便なんじゃないかと思っている。
ほのかな便意を感じると「この時を逃すまじ!」とトイレに駆け込み、渾身の力を込めてふんばる。しかしそう簡単には出ないのが便秘である。顔が真っ赤になるくらいお尻の穴に全力をそそぎ、閉ざされた門をこじ開けるようにいきんだ瞬間、
「ぎゅりぎゅりぎゅりぎゅり」
我が子が暴れ出した。今までにないくらいの胎動。大暴れと言っていい。その衝撃に思わずふっと力が抜けてしまい。せっかくお尻の出口ギリギリまでおりてきていた私の便はしゅーっと奥の方へ戻っていってしまった。ああ、あと一息だったのに。
仕方ないので再度試みる。私がうーーーんとふんばると、また、
「ぎゅりぎゅりぎゅりぎゅり」
と腹の内壁をこするように動く動く。思わずまたお腹の力を抜いてしまう。結局便は出ない。
お腹を見ると、しん...としていた。
お腹に力を入れるとビックリするのか?便が出た方が君も窮屈から解放されると思うよ?などと話しかけてみるも、無視を決め込んでいるようでピクリとも動かない。
諦めてトイレを出た。しばらく便秘は解消されそうにない。
※トツキトウカ…夫婦で共有できる『妊娠記録・日記』アプリ 。週数ごとのお腹の赤ちゃんの様子やママの体調に関する情報などが確認できる。