ひと夏の人間離れ【毎週ショートショートnote】
今日も外に猫が来ている。
近所でよく見かける猫だろう。
先日、職場の後輩が「猫っていい職業ですよね」と嘆息しながら言っていた。
気持ちは分かる。
職場はいわゆるブラック企業。深夜残業、休日出勤、上司によるパワハラ。
正直、自分も家猫が羨ましい。
野生の猫は大変だけど、猫好きに飼われれば存在するだけで肯定される。
「猫になりたい」
月末の多忙さに疲れ果て、帰宅後に放心していたところに聞こえた猫の声に思わず呟いていた。
その瞬間、目の前が白くなり猫の声が大きくなった。
冷房の効いた部屋にいたはずなのに、湿度と温度が急に上がり、目を開くと何故か庭にいた。
やけに視界が低い。
目の前にはよく見かけるサバトラがいた。
「にゃあ」
声を出そうとして、自分が茶トラの猫になっていることに気がつく。
その後、猫の集会に連れて行かれ、モフモフたちに癒やされて、気づいたら部屋で朝を迎えていた。
現実逃避心による幻覚かと思ったが、違う。
服と手足が真っ黒だったのだ。
(410文字)
こんにちは。
帰り道に猫を探しながら歩こうかと思ったら、豪雨に降られてそれどころではなかった羽根宮です。
たらはかにさんの【毎週ショートショートnote】に参加しました。
お題は「ひと夏の人間離れ」です。
今回の内容は、直前に投稿したこちらの記事から思いつきました。
お題の「ひと夏の人間離れ」を見て、人間を離れてなににしようかと思っていたのですが、常日頃、来世は裕福な家に飼われる家猫になりたいと思っている羽根宮にピッタリなのがあったではないかと、前記事を投稿してから思いつきました。
AIさんに描いてもらった絵は、個人的には好きな画質のものが少なかったけれど、色々ツッコミどころのある絵が出来たので、それはそれでまた別記事で投稿しようと思います。
今までに【毎週ショートショートnote】に参加したものはこちら
読んで下さってありがとうございました。
豪雨の中、外にいる猫たちが雨宿り出来ているかが気がかりな羽根宮でした。