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やりたくもないことをやれと言われて、他にやりたいことがあったからやらなかった

なんとなく、現実から少し離れた世界に遊びにいきたいと思うと、よしもとばななさんの小説を読む。

大学生の時に初めてキッチンと王国を読んだ時から、不思議な世界観。世の中を優しく包み込むような独特な感覚が好きだった。

久しぶりにKindleストアでタイトルを見ていると、「体は全部知っている」という本を見つけた。

てっきりエッセイ本だと思ったが、実際は短編集だった。

その中で、中学生の女の子の短編があり、ストレートな表現にぎょっとしつつも、思わず頷いてしまう文章があった。

やりたくもないことをやれと言われて、他にやりたいことがあったからやらなかった、ただそれだけのことでこんな境遇になる世の中というものに対して、私は中学生なのにもはやがまんがならず、悔し涙とか情けない涙がこみあげてきた。私の涙を見て、教師ははじめてなにをするべきかという具体的なことをえらそうに教えはじめた。さぼったということに罰を与えるという思想も、それを実行するあさはかな子供達も、それらを見ていて罰を与える側に参加しているこの大人も、カスだと思った。

学生時代って、今よりも繊細で、親とか家族とか社会の期待みたいなものを観察しながら生きていたような気がする。

今となっては覚えていないけれど、学校が嫌いだけど、ものすごく野球が好きでプロ野球選手を目指していた友達とか、歌手を目指していた友達とか。

いわゆる、大学→大企業=幸せという、多くの人が信じている方程式から外れた友達は、どこか居心地が悪そうだった。

それはそうだ。

大谷翔平は、プロ野球選手になって、練習だけに集中できるのが嬉しいと言っていた。

なので、同じような志で生きていた当時の友達たちも、学校よりもやりたいことがあって、学校なんて・・・と思っていただろう。

社会人になって、偉そうにものを教える人たちにたくさん出会ってきた。

その度に、自分はそうなりたくないと思ってきた。

同じような目線で、何もできなかった頃の自分をいつまでも忘れずにいようと思った。

だって、たまたま早く生まれてチャンスを与えてもらったから、できるわけで、実は自分がやったことは大きな縁や運に助けられた結果なのだから。

実際自分がかっこいいと思う、人生の先輩たちは偉そうにしていない。好奇心にあふれためでこちらの話を聞いてくれたり、失敗談を笑いながら話してくれる。そして、応援してくれる。

そんなかっこいい人たちに出会うたび、お話するたび、自分をかっこいい大人でいられるように、日々を精一杯生きてゆきたい。

よしもばななさんが描く、学生たちを頭に浮かべながら、そんなことを考えた、木曜日の夜中11時。


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