夜中に拳銃を向ける
眠れない夜ほど孤独なものはない。
まるで夜中という物体に魔法をかけられたかのように不安と絶望が交互に襲ってくる。 余計なことが頭に次々と浮かんでは消えていく。
夜中という時間に拳銃を向けた。
孤独や不安にも拳銃を向けた。
理由のない涙や劣等感に拳銃を向けた。
夜中になると判断能力が鈍るということは間違い無いだろう。それもまた然り、アイデアが次々と浮かぶのも夜中であるように思える。
筆者自身も夜中にふとアイデアが浮かびそれを形にすることが多い。
夜中の魔法である。
眠れないと嘆いていた夜中に拳銃を向け、自分にしか過ごせない時間を過ごす。 夜中に溺れてしまうのは勿体無い気がする。 これは大人になってようやく気づけたことである。
夜中に拳銃を向け、僅かばかり残っている気力で言葉を綴る。
少し解放された気がした。